一関市花泉町永井地区北東部、丘陵地の間の細い沢沿いの農道を上がって行くと、路肩や
農地法面に紅葉した野草が点々と生えています。自生環境や葉の形からオカトラノオと思
われます。既に数回霜が降りているはずで、多くの野草が枯葉になっているのに、この株
はきれいな紅葉を保っています。夏場に刈り払われた後で新たに茎や葉を出したため、葉
の持ちがよくなったものと推測されます。
二枚とも2020.11.19撮影
オカトラノオの名の由来は、長く伸びた花序をトラの尾に擬え、道端や草地に生えること
から頭にオカが付けられたようです。湿地や水路沿いに自生する仲間にヌマトラノオがあ
りますから、それとの対比を意図した名前なのでしょう。
地下茎を伸ばして増えるので、写真のように群生する傾向があります。
2020.11.19撮影
サクラソウ科オカトラノオ属の多年草で、北海道〜九州に分布し、草丈は0.5〜1m。
丘陵~山地の日当たりのよい道端や草地、林縁などに自生する。
横走する地下茎の節から、茎を直立させ、しばしば群生する。茎は円柱形で、白くて短い
軟毛がまばらに生え、基部は赤みを帯びる。
葉は互生し、葉身は長楕円形~狭卵形で長さ6〜13cm、ふつう先端は尖る。基部はくさ
び形で柄に続く。葉表全体と裏面脈上には短毛が散生し、裏面に淡色の腺点がある。
花期は6〜7月、茎の先に10〜30cmの総状花序を出し、白い小さな花を多数つける。
花序は直立せずに垂れ下がり、下部から順に咲き始めて、先端側へと移る。
花冠は直径1cmほど、花弁は合弁花で深く5裂する。 雄しべは5個、花糸には開出毛が
生える。雌しべは1個、雄しべよりも短い。受粉前の花柱は淡黄緑色であるが、受粉後は
橙褐色を帯びる。果実は卵球形の蒴果で、長径2.5mmほど。
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