社会空間研究所 建築・まちづくり通信

社会空間研究所の所員が建築・まちづくりに関する情報等を気ままに綴ったブログです。
2007年6月からスタートしました。

老人ホーム・介護施設等のお勉強(1)加筆版

2022-04-06 10:28:49 | 住宅セーフティネット/高齢者の住まい

2020年7月17日、金曜日、雨。なかなか梅雨が明けないな~。

最近、自分のまわりに介護が必要な高齢者が増えてきたので、ちょっと老人ホーム・介護施設の種類や特徴について勉強することにしました。

あらためて調べてみると、老人ホーム等といってもいろいろな施設があり、なかなか理解しにくい。

何回かに分けてレポートしたいと思います。

第1回目では高齢者向けの住まいや施設の種類とその概要について整理してみました。

 

(1)高齢者向けの住まいや施設の種類

 ①特別養護老人ホーム(地方公共団体、社会福祉法人)

 ②有料老人ホーム(限定なし(営利法人中心))

 ③軽費老人ホーム(地方公共団体、社会福祉法人、知事の許可を受けた法人)

 ④サービス付き高齢者住宅(限定なし(営利法人中心))

 ⑤認知症高齢者グループホーム(限定なし(営利法人中心))

 ⑥養護老人ホーム(地方公共団体、社会福祉法人)

 ⑦介護老人保健施設(地方公共団体、医療法人)

 ⑧介護医療院(地方公共団体、医療法人)

  注)( )内は主な設置主体

 

(2)各施設の概要

①特別養護老人ホーム(要介護高齢者のための生活施設)

◎公的な老人ホーム。

◎65歳以上で寝たきりや認知症などで常時介護が必要になり、自宅での生活が難しい方が入所できる施設で、食事、入浴、排泄といった生活全般にわたる介護を24時間受けることができる。

◎原則として要介護3以上。

②有料老人ホーム(高齢者のための住居)

◎有料老人ホームとは、高齢者が心身の健康を維持しながら生活できるように配慮された住まいで、「入浴、排せつ又は食の介護」、「食事の提供」、「洗濯、掃除等の家事」、「健康管理」のいずれかのサービス(複数も可)を提供する施設。

◎有料老人ホームには、「介護付」「住宅型」「健康型」という3つのタイプがあり、提供されているサービス内容によって、施設の価格帯もさまざま。

◎心身の状態やライフスタイル、入居後に受けたいサービスなどを踏まえて、自分に合った施設を選ぶことになる。

 1)介護付き有料老人ホーム

 ◎介護付き有料老人ホームは要介護状態でも生活できる施設。

 ◎医療体制が整い、食事、入浴、排泄などの介護を受けられる。

 2)住宅型有料老人ホーム

 ◎主に自立度の高い高齢者を対象としている施設。

 ◎介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能。

 3)健康型有料老人ホーム

 ◎自立状態の高齢者を対象とした、食事サービスが付いた高齢者施設。

 ◎介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければならない。

③軽費老人ホーム(低所得高齢者のための住居)

◎60歳以上の身寄りのない方や、経済的な事情などで家族との同居が難しい方が、比較的安い費用で入居できるのが軽費老人ホーム。

◎軽費老人ホームはA型、B型、C型(=ケアハウス(一般型と介護型がある))、及び都市型がある。今後はケアハウスの「一般型」と「介護型」に統合されるらしいが、複雑でわかりにくい。ここの整理は次回以降に。

④サービス付き高齢者住宅(高齢者のための住居)

◎サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には「介護の必要がない、比較的に元気な高齢者のための施設」。

◎サービス付き高齢者向け住宅で義務付けられているのは、「安否確認サービス」と「生活相談サービス」の2つ。サービス付き高齢者向け住宅は有料老人ホームのように介護サービスの提供がない分、自由度の高い生活ができることが特徴。

◎しかし、最近では、有料老人ホームとサービス面で遜色のない施設も増えている。

⑤認知症高齢者グループホーム(認知症高齢者のための共同生活住居)

◎認知症の高齢者が、小規模な生活の場(1単位5人~9人の共同居住形態)に居住し、食事の支度、掃除、洗濯等をグループホームの職員と共同で行い、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることを目的とする施設。

⑥養護老人ホーム(環境的・経済的に困窮した高齢者の施設)

◎養護老人ホームの最大の目的は、名前にあるように「高齢者の『養護』」。

◎そのため、収入がなくて窮乏している高齢者や、身寄りがないといった困難を抱えている高齢者をサポートする役割を担う。入居者に対して、主として日常生活上の支援や社会復帰の手助けを行う。

◎経済状況などの厳しい基準をクリアしてはじめて、入居が認められる。

◎また、かつては、介護サービスは受けられなかったが、現在は施設が契約する介護事業者により介護サービスが受けられる。

⑦介護老人保健施設(要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設)

◎リハビリを専門的に行う入所施設で、病院を退院して在宅復帰するまでの橋渡しをする施設。

◎看護師が夜間も常駐し、常勤の医師もいるなど、医療面でのサポート体制も整っている。

⑧介護医療院(医療の必要な要介護高齢者の長期療養施設)

◎2018年4月からスタートした、長期療養のための医療を必要とする人向けの施設。

◎これまでもそういった人のための施設として介護療養型医療施設があったが、2017年度末を持って廃止された。

◎介護療養型医療施設に、居室面積を広げるなどして、住まいとしての機能を強化させて設置されたのが介護医療院になる。

----------------------------------------------------

④サービス付き高齢者住宅(高齢者のための住居)については、最近、数多く供給されているので少し補足します。

◎サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」「介護型」の二種類がある。

◎多くの場合は「一般型」。介護サービスを必要な分だけ個別で契約して受ける。

◎要介護度が重い人でも入居できる「介護型」もある。こっちは国が定めた基準で介護スタッフを配置、介護サービスを提供する。

◎「介護型」は有料老人ホームと同じ利用権契約のため、入居一時金、あるいは賃貸借契約で前払い家賃として数百万~数千万円が必要なケースがある。

【基本的に受けられるサービス】

◎安否確認サービス
    スタッフが定期的に居室を訪問する見守りサービス。時間や頻度は施設によって異なる。スタッフがいない夜間などの時間帯は、緊急通報システムにより対応。

◎生活相談サービス
    常駐しているスタッフが生活の中の困りごとについて相談を受ける。スタッフは社会福祉士や介護福祉士、介護職員初任者研修などの資格を有する。

【オプション、または個別契約で受けられるサービス】

◎生活支援サービス

    食事の提供や、掃除、洗濯などのサポート。通院や買い物への付き添い。各サービスはオプションとして用意している。

◎身体介護サービス

    入浴、食事、排泄などを介助。介護度等の状態に応じて外部の訪問介護サービスを契約。

◎リハビリ、医療行為 サービス

 体の機能を回復させるためのリハビリ、また医療行為も外部の訪問看護や訪問リハビリなどと契約して受けることができる。

◎レクリエーションサービス

◎看取り

    「介護型」で看護師が24時間常駐していたり、協力医との連携が整っていれば対応可能な施設もある。

【身元引受人、連帯保証人について】

◎多くの場合、入居にあたっては連帯保証人・身元引受人を必要とする。

◎連帯保証人が用意できない場合は、高齢者住宅財団の家賃債務補償制度を利用する方法がある。

◎身寄りがあっても身元引受人となる方がいない場合は、要相談。

【退去要件について】

◎入居後に認知症が進行したり日常的な医療的ケアが必要な状態になった場合は、十分な対応ができなくなるケースがある。

 ※サービス付き高齢者住宅について詳しく知りたい方は老人ホーム検索サイト「LIFUL」等のホームページを参照ください。

 LIFULのホームページ https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/house/service/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セーフティネット住宅の登録数が激増

2021-10-12 16:48:41 | 住宅セーフティネット/高齢者の住まい

国交省が掲げる登録目標は令和3年3月までに17万5,000戸であったが、

「セーフティネット住宅情報提供システム」のHPによると

2021年10月12日現在の総登録戸数は 617,762 戸※であり、3月までの登録目標の3.5倍に達している。

※セーフティネット住宅情報提供システムのHP → https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php

 <登録数上位10都道府県> 登録数で比較するのはあまり意味はない。

 1位:愛知県 58,540戸

 2位:埼玉県 45,311戸

 3位:東京都 41,138戸

 4位:大阪府 36,014戸

 5位:千葉県 34,.597戸

2021/10/8の日経新聞「コロナ後の都市・住宅政策」(平山洋介神戸大学教授)を読むと、

総登録戸数の9割を超える住宅が特定企業の物件で、

さらに、この特定企業の内訳をみると、住宅確保要配慮者のみを対象とする専用住宅はゼロ。

空家は2.1%にとどまり、その多くは一般世帯が入居済みの物件とみられる、となっている。

否定的に捉えると、いろいろあるが、単純に「入居を拒まない住宅が増えた」と肯定的に捉えるしかない。

とはいうものの、やっぱり空き家が数パーセントだとセーフティネット住宅の登録数が激増しても・・・・・・・。

ところで、肝心のセーフティネット住宅に対するニーズの実態はどうなっているのだろうか。

感覚的にはニーズは間違いなくあるだろうが、これが顕在化しているのか?

不動産屋さん、居住支援協議会、居住支援法人等に問い合わせが多いが供給できる紹介できるセーフティネット住宅が

無くて困っているとか、これが知りたいところだ。

 

専用住宅にしないと、下表のような支援措置は受けられないので、企業にとっては登録するメリットは少ない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

前回のセーフティネット住宅登録数の続き

2021-05-10 12:25:30 | 住宅セーフティネット/高齢者の住まい

国交省住宅局安心居住推進課の「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について」(令和3年3月)によると、セーフティネット住宅の登録目標数である17.5万戸(令和3年3月の目標数)を達成したようである。

登録数が大幅に伸びた県としては、愛知県の約55,000戸(約14,000戸)、千葉県の約28,000戸(約500戸)があげられる。( )内の数字は令和2年8月時点。

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750359.pdf

この驚異的な登録数の伸びはどのような要因によるものか、知りたいところである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度等について」の資料を見て

2021-05-07 13:38:59 | 住宅セーフティネット/高齢者の住まい

国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度等について」(令和2年9月3日)によると、都道府県別のセーフティネット住宅(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅※)の登録数は大阪府が約2万400戸で突出して多い。

次いで愛知県の約1万4,400戸、兵庫県の約1万1,900戸となっている(令和2年8月31日時点)。

これに対し東京都はわずか約2,400戸である。なぜ、こんなに東京都は少ないのだろうか。

 ※住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅:低額所得者、高齢者、障害者、外国人等住宅の確保に特に配慮する人たち(要配慮者)として位置づけ、これら要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅。

週刊高齢者住宅新聞onnlineによると、大阪府が突出して多いことの要因として、国交省担当者は「大阪府が施策の推進に力を入れている」ことをあげ、記事では、その背景には生活保護受給率の高さがあると考えられる、としている。

 

賃貸人に対するアンケートによると、

入居制限については

 ・「高齢者のみの世帯は不可」11.4%

 ・「単身高齢者(60歳以上)は不可」10.9%

 ・「障害者は不可」11.0%

 ・「生活保護受給者は不可」11.3% 

となっている。

また、住宅確保要配慮者の入居に対する賃貸人の意識をみると

 ・障がい者に対しては約7割が拒否感

 ・高齢者に対しては約8割が拒否感

を示している。

年末に前期高齢者の仲間入りをする当方としては、老後の住まいに対する不安は大きい。

現在は持ち家ではあるが、ローンが終了したわけではなく、今の家を処分しなければならない状況も起こりうる。

その時、公営住宅にたぶん空きはないだろうし、民間賃貸住宅も拒否されるとなると行き場がなくなる。

とにかく、セーフティネット住宅の登録数が増えることを期待するしかない。

特に東京都及び首都圏で。

登録住宅の推移を見ると、令和2年8月のセーフティネット住宅の受付・審査中の戸数が大幅に伸びていることから、今後、登録住宅がこの調子で増えていくといいのだが・・・・。

ところで8月が大幅に伸びているのはなぜだろうか?

ちなみに、国交省が掲げる登録目標は令和3年3月までに17万5,000戸である。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする