里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヒメガマ 小湿地に群生

2017-03-01 | 日記
花泉町永井地区で、丘陵上の林道から細道を下っていくと、中腹の緩斜面に
水田が何枚かあって、その脇の水路にガマが群生していました。
水の浸み出しがあるのか、水路にしては幅が広く、小湿地のようになっています。
良く見ると普通のガマよりも小振りで、葉幅が狭く、茎頂の花穂も細めです。
それに花穂のつくりがちょっと変わっていて、上の雄花穂と下の雌花穂の間に、
4cmほどの緑色の軸が現れています。これはヒメガマですね。
ガマやコガマは雌雄の間が空いていないので、容易に識別できます。




                             二枚とも2016.8.7撮影

細い葉で立ち上がるため、葉はガマに比べてより強靭です。
感触は堅く、そのためガマ細工には使えないようです。

かつて農山村では、家族が履く草履(ぞうり)や草鞋(わらじ)はお爺さん・お婆さんが
編んでいました。普通は藁で編むのですが、お婆さんは足腰が弱ってきますから、
柔らかい素材の草履が履きたいのでしょう。自分用にはガマの葉で編んだりしていま
したね。柔らかで履き心地はよいのですが、その分耐久性がなく、若い人が履いたり
すると直ぐに擦り切れてしまいます。他には円座や筵(むしろ)を編んだりもしました。
藁のものよりはフカフカで、高級感がありました。


                                 2016.8.7撮影

ガマ科ガマ属の多年草で、日本全土に分布する。
池沼のほとりや湿地の浅水中に群生し、傾向として内陸部よりも沿岸近くに多い。
地下茎や葉の内部は空洞の多いスポンジ状組織になっていて、これが通風ダクト
の働きをして、葉から取り入れた空気を水底の酸欠状態の地下茎や根に送り込む。
この地下茎を横に伸ばし、各節から多数のひげ根を束生し栄養繁殖する。
草丈は2mほどで、ガマと殆ど変わらないが、葉は細く、幅は1cmほど。細い葉で立ち
上がる必要からガマに比べて質は堅い。
5~6月頃、葉間から高さ1.5~2m、直径4~5mmの茎を伸ばす。
花期は6~8月で、 茎頂に雄花穂が付き、その下に3~6cm空けて雌花穂が付く。
上部に付く雄花穂は長さ20~30cm、直径1cmほどで上方がやや細い。
花が終わると脱落するが、花軸は長い期間残っている。
雌花穂は雌花が密生してビロード状の円柱形となり、長さ6~20cm、直径8~15mmで
上方がやや太い。次第に成熟し、秋になると綿状になって飛散する。


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