読書日和

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「イン・ザ・プール」奥田英朗

2008-05-26 12:30:30 | 小説
今回ご紹介するのは「イン・ザ・プール」(著:奥田英朗)です。

----------内容&感想----------
伊良部総合病院の地下にある神経科。
そこを訪ねた患者たちは、「いらっしゃーい」という甲高い声に迎えられる。
その精神科医の名は伊良部一郎。
色白の太った男だ。
訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。
こいつは利口か、馬鹿か?
名医か、ヤブ医者か?

というわけで、「イン・ザ・プール」を読んでみました。
2004年に直木賞を受賞した「空中ブランコ」へとつながる、伊良部シリーズの第一弾です。
まずタイトルの由来は何なのだろうという疑問がありました。
イン・ザ・プール……プールの中?
読み進めていくと、由来はすぐにわかりました。
伊良部の元を訪れた患者が、まさに「イン・ザ・プール」的な症状になってしまいます。
プールなしでは生活できない、プール依存症のような状態です。
ならば精神科医・伊良部の出番なのではと思いましたが、この医者、「とんでも精神科医」につきご用心ということで…。
むしろ患者さんの症状を悪化させてしまうこともしばしばです。
でもたまに、キラリと光る名言をすることもある伊良部。
果たして伊良部は名医なのか、それともヤブ医者なのか…?

この本では、一話完結の短編・中編が5本収録されています。
パターンは同じで、悩みを抱える患者が伊良部の元を訪れるというものです。
どの患者もちょっと変わった悩みを抱えていますが、「携帯依存」など現実社会でもよく聞く悩みもありました。
携帯電話で誰かとメールをしていないと不安になるのは、ニュースで取り上げられることもあります。
現実社会を風刺してもいる興味深い一冊でした。
直木賞受賞作「空中ブランコ」も読んでみようと思います。

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