風邪もようやく治まってきたので、2週間遅れで本作を見に行きました。時間の関係でTOHOシネマズ日比谷に行きましたが、今回はメインシアターのある5階ではなく、地下のスクリーン13でした。ディレクションに従って向かうと...
なんのことはない、宝塚劇場の地下の、以前みゆき座、スカラ座があったところでした。東京ミッドタウン日比谷と地下通路でつながったのですね。きれいにリノベートして、シックな映画館に生まれ変わっていました。
蜘蛛の巣を払う女 (The Girl in the Spider's Web)
AIの世界的権威バルデル教授が、図らずも開発してしまった核攻撃ログラム。世界の核を掌握するそのプログラムを、リスベットはアメリカ国家安全保障局からバルデル教授の手に取り戻そうと奮闘しますが、一方、リスベットと16年前に別れた姉カミラが率いる悪の組織も、そのプログラムを狙っていました...。
本作は、背中に大きなドラゴンのタトゥーを彫り込んだ孤独な天才ハッカー、リスベットが活躍する「ミレニアム」シリーズ第4作の映画化。映画としては、ルーニー・マーラがリスベットを演じた「ドラゴン・タトゥーの女」の続編となりますが、監督・キャストは前作とがらりと変わっています。
本作のアメリカでの評判はあまり芳しいものではなかったみたいですが、娯楽作品として、私は大いに楽しめました。リスベットの過去にまつわるストーリーも興味深いものでしたし、スウェーデンの美しい森の風景や、スリリングで迫力あるアクションも堪能しました。
リスベットを演じるのは「ブレス しあわせの呼吸」(Breathe)で慈愛に満ちた美しい妻を演じたクレア・フォイ。本作ではショートヘアにノーメイク、少年のようないでたちで、激しいアクションもこなし、あまりの変貌ぶりにびっくりしました。
前作のルーニー・マーラは病的な佇まいが強烈な存在感を放っていましたが、本作のクレアが演じるリスベットは、過去に大きなトラウマをかかえているのにもかかわらず、健やかな精神を宿した女性という印象を受けました。冒頭の卑劣なDV男をやっつける場面から、弱き女性たちのために戦うヒーローといった感じで、かっこよかった! 溜飲が下がりました。
一方それゆえに、幼少期から心身を傷つけられ、心を大きくねじ曲げられたまま成長を遂げた姉カミラが、気の毒でなりませんでした。
カミラを演じるのは「鑑定士と顔のない依頼人」のシルヴィア・フークス。リスベットと信頼関係で結ばれている、雑誌「ミレニアム」の編集者ミカエルに「ストックホルムでワルツを」のスヴェリル・グドナソン。ヨーロッパ系の俳優が多く出演しているのも魅力的でした。