新年最初の小説レビュー
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今回ご紹介するのは「政と源」(著:三浦しをん)です。
-----内容-----
「来年の桜を見られるのか、俺たちは」
「さあなあ」
東京都墨田区Y町。
つまみ簪(かんざし)職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。
どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。
それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。
弟子の徹平と賑やかに暮らす源。
妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。
ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。
そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
-----感想-----
禿頭(とくとう)で髪を赤く染めた堀源二郎と、総白髪の有田国政。
年は二人とも73歳。
超江戸っ子な感じの職人・源二郎と、ややダンディーな感じの元銀行員・国政。
それと源二郎の弟子の徹平、こちらは20歳。
この三人が物語の中心となります。
物語は国政によって語られて行きます。
物語の舞台は荒川と隅田川に挟まれた、三角州のような墨田区Y町。
この町には、二つの河川を結ぶ大小の運河が、迷路のように張り巡らされています。
実在する「江東デルタ地帯」という、荒川と隅田川にはさまれた、墨田区、江東区、江戸川区にまたがる地域がモデルになっていると思われます。
源二郎と国政はずっとY町に住んでいて、徹平は弟子入りした2年前から住んでいます。
つまみ簪とは布で出来た華やかな簪のことで、祇園の舞妓さんが髪に挿したり、七五三で着物を着た子が挿したりしています
簪を布で作るとは知らず、驚きました。
薄い布地を黄色や桃色や水色に染め、それを使って簪を作っていきます。
布を小さく切って、ピンセットで折り畳んで簪の部品にし、その部品で花や松など、色々なめでたい形を作って簪にするとのことです。
自由奔放で江戸っ子な源二郎は、髪の染め方も個性がありまくり。
一章では赤色だった髪が他の章ではピンク、青、緑と、色々な色に変化しています。
源の使う「おきゃあがれ」が印象的な言葉で(ちょっと待て、冗談じゃねえの意)、どの章でも一度は出てきたと思います。
私は「おきゃあがれ=起きやがれ」で、何寝ぼけたことを言ってるんだという意味で使っているのかなという印象を持ちました。
一方の国政は、何だか卑屈な感じ。
長年連れ添った妻にも愛想を尽かされ出て行かれ、そのことをかなり気にしています。
いきなり家を出て行った妻に憤ってもいるようですが、その憤りぶりが何だか傲慢さ全開で、どう見てもその傲慢さにうんざりして奥さんは出て行ったのだろうと思いました
また政と源は性格も全然違いソリも合わず、よく喧嘩をしています。
政の心の声で「まったく大人げない。70を過ぎた男のすることか」と源に言っていましたが、私的にはどっちもどっちだと思いました(笑)
政は政で独りよがりであれこれ憤ってばかりなところがありますし。
まあなかなか面白い二人です。
そして物語に彩りを添えてくれるのが源の弟子の徹平と、その彼女のマミ。
二人のおかげでだいぶ物語が明るく楽しいものになっていると思います
東京の下町を舞台にした人情劇、とても面白かったです
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今回ご紹介するのは「政と源」(著:三浦しをん)です。
-----内容-----
「来年の桜を見られるのか、俺たちは」
「さあなあ」
東京都墨田区Y町。
つまみ簪(かんざし)職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。
どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。
それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。
弟子の徹平と賑やかに暮らす源。
妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。
ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。
そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
-----感想-----
禿頭(とくとう)で髪を赤く染めた堀源二郎と、総白髪の有田国政。
年は二人とも73歳。
超江戸っ子な感じの職人・源二郎と、ややダンディーな感じの元銀行員・国政。
それと源二郎の弟子の徹平、こちらは20歳。
この三人が物語の中心となります。
物語は国政によって語られて行きます。
物語の舞台は荒川と隅田川に挟まれた、三角州のような墨田区Y町。
この町には、二つの河川を結ぶ大小の運河が、迷路のように張り巡らされています。
実在する「江東デルタ地帯」という、荒川と隅田川にはさまれた、墨田区、江東区、江戸川区にまたがる地域がモデルになっていると思われます。
源二郎と国政はずっとY町に住んでいて、徹平は弟子入りした2年前から住んでいます。
つまみ簪とは布で出来た華やかな簪のことで、祇園の舞妓さんが髪に挿したり、七五三で着物を着た子が挿したりしています
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簪を布で作るとは知らず、驚きました。
薄い布地を黄色や桃色や水色に染め、それを使って簪を作っていきます。
布を小さく切って、ピンセットで折り畳んで簪の部品にし、その部品で花や松など、色々なめでたい形を作って簪にするとのことです。
自由奔放で江戸っ子な源二郎は、髪の染め方も個性がありまくり。
一章では赤色だった髪が他の章ではピンク、青、緑と、色々な色に変化しています。
源の使う「おきゃあがれ」が印象的な言葉で(ちょっと待て、冗談じゃねえの意)、どの章でも一度は出てきたと思います。
私は「おきゃあがれ=起きやがれ」で、何寝ぼけたことを言ってるんだという意味で使っているのかなという印象を持ちました。
一方の国政は、何だか卑屈な感じ。
長年連れ添った妻にも愛想を尽かされ出て行かれ、そのことをかなり気にしています。
いきなり家を出て行った妻に憤ってもいるようですが、その憤りぶりが何だか傲慢さ全開で、どう見てもその傲慢さにうんざりして奥さんは出て行ったのだろうと思いました
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また政と源は性格も全然違いソリも合わず、よく喧嘩をしています。
政の心の声で「まったく大人げない。70を過ぎた男のすることか」と源に言っていましたが、私的にはどっちもどっちだと思いました(笑)
政は政で独りよがりであれこれ憤ってばかりなところがありますし。
まあなかなか面白い二人です。
そして物語に彩りを添えてくれるのが源の弟子の徹平と、その彼女のマミ。
二人のおかげでだいぶ物語が明るく楽しいものになっていると思います
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東京の下町を舞台にした人情劇、とても面白かったです
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