茨城県鉾田市、国道から分かれて台地上の畑地の中に伸びる集落道を行くと、道路脇にい
じけたような桜の木が数本植えられていて、そこに何かのつる植物が絡んでいます。
草藪に踏み込んで観察すると、豆状の赤い実が付いていますからマメ科の植物でしょう。
つるは堅く強靭ですから、木質のつる植物ですね。
宮城県内では見たことがないので、暖地の植物と思われます。
二枚とも2022.10.20撮影
野草図鑑でマメ科つる植物の写真を見ていると、赤い豆果の写真があって「タンキリマメ」
とあります。熟した莢は赤く、中には真っ黒な豆が2粒入っています。葉質はやや厚く、
3小葉からなっています。特徴が合致するので、タンキリマメで間違いないでしょう。
タンキリマメを漢字表記すると痰切豆で,この豆を食べると痰が出るのを治すとされたこ
とに由来します。ただこれは民間の言い伝えのようなもので、実際の薬効は無いようです。
二枚とも2022.10.20撮影
マメ科タンキリマメ属のつる性多年草だが、年数が経過したつるは木質化する。
関東地方以西の本州~沖縄に分布し、沿岸部~低山地の草地や林縁などに自生する。
つるは他の草木に絡んで長さ2m以上に伸び、下向きの黄褐色の短軟毛がある。
葉は3出複葉で互生する。小葉は倒卵形で長さ3~5cm、鈍頭で、頂小葉の基部は90度
以下の楔形、葉の中央より先寄りで葉幅が最も広い。葉質はやや厚く、表裏ともに毛深い。
花期は7〜10月、葉腋から花茎を上方に伸ばして花序を付けるが、花柄が短いので、花は
葉に隠れて目立たない。花序に5〜20花の淡黄色の蝶形花を付け、長さは8〜10mm。
萼は短軟毛を密生し、長さ6〜8mm、腺点があり、下部の萼裂片3個は狭卵形で鋭尖頭。
豆果は扁平な長楕円形で長さ12〜13mm、2〜4mmの柄がある。短白毛があり、紅熟し、
黒色で光沢のある種子を2個入れる。熟した豆果は弾けるが、種子は果皮についたままで、
はじき飛ばない。種子は楕円体で長さ4〜5mm。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます