石巻市北上町十三浜地区西部、海岸沿いの防潮堤を兼ねた国道を走行していると、道下の
海沿いに帯状の草地が続いています。空地に車を入れてから、国道法面を下って草地まで
下りると、そこには水溜まりもあって、湿地を好むカヤツリグサの仲間が群生しています。
水溜まりは浅く、底面はアスファルト舗装のように見えます。
たぶん、津波で破壊された旧国道の名残なのでしょう。
二枚とも2021.7.30撮影
カヤツリグサ科の図鑑をめくって似た植物を探すと、メリケンガヤツリとユメノシマガヤ
ツリの、球状に集まった小穂がよく似ています。一本一本の小穂の形状を見ると、先端が
栗のイガのように鋭く尖っていますから、ユメノシマガヤツリと思われます。
イガガヤツリという在来種も小穂がよく似ているものの、草丈が20~30cmしかない小型種
なので、これとは別物でしょう。
ユメノシマガヤツリはアフリカやオーストラリアが原産の帰化植物で、1982年(昭和57年)
に東京都の夢の島で最初に確認されたことから、命名されたようです。
海岸や砂質の湿地を好んで生えるようですから、生えている環境も合致します。
現在の主な生育地は南関東とありますが、大震災後の復興工事関連の車両がこの地に持ち
込んだのでしょうか。
二枚とも2021.7.30撮影
カヤツリグサ科カヤツリグサ属の多年草で、アフリカ~オーストラリア原産の帰化植物。
短い根茎から3稜形の茎(稈)を直立させ、草丈は70cmほど。
葉は線形で茎より短く、基部の鞘は赤紫色を帯びる。
茎頂部から、5枚ほどの長い苞葉をほぼ水平に伸ばす。葉幅は5~6mm。
花期は7~8月、茎頂部から2~7本の花梗を出し、直径3cmほどの花穂を付ける。
小穂は扁平な狭被針形で長さ2cm、幅2mmほどで赤褐色、先端は鋭く尖る。
7~16個の小花が2列に付く。鱗片は長楕円形。
花柱は3本、痩果は3稜。
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