そう「大風呂敷」で有名な、あの後藤新平の特集展である。
東京市長としての「大風呂敷」ぶりや関東大震災後の帝都復興に向けた功績は有名だが、もともとは外科医だったことや、晩年はボーイスカウト活動に多くを注いだことは知らなかった。
後藤新平のトレードマークともいえる、あの鼻眼鏡をかけて写る目つきの鋭い肖像画のイメージがあまりにも強すぎて、ボーイスカウト姿のやさしいおじいさんの顔つきは、すごく新鮮だった。
それにしても、改めて年譜を知ると、そのすごさに驚かされる。
○岩手水沢の下級武士の家に生まれ、幼い頃は朝7時から夜の10時まで、毎日のように筆写などに励んでいたそうだ・・・すごい。
○そして外科医になり、24歳で愛知医学校長兼愛知病院長(現名古屋大学医学部と付属病院)になったとのこと・・・若い。
○その後、国の内務省衛生局長になり、日清戦争絡みの検疫所の建設やアヘン政策などに携わっていくうちに、台湾総督府の主要ポスト、満鉄の総裁と上りつめ、都市政策・都市計画の面で才能が発揮されていく・・・すごい転身ぶり。
○日露戦争が終わると、国の中枢で逓信大臣、内務大臣、外務大臣などを歴任する・・・やっぱりすごい。
○そして、東京市長に抜擢されると、国家予算が15億円の時代に都市改造のための「8億円計画」を発表する・・・これが「後藤の大風呂敷」。
○8億円計画はほとんど実現されないが、関東大震災が発生したことを機に帝都復興院総裁となり、「帝都復興計画」というかたちで新平の構想が実を結び始め、今の東京の基礎をつくることになる。
政党政治を好まなかったようで、総理大臣になれる器をもっていながら総理大臣になることはなかったが、もし新平が総理大臣になっていたら、今の東京は相当かたちを変えていたような気がする。
9月9日(日)まで両国の江戸東京博物館で開催
-9:30~17:30(土曜は19:30まで、月曜休)
■江戸東京博物館ホームページ
常設展観覧料(600円)で観られるが、1日がかりじゃないと、新平展+常設展をくまなく観ることはできないと思うので注意!(実際、僕は常設展をほとんど観られなかった)
〈関連情報〉
○ETV特集で5月に放映されたのを見逃した。いつ再放送されるかわからないので、どなたか録画していれば・・・。
○雑誌『東京人』の来月号が後藤新平の特集だったような・・・曖昧な記憶ですが。
(oba)