怪しげなタイトルとイラスト、本の帯には「あなたは、ウレシイか?」だが、興味本位の下ネタ本では決してない。 真面目な文化史の書籍である。
鉄道史の本を読んでいて、その文中に列車内の痴漢についての記述があり、この本が紹介されてたのでネットで検索して購入した次第。(追記参照)
著者は井上章一氏。 1955年京都府生まれ。京都大学工学部建築学科卒、同大学院修士課程修了。
国際日本文化研究センター教授・所長。 京都市西京区御陵大枝山町(通称・桂坂)にある。
専門分野の建築史のほか、美人論、関西文化論、風俗史など広い分野にわたり著書がある。
昭和7年の白木屋デパート(現東急百貨店)火災の話を端緒として、近代女性の下履きの変遷と男性視点について、384ページの堂々たる書籍である。
なかなか読み応えのある内容で、おっさんも些か消化不良気味ではあるが。
井上章一氏はこんな本も。
京都人がこんな本を書いてる。 京都の趣きを裏側から考察する、懐の深い人だと感銘する次第。
追記: 原 武史氏著「鉄道ひとつばなし」 講談社現代新書刊より引用
1950年代になると「パンチラ革命」が起こった。 つまり、ズロースがパンティに変わるころから、それを見られることを
恥ずかしがる感情が芽生えたという。 電車内での女性の座り方も脚を揃えるようになる。 それとともに、男性がスカートの中に
欲望を感じるようになったのではないかという推測が成り立つ。 井上氏が指摘する「パンチラ革命」の時期と、痴漢が発生する
時期は、見事なほど一致しているからである。
井上氏は、スカートの中の「幻想」を歴史的に解体した。 これは、女性専用車両を作るよりも、痴漢をなくす有効な方法と
いえるかもしれない。 痴漢よ、宜しく『パンツが見える』を読むべし。