里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ツルウメモドキ 永井の丘陵

2020-11-24 | 日記

一関市花泉町永井地区北東部、丘陵地の狭間の細い農道を入って行くと、あちこちに休耕
田があって牧草地になっていたり、完全に耕作放棄田になっていてヨシやスゲが茂ってい
たりします。そんな休耕田の法面は刈り払いが疎かになっているのか、場所によっては藪
と化していて様々な灌木やつる植物が繁茂しています。

丘陵地中段に広がる休耕田の周囲を巡っていると、山側法面の藪の中に赤い実がたくさん
生っています。歩み寄って確認すると、ツルウメモドキの実ですね。

                             二枚とも2020.11.19撮影

殆どの実は黄橙色の果皮が割れて、朱色の仮種皮が露出しています。
仮種皮はやや厚みのある果肉状で、さらに3~5つに分かれています。
それぞれの仮種皮の中には、長楕円状の種子が1個入っています。

ツルウメモドキの戦略は、朱色の仮種皮の状態で野鳥に食べてもらい、中に入っている種
子を遠くに運んでもらうことにあるのでしょう。
仮種皮の状態で地面に落ちても種子が発芽することはなく、鳥の消化器官を通過すること
で、ようやく発芽する条件が整うということです。

                             二枚とも2020.11.19撮影

ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉つる性木本で、日本全土に分布する。雌雄異種。
低地~山地の林縁や、山間の耕作地周辺の藪などに自生する。
つるは無毛で紫褐色、長く伸びて藪を覆ったり、他の樹木に絡み付いて梢まで上る。
巻きは左巻きで、太いつるは直径20cmほどにもなる。
葉は互生し、葉身は広卵形~円形で長さ5~13cm、先端は鈍く尖り、縁に不揃いの浅い鋸歯
がある。両面とも無毛。葉柄は長さ1〜2cm。托葉は落ちやすい。
花期は5〜6月、葉腋に短い集散花序を出し、雄株では数個、雌株では1〜3個の花を付ける。
花は黄緑色の星型で、直径6〜8mm、花弁、萼、雄しべは5個。花柄の下部に関節がある。
果実は蒴果。直径7〜8mmの球形で、11~12月に黄色に熟す。熟すと3裂して、橙赤色の
仮種皮に包まれた種子が現れる。種子は長さ4mmほど。



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