一関市花泉町、地図を読むと丘陵地の中腹に水田記号が記されているので、林道から分か
れて細い農道を上がってみました。農道の先には休耕田が5~6枚あって、今は牧草地と
して利用されているようです。
休耕田は草丈が低いので、何か咲いていないか歩き回っていると、白っぽい小花が群れ咲
いているのが見えます。歩み寄って確認するとミゾカクシの花で、ごく淡い淡紅紫色の花
が無数に咲いています。田んぼの水路沿いや畦道などに帯状に咲いていることが多いので
すが、ここは広い休耕田ですから、数箇所に大きな群落を形成しています。
二枚とも2022.7.18撮影
ミゾカクシの茎は地を這って長く伸び、溝を隠すくらいに繁茂する事からの命名。
葉や花は小さく清楚に見えますが、実は有毒植物で、ロベリンという有毒成分が含まれて
おり、誤食すると嘔吐や呼吸困難・心臓麻痺などを起こし、重篤な場合は死に至ります。
先に触れましたが、ここは牧草地として利用されているようなので、牛が食べて中毒しな
いか心配になります。尤も、大型の機械で刈り取るのでしょうから、地際を這うように茂
るミゾカクシは、さほど刈り取られないものと推測されます。
2022.7.18撮影
キキョウ科ミゾカクシ属の多年草で、日本全土に分布する。草丈は10〜15cm。
田の畦や農道端、水路沿いなどの湿った場所に自生し、日当りのよい場所を好む。
茎は細く、地を這って長く伸びて多数分岐、節から根を出して増える。
葉は左右2列にまばらに互生し、披針形で長さ1〜2cm、低い又は波状の鋸歯がある。
花期は6〜10月、葉腋から長い花柄をのばし、淡紅紫色の花を1個つける。
花が終わると花柄は下を向く。花冠は長さ1cmほどでほぼ同じ大きさに5裂する。花冠の
裂片は、横向きに2個、下向きに3個と片寄ってつく。雄しべは5個で葯が合着して筒状
となって花柱を取り巻く。子房は2室。雄性先熟で、雄しべが花粉を出してから雌しべが
伸び出し、自家受粉を回避している。柱頭は2裂。
果実は蒴果で、長さ5~7mmの円錐状棍棒形。
種子は赤褐色で表面に細点があり、長さ0.3mmほどの広卵形。
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