読書日和

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「グラスホッパー」伊坂幸太郎

2008-05-17 15:42:48 | 小説
今回ご紹介するのは「グラスホッパー」(著:伊坂幸太郎)です。

-----内容-----
「復讐を横取りされた。嘘?」
元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに――
「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!


-----感想-----
グラスホッパーでは淡々とした世界観の中で、殺された妻の復讐を誓う男や非合法的な会社、殺し屋たちの激しいドラマが繰り広げられます。
「押し屋」は、道路でターゲットを後ろから押して、車に轢かせる殺し屋です。「鯨」は不思議な力でターゲットを必ず自殺させる、自殺専門の殺し屋です。
「蝉」はナイフで相手を切り裂く殺し屋です。
他にも、「スズメバチ」という、毒殺を得意とする殺し屋もいるようです。
殺し屋にも「業界」があるらしく、各殺し屋の情報はそれなりに知れ渡っています。
今回「押し屋」が殺した相手が、悪事を働く非合法会社「令嬢」の社長の息子で、息子を殺された社長が激怒。
「押し屋」を追うべく、会社をあげて追跡が始まります。
一方、社長の息子に復讐すべく、「令嬢」の社員になり潜入していた「鈴木」は、「押し屋」に先を越されてしまいます。
「令嬢」の女幹部に脅され「押し屋」を追うことになる「鈴木」だが、当然一筋縄で行くはずもなく、怒濤のような展開が待っているのです。
というわけで、今回の伊坂作品はかなりシリアスな物語です。
「殺し屋」をテーマにしているのが珍しいなと思いました。
物語が進むにつれて、「鈴木」「押し屋」「鯨」「蝉」が交錯していくことになります。
そこには「令嬢」も絡んできて、息つく暇もないような展開になっていきます。
物語が進むにつれて、次第に増えていく死人の数。
これだけたくさんの人が死ぬのは、今まで読んだ伊坂作品の中で初でした。
注目の「殺し屋対決」もあり、これで決着かと思ったら、その後どんでん返しが待っていたりして、予断を許さない展開が続きました。
また終盤には、意外な形で「スズメバチ」が暗躍したりして、本当に驚かされました。

複数の人物の物語が交錯していくのは「ラッシュライフ」と同じでした。
でも今回は交錯の度合いが強く、それだけに激しい展開となりました。
一週間くらいかけて読もうと思いましたが、読み始めると止まらなくて、二日で読み終わってしまいました。
読みごたえ抜群の殺し屋小説、機会があったら皆さまも読んでみてくださいね☆

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