里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

イボタノキ 黒い果実

2019-02-03 | 日記
登米市津山町柳津地区南西部、北上川右岸の車道を下流側へ歩いていくと大きな堤防が現れ、
川沿いには葦や潅木が茂る河川敷が広がっています。その河川敷を横切る一本の水路があり、
これは丘陵地から流れてきた沢水や田んぼの水を、北上川まで流す排水路と思われます。
水路の両側はきれいに刈り払われていて、川べりまで楽に行けそうです。

刈り払いされた水路脇を川べりへと歩いていくと、葦原の中にたくさんの黒い実を付けた、
樹高3mほどの木が茂っています。立ち寄って確認するとイボタノキですね。
平らな河川敷ですから日当たりが良好で、それで実生りがよいのでしょう。




                             二枚とも2019.1.30撮影

名の由来は、疣(いぼ)をとるのにこの木に付く蝋を溶かして使用したので、イボトリが
転訛してイボタになったと言われています。
その蝋ですが、イボタノキの樹皮には「イボタロウムシ」というカイガラムシの仲間が寄生し、
白い蝋状物質を分泌します。これを採取して精製したものを「イボタロウ」と呼び、生薬名は
虫白蝋(ちゅうはくろう)。その蝋を溶かしてイボに垂らすと、イボがとれるそうです。

この黒い実はアカハラ、オナガ、シジュウカラ、ツグミ、ヒヨドリ、メジロなどの野鳥が好ん
で食べると樹木図鑑等に記述されていますが、まだ食べられた形跡がありません。
食べられる前に落果してしまわないか、ちよっと気がかり。


                                 2019.1.30撮影

モクセイ科イボタノキ属 の落葉広葉樹で、樹高2~4mの低木。
北海道~九州に分布し、日当たりの良い川沿いや耕作地周辺、林縁などに自生する。
よく短枝が出て、幹には所々に枯れたものが刺状に残る。
樹皮は灰白色~灰褐色で、丸い皮目がある。
葉は対生し、葉身は長楕円形で長さ2~7cm、幅1~2cm。先端は丸みを帯び、縁に鋸歯は
ない。基部はくさび形。質は薄く、葉表は無毛で光沢がない。葉柄は長さ1~2mm。
花期は5~6月で、新枝の先に長さ2~4cmの総状花序を出し、たくさんの小花を付ける。
花冠は白色で筒状漏斗形、長さ7~9mm、先端は4裂する。裂片は長さ3mmほど。
雄しべは2個、葯は花筒から少し突き出る。雌しべは短い。
萼は低い4歯があり、短毛が生える。
果実は核果、広楕円状球形で長さ6~7mm、10~12月に紫黒色に熟す。
種子は長さ6mmほど。


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