一関市花泉町日形地区北部、深い峡谷状の小河川沿いに帯状の杉林があって、その林床に
大型の羊歯が茂っているのが見えます。藪をかき分けて林内に入ると、何種類かの羊歯が
群生しています。大型のイノデ類やオシダ、中型のジュウモンジシダなどが多いですね。
そんな羊歯類の中に、ちょっと変わった羊歯を見つけました。
羽片が細い両刃の鋸のようになっているのが、タニヘゴによく似ています。
ただ、タニヘゴは日当たりのよい湿地などに生える羊歯で、このような薄暗い林内には生え
ないので、これはその仲間と思われます。
二枚とも2019.9.17撮影
羊歯植物図鑑でタニヘゴを検索し、その前後のページをめくるとイワヘゴという種があり、
草姿がよく似ているうえ、自生環境が林下や沢沿いの多湿地となっています。
念のため葉裏のソーラスを確認すると、イワヘゴのそれは羽片の羽軸寄りに付いているの
に対し、私の写真の羊歯は羽片の辺縁寄りに付いていますから、別の種ですね。
イワヘゴの後にオオクジャクシダという種が載っていて、これも草姿や各部位が私の写真の
羊歯によく似ています。葉裏のソーラスを確認すると、羽片の辺縁寄りに付いていて合致し
ます。念のため分布域を確認すると、北海道南部以南とありますから「オオクジャクシダ」
で間違いないでしょう。
2019.9.17撮影
オシダ科オシダ属の常緑性羊歯植物で、北海道~九州に分布し、草丈は50~90cm。
低山~山地のやや湿った林床や、渓谷沿いのスギ林内などに自生する。
根茎は短く直立して、葉を放射状に叢生する。
葉柄は長さ10~20cm、基部に線状披針形~楕円形で赤褐色~褐色の鱗片を密に付ける。
葉身は単羽状複葉、倒披針形で急鋭尖頭、長さ40~70cm、幅13~23cm。上から1/4あたりが
最も幅広く、下部羽片は中央部の半分程度に狭まる。
羽片は20~30対、三角状線形で長さ8~11cm、基部から中部までは両側が平行し、先端側は
次第に狭くなって、鋭尖頭。基部は広い楔形~切形で、短い柄があるか無柄。
縁は鈍鋸歯か、浅~中裂。質はやや厚い紙質、黄緑色で表面の葉脈は窪んで浅い溝になる。
ソーラスは羽片辺縁寄りに広く散在し、苞膜は腎円形で全縁。
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