気仙沼市本吉町山田地区の北部、山中の踏査を終えて林道を下っていくと、山側
から伸びた枝に小さな白い花がたくさん咲いているのが見えます。
秋に美しい瑠璃色の実を付ける、サワフタギの花ですね。
東側の木々が伐採されて、午前中は林道沿いの木々に日が当るようになり、花付きが
良くなったものと思われます。
二枚とも2018.5.20撮影
草木染の代表的なものに茜染や紫根染があり、これには生地を染液に浸けた後に、色を定着・発色
させるための「媒染(ばいせん)」という工程があります。かつてはこの媒染剤として、灰汁を用い
たようです。東日本や東北地方では、サワフタギを燃やした灰を用いたようで、これに含まれる
アルミ成分の作用で、高貴な紫色や、鮮やかな茜色を出したというのです。
ただ、1回の染めでは薄い色しか出ませんから、紫根染を例にすると「染めー媒染ー乾燥」を10回
繰り返すことで藤色になり、20回繰り返してようやく紫に染まる、そんな根気の要る作業だった
ようです。サワフタギにはニシコリ(錦織)という別名もあり、それが染色に用いられた証なの
でしょう。有名なテニスプレーヤーの「錦織」、ご先祖様は染色業だったのかも知れませんね。
2018.5.20撮影
サワフタギは2015年の3月に観察して、記事をアップしています。
属性や特徴については、下の青字をクリックして参照願います。
サワフタギ 文字どおりの樹形
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