なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

餅が詰まった

2024年09月23日 | 呼吸器疾患

 9月18日(水)の午後に病棟にいると、救急外来からアンビューバッグで人工呼吸をしながらの入院患者さんが上がって来た。

 自宅で餅を食べていて、のどに詰まらせたそうだ。救急隊到着時、心肺停止が確認されて、喉頭展開をして吸引後に餅を除去していた。

 ラリンゲアルチューブ挿入による人工呼吸と心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行って、病院に搬入された。特定医療行為(当地は基幹病院に連絡して指示を受ける)として点滴とアドレナリン静注を行っていた。

 搬入時はPEAの状態で心肺蘇生術が続けられた。心拍再開(140/分)が確認されたが、自発呼吸は戻らなかった。ラリンゲアルチューブから気管挿管に切り替えて、器械(ベンチレーター)による人工呼吸になった。

 バイタル(血圧、酸素飽和度)が安定したので、人工呼吸をしたままで頭部CT、胸腹部CTが行われた。特に心肺停止を来す疾患はなく、餅による一時的な窒息だった。

 救急担当は大学病院から来ている外科医だった。その時間の救急入院の当番になっている内科医に引き継がれた。

 意識は昏睡状態(低酸素脳症)で戻らなかった。人工呼吸を継続すればしばらくは持つが、約1週間くらいで心拍も低下して心停止になると見込まれた。

 家族は、2日間連続で大好きな餅を食べられたので、また心停止になった時は蘇生術はしなくていいです、ということだった。人工呼吸は継続して、自己心拍が続くところまで経過をみることになる。

 9月20日(金)は特に病状に変わりがなく、そのまま3連休に入ることになる。

 

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膿胸疑い

2024年09月22日 | 呼吸器疾患

 9月20日(金)に別の内科の先生から、相談された。9月13日(土)その先生が日直をしている時に、認知症で施設入所中の70歳代後半の女性が右上肢の脱力で受診した。

 頭部CT・頭部MRIで新規の脳血管障害は認めなかった。両下肢は拘縮して麻痺の有無がわからないという。整形外科でも診てもらったが、頚椎症でもないといわれた。

 入院時から胸部X線・CTで左肺に陰影があり、肺感染症として抗菌薬投与を始めていたが、発熱が出没していた。

 大学病院から呼吸器外来に来ている先生に相談していた。2017年に内科医院の依頼で行った胸部CTの画像があり、左上葉に炎症性とも腫瘍性とも確定できない小さな陰影があった。(画像検査依頼のみ)

 それとの関連で結核かもしれないといわれたそうだ。また精査・治療のため地域の基幹病院に紹介するのもありますともいわれていた。

 結核性は否定するのが難しいが、画像的には膿胸疑いで紹介していいのではないでしょうか、とお伝えした。その後、先方の病院に連絡して連休明けに転院の予定になっていた。

 

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急性肺炎

2024年08月30日 | 呼吸器疾患

 8月24日(土)の当直の時に、日直だった腎臓内科の若い先生が3名外来で点滴をしていた。いずれも終了後は帰宅予定ですといわれた。

 そのうちの一人は、23日金曜日に肺炎で入院した80歳代前半の男性だった。知的障害があり、障害者施設に入所している。

 

 これまでも2019年に急性肺炎(右下葉)で入院している。2023年に通院している泌尿器科で撮影した胸部X線でも、認識されていないが肺炎像が写っていた。

 時々、おそらく誤嚥性肺炎を繰り返しているのだろう。軽度だと自力で治癒していて、免疫力で抑えきれないと肺炎として診断・治療されるという経緯らしい。

 

 23日(金)に発熱で受診して、胸部X線・CTで右中葉肺炎を認めた。

 内科で入院にしていたが、入院後の不穏がひどく、一晩はナースステーションの前にベットを持ってきて対応していた。酸素吸入は不要なので、24日はその日の分の抗菌薬(セフトリアキソン)を点滴静注して、抗菌薬内服治療として退院となった。

 午後から高熱と食欲不振として、施設で救急外来に連れてきた。不穏がひどくて退院ということなので、外来で点滴をして、翌日(日)も点滴に来てもらうことにしていた。

 結局発熱が続いて、26日(月)に再入院となった。胸部X線・CTで右中葉の浸潤影が進み、左舌区にも軽度に陰影がある。

 今度は抑制と抗精神薬使用でなんとか入院継続で治療するようだ。入院数が増えている状況で、本来の治療以外の対応もあると、病棟の看護師さんは大変なのだった。

 

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急性肺炎

2024年08月27日 | 呼吸器疾患

 8月22日の午後に、糖尿病で通院している50歳代半ばの女性が発熱外来を受診した。発熱外来扱いでコロナとインフフエンザの迅速検査の後(両者陰性)、内科外来に回された。

 ふだんは糖尿病外来に通院している。インスリン強化療法にGLP1受容体作動薬(注)とSGLT2阻害薬が使用されて、直近のHbA1cは6.8%だった。

 発熱37.4℃以外は、呼吸器症状も含めて症状がないという。胸部X線と血液・尿検査が行われた。右上葉に浸潤影(斑状影の散在)を認めた。

 白血球18300・CRP5.2と炎症反応の上昇がある。尿中抗原は肺炎球菌、レジオネラともに陰性だった。担当の先生はアジスロマイシンを処方して1週間後の再受診としていた。

 夕方発熱外来受診者を確認していて、この患者さんに気づいた。オグサワなどの定型(細菌性)肺炎用の処方で治療した方がいいのではないかと思ったが、その後特に受診して来なかった。

 

 

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肺癌、脳転移

2024年08月24日 | 呼吸器疾患

 8月21日に日当直のバイトに来ている先生のことを記載した。その先生が7月に来ていた時に、めまい・ふらつき・食欲不振で救急外来を受診した70歳前半の男性を入院にした。

 その患者さんは、胸部X線・CTで左上葉にかなりの大きさの肺癌を認めて、脳転移(小脳転移)もあった。(その後PET-CTも、行っている病院に依頼して撮影した)

 内科当番だった先生が担当になったが、こんな患者さんがいて、と嘆かれた。症状は3週間前からあった。もう少し早めに(体調がひどく悪化する前に)受診していれば、外来検査で診断を付けてそのまま適切な高次医療機関に紹介できたのに、ということだった。

 年齢的には最善の治療を行わなければならない。大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生に入ってもらって、家族と相談した。

 結局、肺癌に対する積極的な治療は希望されず、地域の基幹病院で脳転移に対する緩和照射だけ行うという方針になった。当院から転院となったが、先方は放射線治療科で全身管理はできないので、照射後はすぐに転院にして下さい、ということだった。

 

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肺癌

2024年08月21日 | 呼吸器疾患

 8月17日(土)は外部の先生が日当直だった(要するにバイト)。東京の病院の内科専攻医で、月1回来てもらっている。斡旋業者からの紹介だったはずだ。

 土曜日の早朝に東京を出ると、午前9時過ぎくらいには着く。少し前日の当直医に残ってもらえばそれでも可能だが、金曜日の夜に当地に着くようにしていた(いわゆる前乗り)。

 台風の影響で金曜日の新幹線が運休となっていた。病院では来られない時に備えて、常勤医2名を日直と当直に割り当てていた。どうなるかと思われたが、日曜朝の新幹線で来てくれた。

 

 当方はその日の内科当番で、夜になって入院が必要な患者さんがいて、連絡がきた。81歳女性が食欲不振で受診していた。血清カリウムが6.0と上昇していた。もともと心房細動があるが、高カリウム血症による波形変化はなかった。

 グループホームに入所して(認知症ではなくて精神遅滞)、当院の内科外来と消化器外来に通院している。高カリウムを来すACE阻害薬とMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)が処方されているので、それを中止して、点滴で経過をみたいということだった。入院の指示をお願いした。

 1週間くらい前から食欲不振ということだったが、入院後は少しずつ食べ出していた。19日は血清カリウム4.7と改善してきていた。点滴を減量して、処方薬の調整で経過をみることにした。

 

 この患者さんは7月に消化器科医が胸部異常影に気づいていた。左上葉に腫瘤影があった。放射線科の読影レポートは肺腺癌か器質化肺炎となっていた。

 呼吸器外来(非常勤)に紹介された。腫瘍マーカーは全部正常域だった。デキサメサゾンを試していたが、胸部X線・CTで陰影が増大していて、中止していた。

 8月の腫瘤影を見ると、確かに短期間で増大している。肺癌にしか見えない。進行が早いのが気になる。

 19日に遠方から兄弟が来たので、経過を説明した。当方としてはその日初めて診た患者さんで、画像も確認したばかりだった。食欲不振と高カリウム血症は軽快して退院にできそうなこと、肺癌で間違いなければ限られた予後になることをお話した。

 

 この陰影で器質化肺炎ということはあるのだろうか。「抗菌薬投与で軽快しない時は、肺癌を考えるように」と読影レポートにあるのも気になった。

 

 

 

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誤嚥性肺炎

2024年08月19日 | 呼吸器疾患

 8月15日(木)の午後5時ごろに、救急室から病棟に上がる患者さんを見かけた。救急当番だった内科の若い先生もいて、入院で診るようだ。

 患者さんは施設入所中の85歳男性だった。その日の午後から発熱・痰のからみ・酸素飽和度低下があり、救急要請となっていた。

 昨年7月に地域の基幹病院に尿路感染症で入院していて、経口摂取困難のため内視鏡的胃瘻造設術が行われていた。施設からの処方ではなく、精神科病院からアルツハイマー型認知症の処方(抑制系の向精神薬)が処方されていた。

 予想通り、胸部X線・CTで両側下肺野背側に浸潤影を認め、誤嚥性肺炎だった。

 昨年の入院時にも病状悪化時はDNRの方針なっていたので、今回も同様の方針となった。妻が「早く楽にしてあげて下さい」といい、「日本ではそれはできません」と担当医が答えていた。(会話をそのまま記載する先生なのでわかりやすい)

 酸素吸入・抗菌薬投与・点滴が開始された。経管栄養なので栄養状態は良く、このくらいの肺炎であれば、おそらく治癒すると思われる。

 

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肺炎だけではない

2024年08月14日 | 呼吸器疾患

 8月11日(日)の日直の時に、1週間前から飲み込めない食べられないという60歳代後半の女性が救急搬入された。

 肺癌手術の既往があるが、2016年なので年数的には治癒しているか。その後当院の呼吸器外来(大学病院から)に通院していたが、2020年で通院を辞めてしまった。

 2023年1月にCOVID-19に罹患して、地域の基幹病院に入院していた。その時に、当院宛に診療情報提供書と画像(CD)が送られてきていた。その日受診しただけで、また来なくなった。

 るい痩が目立つので、神経筋疾患が疑われて脳神経内科で診察したそうだが、否定された。栄養を摂るようにといわれただけだった。

 

 発熱があったので、コロナとインフルエンザの迅速検査を行ってから(陰性)、画像検査・血液検査を行った。右肺は下葉肺癌の術後で、2023年の画像でも右上葉には気管支拡張像と浸潤影様の陰影がある。

 今回下葉相当の位置に新たな浸潤影があり、肺炎を来たしている。問題はそれだけなのかわからないが、まずは入院で肺炎の治療をすることにした。

 そもそも右上葉の陰影は何だろうか。頸部から撮影したCTで気道狭窄はないが、食道癌の有無まではわからない。嚥下機能の評価も必要になる。

 

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COPDの増悪

2024年08月11日 | 呼吸器疾患

 8月9日(金)に病棟に行くと、NPPVを行っている患者さんが入院していた。前日の当直帯が始まってすぐに紹介されてきたCOPD増悪(肺気腫+肺炎)の患者さん(80歳代後半男性)だった。

 施設に入所していて、その日の昼から呼吸困難があり、クリニックを受診した。酸素飽和度が70%台で、胸部X線で右肺に広範な肺炎像があり、救急搬送してきた。当直だった腎臓内科の若い先生が対応していた。

 搬入時、酸素5L/分でPaO2 44.3・PaCO2 31.9・pH 7.363だった。自発呼吸だけでは無理と判断して、NPPVを開始していた。

 胸部CTで右下葉を中心に浸潤影を認めた。気腫性変化があるので、べったりとした均一な浸潤影ではなく、隙間のある浸潤影になる。

 抗菌薬とステロイドが開始された。NPPVまでは行うが、病状悪化時はDNR(この場合は、気管挿管・人工呼吸、心臓マッサージはしない)となっていた。

 翌9日の血液ガスは、PaO2 100.0・PaCO2 32.3・pH 7.370となっていた。週末もてば、改善する可能性がある。

 鎮静剤としてデクスメデトミジン(オリジナルはプレセデックス)を使用していた。あらかじめ希釈されたデクスメデトミジン静注用シリンジ(200μg/50ml)があるのだった。

 初期負荷が6μg/kg/時・10分間で、維持が0.2~0.7μg/kg/時で持続注入になる。(体重60kgで、初期負荷が90ml/時で10分間、維持が3~10ml/時

 

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COPDの増悪

2024年07月10日 | 呼吸器疾患

 7月9日(火)の朝に前日当直だった先生から、在宅酸素のCOPD患者さんを入院させました、といわれた。外来に通院している93歳男性だった。4年前から慢性閉塞性肺疾患(COPD)で在宅酸素療法(HOT)を導入している。

 

 4年前の1月3日に当番医のクリニックから連絡があり、肺炎として紹介された。酸素飽和度が70%台だったが、自宅の車で受診してきた。ふだんから低酸素があり、慣れているのだろう。

 インフルエンザの迅速検査でA型陽性と出た。胸部X線・CTで肺気腫像と肺炎像を認めた。酸素吸入に、ラピアクタ点滴静注・抗菌薬投与(セフトリアキソン)・ステロイド短期投与で軽快治癒した。

 以前から労作時(歩行時)に息切れがしていた。安静時は酸素飽和度が90%と保つが、歩行時には低下して息切れが生じる。最初は嫌がっていたが、在宅酸素療法を導入することに同意した。(安静時酸素1L/分、労作時3L/分)

 外来に来ると、楽になったと喜んでいた。肺炎によるCOPDの増悪で入院してくると思われたが、案外問題なく過ごしていた。

 右下葉の肺炎を来した時は、家族の勧めを聞かずに受診を渋っていた。やっと外来に来たが、入院は嫌がった。在宅酸素なので酸素吸入量は増量できる。食欲はあり、病院に来てからは車いすに乗せられていたが、外来の待合から診察室には歩いて入って来た。

 抗菌薬内服で開始して(初日はセフトリアキソンを点滴静注した)、数日みて思わしくないときは入院としたが、1週間で軽快した。

 

 今回の胸部CTを見ると、下葉背側は腫瘤様にも見える。肺炎・COPD増悪の治療をして再検しないと確定し難いが(浸潤影であれば軽減)。

 入院後は食事摂取も良く、COPD増悪自体は乗り越えられそうだ。

 

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