里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

クマシデ ホップ状の果穂

2018-07-10 | 日記
仙台市泉区朴沢の北部、大和町境の長倉山中腹を巡る林道を上がって行くと、小沢
の対岸にたくさんの実を付けた木が2~3本見えます。
近くで見上げると、ホップのようなつくりの果穂で、たぶんシデの仲間でしょう。

樹木図鑑で調べると、果穂のつくりからクマシデと思われます。自生環境も山地の沢
沿いとなっていますから、この点でも矛盾がないので、クマシデと同定しました。




                             二枚とも2018.6.30撮影

クマシデを漢字表記すると「熊四手」で、「四手」とは注連縄(しめなわ)や玉串に下げる、
折った和紙のことで、果穂をそれに見立てています。シデの仲間のうちでは最も大きな果穂
をつけることから、「熊」の字を当てたとする説があります。
シデ類の中では最も材が堅いことから、カタシデの別名もあります。

クマシデは成長が遅いので材が堅く、農具の柄、玩具、曲木にして傘の柄、靴型等に使われます。
その他には雑木として薪炭材や、シイタケの栽培用原木などにも用いられています。


〈六甲山系の樹木図鑑 クマシデ〉


                                 2018.6.30撮影


カバノキ科シデ属の落葉広葉樹で、 樹高15mの高木。岩手県以南の本州~九州に分布する。
山地の沢沿いに自生するが、個体数は少ない。雌雄同株。
樹皮は灰褐色で、縦に網目模様ができる。若木では平滑だが、成木になると縦に割れ目が入る。
葉は2列に互生し、葉身は長楕円形で長さ5~10cm、先端は長く伸びて尖り、基部は円形または
浅い心臓形で、側脈は20~24対あり斜めに平行して葉縁に達し、上面でくぼみ下面に隆起する。
葉縁には重鋸歯があり、葉質は薄い。
花期は4~5月、葉の展開とほぼ同時に開花する。雄花序は黄褐色で、前年枝の葉腋から下垂する。
雌花序は本年枝の先の新芽の中に出る。花が終わると、大量の雄花序が落下する。
果穂は長さ5~10cm、葉状の果苞が密生する。果苞は長さ1.5~2cm、縁に粗い鋸歯がある。
堅果は長さ4mmほどの扁平な長楕円形、果苞の基部に付く。


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