里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

シャリンバイ 黒紫色の果実

2017-02-03 | 日記
宮戸島の里浜にある公共施設沿いの道を歩いていると、庭園内に何種類かの常緑
広葉樹が植えられていて、その一つに黒紫色の実がたくさん生っているのが見えます。 
葉が四方八方に展開していますから、シャリンバイですね。
従来は葉幅が広く丸っこいのをマルバシャリンバイと呼び、長楕円形の葉のものを
シャリンバイと分けていましたが、両者は連続的に変化するので区別しがたいとして、
最近では樹木図鑑でもシャリンバイに統一して解説しているようです。

宮戸島では、シャリンバイは海岸の岩壁や林道法面などに自生しています。
ただ、この庭園の株が自生株から実生で育てられたのか、植木屋さん任せで
植えられたのかは判りませんけど・・・
折角ですから、樹木名を記したプレートを立て、実生苗からなどと由来を入れて
くれれば上出来なんですけどね。




                            二枚とも2016.11.18撮影

超高級絹織物の大島紬は泥染めで知られていますが、絹布を泥に浸す前に、チップ
状にしたシャリンバイの樹皮と一緒に煮つめるのです。この樹皮に含まれるタンニンと、
泥の中の鉄分が結合して、特有の光沢のある渋い黒色に仕上がるのだそうです。
もちろん一度や二度の染めではなく、この工程を数十回繰り返すのだとか。
シャリンバイが「泥染め大島紬」という伝統産業を支えているわけです。
そんな縁からでしょうね、奄美市の「市の花」はシャリンバイです。



シャリンバイの果実を利用した草木染もあるのだとか。
こちらは大島紬とは関係ありませんが、果実に含まれるアントシアニンの作用で、
鮮やかな赤系統に仕上がるようです。


                                2016.11.18撮影

バラ科シャリンバイ属の常緑広葉樹で、樹高1mほどの低木。
宮城県以南の本州~九州に分布し、海岸近くの林縁や急斜面などに自生する。
常緑樹であること、花が美しいことなどから、庭木として各所に植栽されている。
幹は株立ち状で、数多く枝分かれする。
葉は枝先に密に互生し、倒卵形で長さ4~8cm、縁に浅い鋸歯がある。
質は厚く、表面に光沢があり、縁は裏に向かって反っている。
花期は5月で、枝先に円錐花序を出し、直径1~1.5cmの白い花を付ける。
がく片5個、花弁5個、雌しべの花柱は3個。雄しべは20本と多く、花粉が出ると
花糸が赤みを帯びる。花には芳香がある。
果実は球形の偽果で、直径8~12mm。初冬には黒紫色に熟し、表面に白粉をふく。
樹皮や材はタンニンを含み、染料に利用される。



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