社会空間研究所 建築・まちづくり通信

社会空間研究所の所員が建築・まちづくりに関する情報等を気ままに綴ったブログです。
2007年6月からスタートしました。

特定空家の略式代執行は大変だ

2021-10-25 18:16:01 | 空き家空き地

雑誌「再開発 2021.10」(発行:全国市街地再開発協会)の空き家対策

「静岡市が行った略式代執行の実例」を読んで、空家対策の大変さを改めて知りました。

忘れないよう、略式代執行の流れを以下に整理することにします。

①行政代執行と略式代執行の違い

○「行政代執行」とは、特定空家等の所有者等に代わって行政が強制的に措置を行うことをいい

○「略式代執行」とは、特定空家等の所有者等が特定できない場合、行政が措置を行うことをいう

○行政代執行は「行政代執行法」に基づき行われ、特定空家等の措置にかかる略式代執行は「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき行われる。

○代執行の費用負担:行政代執行の場合、代執行に掛かった費用はすべて空き家等の所有者等が負担する。
 略式代執行の費用は、所有者等が特定できないことから行政が負担することになる。また、行政が財産管理人制度を活用して土地を取得・売却し費用に充てることもできる。

 

②静岡市の略式代執行の概要

 1)建物の状況等

 ○建物は平成30年に静岡市が初めて特定空家に認定した中の1件

 ○登記名義人は亡くなっていて、相続人は相続放棄

 ○建物は、通行量も多く、通学路にもなっていた公道に面し、外壁の剥落も進んでいた。

 2)略式代執行までの流れ

 【予算措置(R元年度)】

  ○このまま放置すると危ない状況のため財政部署に予算要求

   ↓

 【審議会への意見聴取】

  ○市の空家等対策審議会の意見聴取のため審議会を開催(R2.6)

  ○略式代執行が妥当であることの答申(R2.7)

   ↓

 【除却に関する公告】

  ○官報への掲載及び市役所掲示板への掲示(R2.8)

   ↓

 【残存物の処理】

  ○見えるだけでも様々なものがあり、残存物(動産)への対応も課題だった。

  ○環境部署の協力のもと残存物を確認しながら処分。

  ○一部の動産については一時的に保管

   ↓

 【施工業者の決定】

  ○最初の見積合わせを行ったが不調に

  ○再度、業者を選定し、見積合わせを行い解体業者が決定

   ※不調の原因:除却する建物の規模に対し、作業性が悪く、困難性が高いと判断された。

   ↓

 【隣接所有者との調整、議会及び近隣への周知】

  ○隣地の建物にも養生等が必要だったため、隣地の建物所有者の了承も必要だった。

  ○工程が決まった段階で地元自治会長や周辺住民への作業の周知を行った。

  ○静岡市で初めての略式代執行だったため、報道関係・議会等への情報提供を行った。

   ↓

 【除却工事の実施】R3.2.27~R3.3.24に実施

  ○複数の報道関係者から取材申込みがあったため、施工業者に支障をきたさないよう配慮した。

  

③略式代執行で苦労した点・課題等

 【苦労した点】

  ◎残存物の処理に対するノウハウがなく苦慮した

  ◎隣地所有者との調整

  ◎議会や報道関係者への周知

 【課題】

 ◎審議会で「相続財産管理人」の検討について意見があったが、隣地所有者の購入の意思がなかったこと、市街化調整区域で売却できる見込みもなかったことから、相続財産管理人の申し立ては行わなかった。これにより、費用回収のめどが立たないうえ、跡地の処分や管理が課題として残った。

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多摩川河川敷でプレーパーク

2021-10-15 16:24:10 | かわさきのこと

川崎市高津区の多摩川河川敷で、プレーパークが開催されました。

これは、川崎市子ども夢パークで知り合った人たちで、市民グループをつくって自主的に開催している活動です。弊社の社員もプライベートな活動として関わっています。

今年は緊急事態宣言などでなかなか開催できなかったのですが、やっと10月10日に開催することができました。

 

今回は、サプライズでしゃぼん玉おじさんという方が来てくれて、河川敷をしゃぼん玉でいっぱいにし夢の世界にしてくれました。

子どもだけでなくおとなも大喜び。たくさんの人が集まってきました。

このしゃぼん玉の作り方が特徴的で、2本の釣り竿みたいな棒に網をつけて、そこにシャボン玉液をつけて飛ばします。

このしゃぼん玉おじさんは、川崎や世田谷あたりのプレーパークのような遊び場に登場して、たくさんの人を喜ばしてくれています。

先日紹介した登戸・遊園ミライノバでもしゃぼん玉を飛ばしている予定だったのですが、コロナ禍のなか人がたくさん集まってくるので中止になってしまいました。

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セーフティネット住宅の登録数が激増

2021-10-12 16:48:41 | 住宅セーフティネット/高齢者の住まい

国交省が掲げる登録目標は令和3年3月までに17万5,000戸であったが、

「セーフティネット住宅情報提供システム」のHPによると

2021年10月12日現在の総登録戸数は 617,762 戸※であり、3月までの登録目標の3.5倍に達している。

※セーフティネット住宅情報提供システムのHP → https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php

 <登録数上位10都道府県> 登録数で比較するのはあまり意味はない。

 1位:愛知県 58,540戸

 2位:埼玉県 45,311戸

 3位:東京都 41,138戸

 4位:大阪府 36,014戸

 5位:千葉県 34,.597戸

2021/10/8の日経新聞「コロナ後の都市・住宅政策」(平山洋介神戸大学教授)を読むと、

総登録戸数の9割を超える住宅が特定企業の物件で、

さらに、この特定企業の内訳をみると、住宅確保要配慮者のみを対象とする専用住宅はゼロ。

空家は2.1%にとどまり、その多くは一般世帯が入居済みの物件とみられる、となっている。

否定的に捉えると、いろいろあるが、単純に「入居を拒まない住宅が増えた」と肯定的に捉えるしかない。

とはいうものの、やっぱり空き家が数パーセントだとセーフティネット住宅の登録数が激増しても・・・・・・・。

ところで、肝心のセーフティネット住宅に対するニーズの実態はどうなっているのだろうか。

感覚的にはニーズは間違いなくあるだろうが、これが顕在化しているのか?

不動産屋さん、居住支援協議会、居住支援法人等に問い合わせが多いが供給できる紹介できるセーフティネット住宅が

無くて困っているとか、これが知りたいところだ。

 

専用住宅にしないと、下表のような支援措置は受けられないので、企業にとっては登録するメリットは少ない。

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