登米市東和町米谷地区の南部、尾根筋の踏査を終えて、杉林の中を東側の谷へ
下っていくと、山の中腹を巻くように荒れた作業道が通っています。この作業道の方
が楽に下れるようなので、これをしばらく行くと、あちこちにゼンマイが生えています。
太いゼンマイではありませんが、このくらいの丈が採りごろでしょうね。
今回は採らないで、かわいらしく頭に綿を被った姿を愛でました。
写真のゼンマイは、先端の巻いた部分が薄いので、全て栄養葉で食べられます。
胞子葉の巻いた部分はボッテリと厚くなり、こちらはかためで食べられません。
二枚とも2018.4.26撮影
このあたりは冬でも雪が少ないので、ゼンマイは細く、綿も少なめですね。
多雪地域に生えるゼンマイは太く、厚い綿を被っています。
自給自足が原則のかつての山村では、ゼンマイの綿も大切な資源でした。
私が幼いころの話ですが、おばあちゃんたちの茶飲み話の中で、ゼンマイ綿を座布団に入れ
たとか、防寒用の背当に入れたとか・・おぼろげな記憶です。
新潟県長岡市の栃尾地区、ここに「栃尾てまり」という民芸品があります。
手まりは「良寛さま」の歌にも詠まれています。
霞たつ ながき春日を 子供らとてまりつきつつ この日くらしつ
手まりは玩具として、また子供が手まりのように丸々と丈夫に育つようにとの願いをこめて、
祖父母から孫への贈り物として作られていました。
はとむぎや大豆をゼンマイの綿で包み、手まりの芯にしたようです。それをくず糸で巻き、
さらに色とりどりの絹糸で華やかにかがり、房をつけて節句に飾りました。
子供らがついて遊ぶ手まりは、丈夫な木綿糸でかがったそうです。
2018.4.26撮影
ゼンマイ科ゼンマイ属の夏緑性羊歯植物で、北海道〜九州に分布し、草丈は0.5〜1m。
山地の沢沿いや、やや湿った北向斜面に多く自生し、しばしば群生する。
根茎は短く塊状。春に栄養葉と胞子葉を束生する。ともに新芽は、先端側が渦巻き状になって
いて、乳白色~淡褐色の綿毛を被っている。綿毛は葉が開く際に脱落する。
栄養葉の渦巻きは薄く平面的で、通称「おんなぜんまい」と呼び、山菜として食べられる。
胞子葉の渦巻きは厚みがあり、通称「おとこぜんまい」と呼ばれ、かたくて食べられない。
栄養葉の葉身は三角状披針形で、長さ30~50㎝、幅25~40㎝。 2回羽状複葉、最下部の羽片
が最大。小羽片は広皮針形~長楕円状皮針形で、先端は鈍頭、へりには細かい鋸歯がある。
胞子葉はまっすぐに立ち、小羽片は細い棒状で胞子嚢を密生している。
褐色で光合成能を欠く。胞子を出して、初夏には枯れる。
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