なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

マイコプラズマ肺炎のマクロライド耐性

2024年10月26日 | 呼吸器疾患

 2011~2012年の肺炎マイコプラズマの流行時には8割がマクロライド耐性だったが、その後は耐性率は低下しているそうだ。

(ほとんど忘れていたが、当方が感染症学会・化学療法学会に行っていた時期で、確かにマイコプラズマのマクロライド耐性のセッションがあった。)

 肺炎マイコプラズマはP1タンパク遺伝子の違いで、1型と2型があり、1型はマクロライド耐性遺伝子の保有率が高く、2型は耐性遺伝子保有率が低い。流行時は1型が多かったが、その後は2型が多くなったので、マクロライド耐性株の比率が低下した主因ということだった。なるほど。

 基本的に治療薬の第1選択はマクロライドで、アジスロマイシン(ジスロマック®)500mg1日1回を3日間あるいは2g/日を1日1回だけになる。クラリスロマイシンは200mgを1日2回朝夕になる。

 48~72時間で解熱しなければ、テトラサイクリン系のミノサイクリン(ミノマイシン®)1回100mgを1日2回、またはキノロン系のたとえばレボフロキサシン(クラビット®)500mg1日1回になる。投与日数はアジスロマイシン以外は7~10日間。

 マイコプラズマ学会から「肺炎マイコプラズマ肺炎の治療指針」2017年が出ていて閲覧できる。

 

 キノロンはマイコプラズマに耐性を誘導しやすい。テトラサイクリン系はマイコプラズマに対する耐性誘導が起こりにくい。

 テトラサイクリン系の使用経験のある実地臨床医は少なく、臨床研究も少なくエビデンスに乏しい、とある。当方は昔の医者なので、マイコプラズマ肺炎にミノマイシンは使い慣れていて効果も実感している。

 

 下の図はCareNetの倉原優先生の記事に載っていた。

 

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肺炎球菌肺炎の経過?

2024年10月25日 | 呼吸器疾患

 10月11日に記載した右下葉全体に広がる肺炎の患者さんのその後。

 10月15日に担当の内科の若い先生から相談された。いつもは大学病院から呼吸器外来に来てもらっている感染症内科の先生に相談する。その週だと17日に来るはずだったが、10月17日~19日は感染症学会に出かけるので休診の予定だった。

 発熱が断続的に続いていた。炎症反応の変化は、入院時の白血球10800・CRP27.9が、白血球13800・CRP27.9と横ばいだった。患者さん本人としては入院時より少しいいようだが、酸素化と食事摂取量は変わらない。

 抗菌薬はセフトリアキソンで開始していた。経過が長く、実際は入院の1週間前から発熱があったらしい。肺膿瘍化しているかもしれないので、スルバシリン(ABPC/SBT)ではどうでしょうか、とお話した。

 通常経過をみる画像検査は胸部X線で行うが、胸部CTも行ってみることを勧めた。すると、右肺下葉の陰影は軽減して良くなっていた。その代わりに。右上葉に結節状の陰影があり、左肺にも軽度の陰影があった。

 新規の陰影が出たのはよくわからないが、経気道的に散布されたということだろうか。呼吸器科の意見を訊いてみたいということになり、地域の基幹病院呼吸器内科の先生にFAXを送って(診療情報提供書と画像のコピー)ご意見を伺った。

 結果は、「通常の肺炎として治療継続」ということだった。もう少し治療を継続して経過をみましょう、ということになった。

 

 10月20日にはすっきりと解熱して、10月23日の検査結果は白血球8300・CRP6.5と改善した。新規の陰影も軽減してきているようだ。

 10月24日2週間ぶりで来られた呼吸器外来の先生に相談すると、「肺炎球菌肺炎の典型的な経過で、入院後に出現した新規の陰影は免疫反応によるもの」、ということだった。

 

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マイコプラズマ肺炎

2024年10月21日 | 呼吸器疾患

 10月18日(金)午後に40歳代後半の女性が発熱・咳・咽頭痛で外来を受診した。娘さんが10月初めにマイコプラズマ肺炎で当院に入院していた。

 発熱外来の扱いになるので、コロナとインフルエンザの迅速検査を行ってからの診察になる。両者陰性で診察に回った。

 血液検査では白血球5800・CRP2.8 と軽度の炎症反応上昇があった。画像検査では、右肺下葉背側に淡い陰影があり、肺炎だった。

 マイコプラズマの抗原迅速検査はキットが入荷困難になり、PCR検査になっている。PCR陽性でマイコプラズマ感染と診断された。

 入院するほどでないので、外来治療となる。担当した若い先生はマクロライド(アジスロマイシン=ジスロマック®)内服を処方していた。

 

 ただ、この女性の娘さんは10月初めにマイコプラズマ肺炎で当院に入院している。その経過は、内科医院でマクロライド系のクラリスロマイシン内服を処方されても症状が続いた。再受診時にはニューキノロン(ラスクフロキサシン=ラスビック®)を処方された。

 それを3日くらい続ければ軽快したかもしれないが、高熱が続くとして当院を受診した。肺炎の程度からは外来でもよかったが、希望で入院した。

 マイコプラズマ抗原迅速検査で陽性だった。テトラサイクリン系のミノサイクリン=ミノマイシン®点滴静注3日間で解熱軽快した。もっともミノマイシン点滴静注薬の入荷困難で3日分でなくなってしまった。ミノマイシンの内服は院内にあったが、担当医は内科医院で処方されたラスビック内服としていた。約1週間で退院している。

 

 ということはマクロライド耐性のマイコプラズマの可能性があり、母親の方もミノマイシン内服でよかった?。(住所からみると、当院は診療圏としてはちょっと違うが、娘が入院したということで当院に来たのだろう。)

 基本的にマイコプラズマはself-limitedなので、抗菌薬がなくても日数をかければ軽快する(はず)。

 

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CO2ナルコーシス

2024年10月20日 | 呼吸器疾患

 10月15日(火)に地域の基幹病院呼吸器内科から転院依頼がきた。当院の呼吸器科外来(大学病院からの応援医師担当)に慢性呼吸不全で通院している70歳代半ばの女性だった。在宅酸素療法(HOT)が導入されている。

 

 電子カルテ(2016年導入、それまではオーダリングだけ)で確認すると、2002年から2008年まで当院の呼吸器科外来に通院している。

 最初は非常勤医の外来で、気管支拡張症としてマクロライドのエリスロマイシン300mg/日が処方されていた。2年後の2004年から呼吸器科の常勤医が診ていて、クラリスロマイシン200mg/日に変更された。

 2008年に呼吸器科医が退職して閉科となり、市内の内科医院に紹介になったらしい(診療情報提供書の記録はなかった)。

 2022年に顔面神経麻痺で当院のい耳鼻咽喉科でステロイドを使用したが、2日後に肺炎があることに気づかれて、内科に紹介された。この時は当時相席した自治医大卒の義務年限の若い内科医が担当した。

 通常の肺炎としてセフトリアキソンを使用したが、原疾患として非結核性抗酸菌症が疑われて、その増悪の可能性も考慮していた。(できる先生だった)

 クラリスロマイシン・リファンピシンで開始していたが、呼吸器科外来に来ている先生に相談して、アジスロマイシン・エタンブトールに変更になった。

 おそらくセフトリアキソンが効いて肺炎は軽快して退院した。その後は、相談した呼吸器外来の先生に通院していた。現在は抗菌薬は中止となっている。

 ただ喀痰検査では非結核性抗酸菌症は証明されていない。喀痰塗抹・PCR・培養は陰性だった。画像診断からの判断になる。直近の胸部X線・CT像は下記の通り。

 

 今回は10月11日(金)の夜に意識障害(昏睡状態)が出現して、救急要請された。通院している当院に搬入依頼が来た。当直はバイトで来ている外部の病院の先生(外科医)だった。内科疾患による昏睡は診れないとしてお断りしていた。

 患者さんは基幹病院に搬入された。肺炎を契機にしたCO2ナルコーシスと診断されて、NPPV(non-invasive positive pressure ventilation 非侵襲性陽圧換気)が開始された。

 転院依頼がきた段階でもNPPVは継続となっている。NPPVが外せない可能性があり、またいったん改善して外しても、再度NPPV装着になるかもしれない。入院が長期になる可能性があり、専門的治療をしても見込みがつかないので、後は通院している当院で診るようにということだった。

 「NPPVまでは行うが、気管挿管・人工呼吸まではしない」という慢性呼吸不全の患者さんに特有のDNARの方針になっていた。早急に転院の手配をしたが、最近は入院ベットが厳しいのと計画停電の予定もあって、18日(金)の転院予定となった。

 MEさんとも相談したが、NPPVの器械本体は小さいので装着したまま転院して来るんですかねえ、といっていた。後で器械は外して研修医が同乗して来ると連絡が入った。用手的にバッグバルブマスクで補助呼吸をして来るんだ、途中大丈夫かなあ、という話をしていた。転院時はすぐにNPPVを開始するのでMEさんもスタンバイすることにしていた。

 当日になって、前日から病状が悪化して転院はキャンセルになったと連絡がきた。持ちこたえられず悪化していくのか、改善したところでまた転院依頼が来るかわからない。

 

 呼吸器外来は週1回非常勤医担当で、在宅酸素療法の患者さんやステロイド使用の患者さん(急性増悪の可能性の高い患者さんたち)がいる。何度か入院した患者差はわかるが、常勤医が全部は把握していない。外来がある時に入院治療を依頼されるとわかりやすいが、時間外に増悪して受診されると、申し訳ないが日当直医によっては対応できないこともある。

 

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大葉性肺炎

2024年10月11日 | 呼吸器疾患

 10月9日(水)に80歳代の男性が発熱で受診した。前日の当直だった内科の若い先生が、その日も外来担当だった。

 胸部X線・CTでは、右下葉全体に浸潤影を認めた。背側は均一な浸潤影で腹側は斑状影が広がっている。境界が盛り上がって肺葉が膨張している。

 

 教科書的な肺炎の陰影だと思って見せてもらった。

 この患者さんは3日前の10月6日(日)に38℃の発熱で、発熱外来を受診していた。日直は前日からバイトに来ていた大学病院の外科医だった。

 コロナとインフルエンザの迅速検査(看護師が採取)は陰性だった。電話で駐車場の車にいる患者さんと話をして、解熱剤だけ処方していた。発熱以外の症状はなく、前日からの発熱と記載していた。

 肺炎と判明した後からでは何とでもいえるが、高齢者はインフルエンザ・コロナ以外ではウイルス感染で高熱というのはあまりない。基本的には細菌感染を考慮した方がいい。

 有事に再受診としていたが、高熱が続く時は翌日(月曜)に内科外来受診としてもらえばよかった。(肺炎の程度からみて、その日すでに肺炎はあったのだろう)

 

 この内科の若い先生は家族に頻回に電話をして、病状について丁寧に説明している。当方も含めて他の先生方も、必要な時だけ病棟から看護師さんに連絡してもらって、電話で説明するくらいだ。

 医局からも直接家族に電話しているところをよく見かけるというか、丁寧な口調の会話が聞こえてくる。この対応が家族との信頼関係につながるのだろう。なかなか真似できないことだ。

 

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マイコプラズマ肺炎

2024年10月08日 | 呼吸器疾患

 10月4日(金)には肺炎の21歳女性が入院した。(担当は昨日記載した先生とは別)経過が長くて、入院を希望されたようだ。

 9月20日から咳があり、26日から37.5℃の発熱もあった。28日には発熱40℃になり、近くの医院を受診した。

 発熱が続いて30日に同医院を再受診している。COVID-19の迅速検査は陰性で、マイコプラズマの検査もして陰性だったが、クラリスロマイシンが処方された。

 10月3日から咳がひどくなり、同医院を受診した。今度はラスクフロキサシン(ラスビック)が処方された。咳と痰が多く、むせるように咳込むということで、10月4日は当院を受診した。

 胸部X線で左肺炎を認めた。CTではair bronchogramを伴う浸潤影とその周囲の斑状影がある。白血球6200・CRP17.7と白血球<10000だった。

 肺炎球菌・レジオネラの尿中抗原は陰性で、マイコプラズマ抗原検査が陽性と出た。マイコプラズマ肺炎としてミノサイクリン(ミノマイシン)点滴静注で治療を開始して、翌日には解熱した。咳はまだ続いているのはマイコプラズマらしいか。

 マイコプラズマ抗原検査が感度約60%、特異度約90%なので、感度は低めだが特異度が高く信頼できる。ミノサイクリン単剤治療で軽快しているので、マイコプラズマで間違いないのだろう。

 クラリスロマイシンは効かなかった(マクロライド耐性)ことになる。キノロンは1日しか使用していないので、効果はわからない。

 

 当院で使用しているマイコプラズマ抗原キットは、富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Mycoで、検査室の話ではこれが一番いいということだ。

 ただし、入荷できなくなったので残りわずかになっている。その代わりに院内にあるコロナ用の迅速PCRの器械を使用してマイコプラズマのPCR検査ができるので、それで行うことにしたという。

 

 

 以前、「今日の治療指針」のマイコプラズマ肺炎の項には、マイコプラズマ肺炎は肺炎球菌肺炎と併発することがあり、どちらかだけの治療をすると症状が改善しないことがあるとあった。

 また肺炎球菌のカバーを通常のペニシリン(アモキシシリン)で行うと、ペニシリン耐性の肺炎球菌では効かないのでその可能性も考慮するとあった。

 つまりマイコプラズマ肺炎は肺炎球菌肺炎併発の可能性があり、その肺炎球菌がペニシリン耐性の可能性があり、セフトリアキソン+マクロライド(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)で治療しなさい、ということ。

 キノロンだと両者カバーできるが、結核が否定できればいう条件が入る。

 

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18歳の肺炎

2024年10月07日 | 呼吸器疾患

 10月4日(金)に市内の医院から紹介された18歳男性は左肺炎を認めた。外来で診ていた内科の先生が、病室に来て、抗菌薬をどうするかと相談された。

 4日前の9月30日から発熱37.5℃があり、医院を受診していた。COVID-19 とインフルエンザの抗原検査陰性で対症的な処方をしていた。

 翌日には39.5℃に上昇して、またCOVID-19 とインフルエンザの検査をしてまた陰性だった。10月3日に同居の祖父がCOVID-19 罹患と判明して、三度目のCOVID-19の検査をしたがやはり陰性だった。その日は抗菌薬(クラリスロマイシン)を処方した。10月4日にも発熱が続いて、咳もひどいとことで当院紹介になった。

 胸部X線で左肺に浸潤影があり、胸部CTで確認していた。すりガラス陰影ではなく、浸潤影だった。白血球3000・CRP11.1だった。

 肺炎の検査として、肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原、マイコプラズマ抗原検査を追加していた。相談された時は、まだそれらの結果が出ていなかった。

 年齢と白血球増加なし(むしろ低下)からはマイコプラズマらしい。陰影は典型的なマイコプラズマではないが、浸潤影を呈することもあるので何ともいえない。

 入院するほどではないので、外来での内服抗菌薬を何にするかということだった。βラクタム(オグサワ)+マクロライド(あるいはテトラサイクリン)というのもあるが、急性の症状で結核らしくはないのでキノロンでどうでしょうかと伝えた。

 

 その後、マイコプラズマの抗原検査陽性が判明した。抗菌薬はレボフロキサシンとミノサイクリン併用で処方していた。

 

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肺炎で酸素吸入10L/分

2024年10月06日 | 呼吸器疾患

 10月4日(木)の午前6時半ごろに隣町の救急隊から搬入依頼がきた。施設入所中の90歳代前半の男性が、オムツ交換の時に直院が発熱に気づき、酸素飽和度低下(60%台)・低血圧(80mmHg)があった。

 酸素吸入10L/分でも90%弱で、血圧はやはり80mmHg台だった。8件目ということで当院で受けたが、重症者用のベットは埋まっていた。その町の病院は救急は受けていない。

 病院到着時は酸素飽和度が94~95%になっていた。血圧は同様で、敗血症性ショックと判断されて(ふだんは降圧薬2剤)、リンゲル液を急速に点滴した。

 胸部聴診で異常音がよくわからない(あの陰影で)。最初は尿路感染症からの敗血症性ショックかと思った。

 画像検査では右肺に広範な浸潤影を認めた。尿カテーテル留置で細菌尿・膿尿はふだんからあるのだろうが、やはり同様だった。血液培養と尿カテーテル入れ替えで尿培養を提出した。

 時間外は簡易検査だが、到着して検査していると午前8時前になっている。通常の採血で検査室へ提出とした。

 血圧は90mmHg台から100mmHg台になってきた。補液で反応するなら見込みはある。ただ汎血球減少があり、Dダイマー著増がある。DICなのか。

 遠方から家族が来たのは午後になってからだった。年齢的に身体的負担がかからない範囲でできるだけの治療はするが、治療に反応しない時はDNARの方針で了解された。

 搬入時、救急隊は家族はそれで了解していますといったが、いっしょに来たのは親戚の人で、私は権限がありませんということだった。

 

 困ったのは点滴で救急外来で2回刺し直しをした。あと見える静脈がない。病棟に上がってから大腿静脈からCVカテーテルを挿入しようとしたが、動脈と静脈の重なりで困難を極めた。角度をつけたりしてやっと挿入した。

 病棟でやりくりして、ナースステーション隣の部屋の1床を確保してくれた。

 

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間質性肺炎の増悪

2024年09月30日 | 呼吸器疾患

 9月27日(金)の午前中に救急をみていた外科医(大学病院)から連絡がきた。当方が入院が必要な患者さんを担当する当番だった。

 患者さんは90歳男性で、前日に市内の内科クリニックから呼吸器外来(大学病院の非常勤医)に紹介になっていた。酸素飽和度が85%(室内気)だった。

 クリニックで間質性肺炎・肺気腫の経過をみていた。今年の6月にの画像撮影の依頼があり、胸部CTを行っていた。(画像だけの依頼で放射線科の読影レポートのみ)間質性肺炎の変化は軽度だった。

 今回は胸部X線・CTで両側肺野に間質性陰影(すりガラス陰影+網状影)を認めた。発熱もあり、白血球10300・CRP11.8と炎症反応上昇とLDHの上昇(465)を呈している。

 外来で診た先生は、急遽在宅酸素療法(HOT、2L/分)を導入して、帰宅としていた。戻されたクリニックの先生も驚いたのではないか。

 

 その日は呼吸困難ではなく、家族が朝に意識がぼんやりしている、とケアマネ―ジャーを呼んでいた。呼ばれたケアマネが新鮮血下血に気づいて、救急要請したという経緯だった。家族の話では1週間前からあったらしい。

 搬入時は意識清明で普通に会話ができる。年齢の割に体格が良く、話しぶりもしっかりしている。ふだんはADL自立で認知症はない。動きも良かった。

 外科医が肛門鏡で診て、内痔核を認めた。ただ観察時に出血がなく、そこからの出血(痔出血)で間違いないとはいえないため、大腸内視鏡はいずれ必要ということだった。腹痛はない。

 酸素2L/分で酸素飽和度は91~92%だったが、体動時は下がってしまう。酸素吸入は増量をする。

 90歳で治療の適応なしと判断したのかもしれないが、認知症・寝たきりではない。治療効果があるかという問題もあるが、治療の適応はあると判断される。

 地域の基幹病院呼吸器内科に連絡すると、やはり90歳ですかとはいわれたが、引き受けてくれた。治療しても反応に乏しい時や入院継続が必要な時は当院に戻してもらうことも伝えた。

 

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誤嚥性肺炎

2024年09月27日 | 呼吸器疾患

 9月25日(水)午後の発熱外来に88歳女性が受診した。発熱以外の症状はなかった。

 2日前の9月23日に退院したばかりだった。7月に転倒による仙骨骨折・脊椎圧迫骨折で整形外科に入院している。保存的治療後に急性期病棟からリハビリ病棟に転棟していた。

 整形外科としては鎮痛薬の投与くらいだが、誤嚥性肺炎を繰り返して、担当の内科医が治療していた。整形外科の入院は多いので、リハビリ病棟に転棟してからは担当の内科医が処方などをすることになっている。整形外科医は週1回の回診のみ。

 

 発熱外来なので、まずコロナとインフルエンザの迅速検査をすることから始まる。両者陰性だった。見に行くと息子さんの運転する車の助手席に座っていた。

 息子さんは「誤嚥性肺炎じゃないですか」という。食事の時のムセや咳があるのと、入院中に何度か説明を受けている。

 院内に入ってもらって、画像検査・血液尿検査を行った。胸部X線・CTで両側肺下葉背側に浸潤影と胸水を認めた。白血球10100・CRP7.1と炎症反応が上昇していた。

 

 すでにはっきり陰影が出ているので、退院する時にはすでにできていた可能性が高い。微熱くらいで経過して、退院2日目に38℃の高熱になったということだろう。

 急性期病棟に入院して、抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)で治療を開始した。治っては肺炎、治っては肺炎と繰り返すかもしれない。

 

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