里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

コヒロハハナヤスリ 窪地の樹下

2017-03-14 | 日記

一関市藤沢町大籠地区の南東部、二股川支流奥地に大善神(キリスト)の石祠があって、
そこから東の尾根筋を上ると平坦地があります。そこから別尾根を経由して、反対側の
沢に下ることにしました。今の季節、雑木林の中は明るく、笹竹の少ない山なら道が無く
ても自由に歩き回ることができます。
ただ、方向感覚が狂うと大変なことになりますけど。

この辺りの山は沢の源頭が浅い窪地になっていて、そこに腐葉土が厚く堆積して
いるので、山野草にとっては肥沃な圃場のようなものでしょう。
そんな窪地のあちこちに、エイザンスミレやヒナスミレが咲き始めています。
窪地を下って行くと1本の朴の木があり、その周りの枯葉の間から小さな一枚葉が
顔を覗かせています。変わったシダ植物で、ハナヤスリの仲間でしょう。




                             二枚とも2016.4.20撮影

朴の木を中心に、2m四方ほどの範囲に群生していて、葉の数にして30枚ほどでしょうか。
まだ芽を出したばかりのものもあるので、もっと広範に生えてくるのかも知れませんね。

葉の幅が狭いので、コヒロハハナヤスリでしょう。
漢字表記すれば「小広葉花鑢」で、ヤスリが付くのは巻いた葉の基部から伸びている、
胞子葉の形から来るもので、工具の丸ヤスリに似ています。
この胞子葉はもっと丈が伸びて、6月頃には15cmほどになるようです。


                                 2016.4.20撮影

ハナヤスリ科ハナヤスリ属の夏緑性羊歯植物で、東北南部~沖縄に分布する。
宮城県を北限とする図鑑もあるが、岩手県の一関市等で自生が確認されている。
暖地に多く、湿り気のある原野や林下、社寺境内や墓地などに自生する。
4~11月の生育期間中2~3回新葉を生じ、胞子は主に初夏と初秋に熟す。
根茎は短い塊状か円柱状で、直径3mm以下。
栄養葉は普通1枚で広卵形~長楕円形、長さ1~6cm、幅1~3cm、葉先は円頭~鈍頭。
基部は急に狭くなり短い柄がある。質は薄い紙質で、葉表は鮮緑色。
葉脈はあらい脈状、二次脈はあまり発達しない。
胞子葉は長さ6~16cm、先端の胞子嚢穂は長さ2~4.5cm。
胞子の外膜隆起ははやや粗く、連なって細かい網目模様をつくる。
関東や北陸では、絶滅危惧種に指定している都県が多い。



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