なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

この陰影は何?~両側肺炎

2024年05月14日 | 呼吸器疾患

 5月13日の午後に市内のクリニックから肺炎の80歳男性が紹介されてきた。

 5月7日から咳・痰・倦怠感があり、翌日から発熱(38℃)が続いた。5月7日と8日にクリニックを受診して、コロナとインフルエンザの迅速検査を2回受けたが陰性だった。

 5月10日に胸部X線で肺炎を認めて、抗菌薬(ガレノキサシン=ジェニナック)が処方された。それでも症状が続いて、食欲低下もあり紹介となった。

 

 家族の車でやって来たが、酸素飽和度が87%(室内気)と低く、すぐに酸素吸入を開始したが3L/分でも92%くらいで、マスクで5L/分にした。コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。

 少し難聴はあるが普通に会話可能で意識は清明だった。聴診上は両側肺にcoarse cracklesが聴取されて、頑張って喀痰を出してもらうと痰黄色だった。

 

 胸部X線・CTで両側肺野にすりガラス陰影が広がっていて、一部は浸潤影もあった。放射線技師さんが「コロナ?!」と叫んだ。しかし陰影は胸膜からの進行ではなく、気道に沿った分布のように見える?。(搬送でしょう、ともいわれた)

 この患者さんは昨年交通事故にあって、市内の病院に搬入された。左肺に陰影があって、地域の基幹病院に紹介されていた。呼吸器外科で手術をして、悪性リンパ腫といわれたそうだ。家族も珍しいといわれました、という。

 陰影の判断がつかず、当院で抗菌薬(セフトリアキソンなど)で経過を見ていいか自信がない。地域の基幹病院呼吸器内科に連絡すると受けてもらえたので、さっそく搬送した。

 血液検査で白血球29300・CRP25.1と炎症反応が著明に上昇していた。軽度の肝機能障害と低ナトリウム血症(122)もあった。(CKは正常域)レジオネラの可能性もある?。(尿中抗原を提出する余裕がなかった)

 まずは抗菌薬で経過をみると思うが、セフトリアキソン+レボフロキサシンなどを使用するのだろうか。

 

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気管支肺炎

2024年05月13日 | 呼吸器疾患

 今日内科再来を受診した66歳男性は、3月に予約日以外にも受診していた。

 前回3月初めにいつもの高血圧症などの治療で受診していた。その翌日から咽頭痛・咳があり、市内の内科クリニックを受診した。症状が続いて再受診して、コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。

 発症1週間後にも症状が続いて、当院の内科外来を受診して、その日外来担当の先生が診ていた。血液検査では白血球6000・CRP3.6と炎症反応が軽度に上昇していた。

 胸部CTで右肺上葉(S3)に粒状影が散在している。気管支肺炎として治療された。

 症状は軽快していたが、4日後の再診時にも胸部CTで肺陰影を確認していた。粒状影は軽快していて、終診となった。

 

 肺炎の経過を胸部CT(3回か4回撮影することもある)で診る先生なので、結果的に経過がよくわかる。(通常はこのくらいの肺炎だとCTは初回だけが多いだろう) 

 通常は咽頭痛もあったので最初はウイルス性上気道炎で、その後に細菌性気管支肺炎併発したと考える。しかし実は高血圧症どでの外来受診時に血液検査をしていた。

 症状の訴えはなかったが、白血球9100とふだんの6000前後より増加していた。(半年に1回の検査でCRPは含まない)最初から気管支肺炎を来していたのかもしれない。(CRPを追加すればよかったかも)

 症状が続いての受診時には、通常はまず胸部単純X線を撮影する。それだとこのくらいの陰影が分かるか自信はない。血液検査はするとして、CRP軽度上昇があれば、胸部CTを追加するか。

 処方された抗菌薬はアジスロマイシン500mg/日を3日間だった。肺炎球菌に感受性があるかわからない。結果的に効いたのかもしれないが、非定型肺炎だった?。

 

 軽度の気管支肺炎ではあるが、いろいろ考えさせられたのだった。

 

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無気肺その後

2024年05月11日 | 呼吸器疾患

 4月28日に記載した無気肺の 歳女性のその後。

 3月から入所中の施設で酸素飽和度の低下があった。その都度声掛けで深呼吸をさせて、上昇した飽和度の値を記録していた。(すぐに戻るはずだが)酸素吸入が必要になると施設には居られません、と変な説明がされていた。

 4月12日(金)の夜間にどうやっても酸素飽和度が上がらず、当院に救急搬入された。酸素吸入を最大5L/分を要した。当直の先生(外部の病院からのバイト)が入院させていた。

 胸部CTで左肺に浸潤影様の陰影があったが、炎症反応がまったく陰性だった。当直医は無気肺と判断したらしい。

 翌13日(土)に病院に診に行った。喘鳴が聴取されて、喘息発作だが、施設では指摘されていなかったらしい。ステロイドの点滴を2日行って、テオフィリンとモンテルカスト内服を開始した(ツロブテロールテープも喘鳴調質まで使用)

 入院後は肺炎として抗菌薬を投与していたが、その後も炎症反応はほぼ陰性で、1週間で中止した。喘鳴は4日目には聴取されなくなった。その後発作性心房細動もあったが軽快した。

 4月24日の胸部CTでは左肺の陰影が軽快して、右肺下葉背側に浸潤影様の陰影が出現した。

 炎症反応は陰性で、去痰薬の追加くらいであとは排痰促すようにして経過をみていた。4月8日に胸部CTを再検すると、右肺の陰影も軽快していた。

 酸素吸入は外してしまう。酸素飽和度が酸素無しでも90~92%なのでそのまま経過をみている。気管支喘息による粘稠痰が無気肺を来した可能性はある。できれば吸入ステロイド(ICS)を使用したいが、うまくできる気がしない。

 

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外傷性(血)気胸

2024年05月10日 | 呼吸器疾患

 5月7日(火)に内科外来を診ていた先生が、気胸が来たよ、という話をしていた。

 74歳男性が前日に自転車に乗っていて、転倒してガードレールに左側胸部を打撲した。その後、左胸痛~背部痛が続いて、息苦しさもあり、タクシーで普通に病院に来た。状況からは肋骨骨折・血気胸疑いになる。

 胸部CTで確認すると複数の肋骨骨折があり、予想通り気胸を来していた。少量の胸水もあり、出血もあるらしい。

 すぐに地域の基幹病院に連絡して、救急搬送したそうだ。バイタルは問題なく、幸い緊張性気胸ではないが、普通に内科新患で受診されると驚く。救急車で来てほしかった、という。(内科再来を診ながらの新患対応なので)

 大動脈解離を認めるが、これで基幹病院に通院(経過観察)しているそうだ。

 

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肺炎ではない?

2024年05月04日 | 呼吸器疾患

 4月27日(土)は当直だった。28日午前1時半に高熱・呼吸困難の92歳女性が救急搬入された。救急隊の話では、酸素8L/分でも酸素飽和度が90%未満ということだった。

 市内の病院に通院しているが、そちらは時間外の救急はほとんどとっていない。当院で受けたが、基幹病院に当たってもらった方がよかったかもしれない。

 心房細動があるが、心臓ペースメーカー植え込みもなされていた。心拍数は正常範囲だった。徐脈性心房細動だったのか、洞不全症候群(徐脈頻脈症候群)だったのかわからない。

 腎機能は正常だったが、抗凝固薬はワーファリンが使用されていた。PT-INRを知りたいが、当院は時間外は凝固検査はできない。

 その日患者さんは日中デイサービスに行っていて、就寝前までは何ともなかった。夕食時も明らかなムセはなかった。

 その割に胸部CTで右肺上葉を中心に浸潤影らしい陰影がはっきり出ていた。炎症反応は陰性だった。聴診では右肺にcoarse cracklesが聴取された。

 入院で肺炎として治療を開始したが、酸素10L/分を要し、家族には厳しいかもしれないと伝えた。

 入院後は解熱して、酸素投与量も減少できた。4月30日には酸素1~2L/分になり、何度も患者さんが外してしまうため、中止となった。室内気で92%くらいになる。

 胸部X線(ポータブル)を見ると、右肺の陰影は薄くなっていた。何だか普通の肺炎らしくない。家族が来たので、肺炎というよりは肺胞出血かもしれないと伝えた。すると、搬入後はなかったが、自宅にいる時には血痰を排出していたという。

 抗凝固薬(ワーファリン)と理由はわからないが、処方には抗血小板薬(バイアスピリン)も入っていた。30日には凝固検査ができて、PT-INRは1.27で効きすぎではなかった。(搬入時にも効きすぎていたようには思えない)

 

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無気肺

2024年04月28日 | 呼吸器疾患

 4月12日(金)の夜間に隣町のグループホームに入所している96歳女性が酸素飽和度低下で救急搬入された。

 当直は外部の病院の先生(外科)で当方は内科当番だった。連絡を受けて、点滴の指示を出した。13日(土)は当直だったので、午後から病院に来て診察した。

 3月から酸素飽和度低下が続いていた。頻呼吸にさせて酸素飽和度を上げて、その時のいい値を記載して、そのままホームで経過をみていた。

 普通病院を受診させると思うが、患者さんは酸素飽和度低下時も症状はなく、発熱もなかったので、様子をみていたらしい。家族には、ホームでは在宅酸素療法(HOT)はできませんと説明されていた。救急要請した日は、どうやっても酸素飽和度が上がらなかったらしい。

 胸部X線・CTでは左肺に浸潤影とも無気肺とも浸潤影ともとれるような陰影を認めた。血液検査(時間外は簡易検査)で炎症反応が陰性で、当直医は無気肺としていた。酸素吸入だけ指示して入院としていた。(食事はとれる)

 

 翌日病室に見に行くと喘鳴が聴取された。喘息の既往もなく、喫煙歴もなかった。心不全でもない。ステロイドを土日に点滴静注することにして、気管支拡張薬とLT受容体拮抗薬の内服も出した。認知症で吸入は難しい。

 その後喘鳴が出没したが、消失していった。抗菌薬(セフトリアキソン)を投与していたが、血液検査再検でも炎症反応は陰性で中止した。

 いつもの呼吸器外来に来ている先生(大学病院から)に相談したが、「何ですかねえ」といわれた。大動脈近傍に腫瘍の疑いがあるかもしれないともいわれた。いい痰はとれないが、喀痰細胞診を提出した(陰性)。腫瘍マーカーはPRO-GRPが正常域をわずかに上回ったが、小細胞癌とも思えなかった。

 4月24日に胸部CTを再検すると、左肺の陰影は軽減して、左肺の容積が広がっていた。ところが、今度は右肺下葉背側に浸潤影様の陰影が出現した。air bronchogramも伴う。血液検査では炎症反応は陰性だった。

 呼吸器外来の先生にまた相談すると、「これは無気肺ですねえ」ということだった。体格のいい超高齢者で呼吸自体は弱いといえば弱い(低換気)。気管支の中枢側で不完全な無気肺になると、末梢の気管支が描出されるので、浸潤影とはいえないそうだ。

 去痰薬の投与、ネブライザー吸入、体位交換による去痰を図るしかないが、薬以外はうまくいくだろうか。

 

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間質性肺炎、縦隔気腫

2024年04月27日 | 呼吸器疾患

 1月6日、1月20日に記載した間質性肺炎の92歳女性のその後。

 1月4日間質質性肺炎の増悪で入院して、プレドニン30mg/日で開始して、間質性肺炎は軽減した。プレドニンを漸減して、1月28日に退院とした。小康状態がいつまで続くかわからないので、帰れる時に帰った方がいいと説明した。

 その後、外来に3回通院していた。4月22日に動けない、食べられないとして予約外に家族が連れてきた。間質性肺炎の悪化かと思ったが、酸素飽和度は保たれていた。細菌性肺炎の併発が疑われた。

 胸部CTで確認すると、縦隔気腫・皮下気腫を認めた。右気胸のように見えるが、縦隔気腫からの連続らしい。肺野の所見は読みにくい。上背部痛を訴えるのはこれによるか。

 血液検査で白血球20900・CRP30.8と著明に上昇していた。肺以外の炎症反応が上昇するような病変はCT上指摘し難い。発熱はなかった。

 点滴と抗菌薬(内服できるかわからないので、プレドニンは点滴静注にした)で経過をみることにした。酸素飽和度の低下はなく、発熱は認めなかった。

 脱水症からの腎後性腎不全を呈していた。嚥下評価したもらったが、飲み込みは悪いようだ。

 

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喀血

2024年04月17日 | 呼吸器疾患

 4月15日(月)に内科外来を診ていると、消化器科医が相談があるそうですと看護師さんにいわれた。

 消化器科の診察室に行くと、消化器科医が患者さんの胸部CTを見ていた。その日吐血として消化器科の外来に回されたが、話を訊くと、腹部症状はなく、咳き込んでの症状で喀血だった。

 13日(土)に咳をした時にわずかな出血があり、その日かかりつけの内科クリニックを受診したが、胸部X線で異常を認めなかったそうだ。翌14日に2回、15日の朝にも咳をして血液を喀出していた(純粋な血液だけ)。

 胸部CTで右肺の中葉と下葉に気管支拡張症があり、その周囲に淡い陰影が広がっていた。バイタルは問題なく、酸素飽和度も正常だった。炎症反応も陰性で、緊急性はないと判断していたようだ。

 

 2004年に当院呼吸器科(当時はあった)に肺野異常影で検査入院したことがあった。その時の陰影は右下肺野背側の今回より小さな陰影(粒状影散在)だった。気管支鏡検査でも有意な異常(腫瘍、抗酸菌)はなかった。

 気管支拡張症からの出血でとりあえずは止血剤で経過をみるような気はするが、早めに基幹病院の呼吸器内科に回した方がいいです、とお伝えした。連絡すると診てもらえることになり、紹介となった。

 感染症併発なのか、それは非結核性抗酸菌症なのか、(肺炎様の腫瘍?)など気になるが、専門医にお任せしたい。

 

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肺癌があった

2024年04月15日 | 呼吸器疾患

 4月13日(土)は当直だった。夕方病院に来て、日直だった消化器科医と会った。入院がありましたか、と訊くと肺炎のつもりが肺癌だったという。

 隣町の救急隊から発熱・呼吸困難の90歳男性の搬入依頼がきた。地域の基幹病院では受け入れ困難だったという。酸素飽和度が80%ということだった。肺炎として受け入れることにした。

 搬入が決まってから、救急隊から肺癌で町内の病院に通院していて、年齢から経過観察になっているといわれた。最初に言ってほしかった、と笑っていた。

 搬入されて、胸部X線・CTで確認すると、基礎疾患として肺気腫(COPD)がある。そして右肺下葉背側(S6)に空洞を伴う腫瘤影があった。その末梢側に浸潤影と胸水がある。

 血液ガスでPaCO2が67.4mmHgと上昇して、pH7.277と呼吸性アシドーシスもあった。家族と相談して、DNARの方針となった。いったん入院すると退院のあてはなさそうだ。

 空洞といえば扁平上皮癌と想定するが、細胞診などはしていなかったのかもしれない。

 

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悪性胸膜中皮腫の疑い

2024年04月04日 | 呼吸器疾患

 3月28日(木)の呼吸器外来に来てもらっている先生(大学病院から)には何かと教えてもらっている。その日は当方を含めて内科常勤医4名に相談する患者さんがいた。

 当方は血液培養でCandida albicansが検出された患者さんだった、外来が終わるのを診察室の外で待っていて、すぐに相談できた。

 別の内科の先生が相談したのは、もともと外来で診ている83歳男性だった。3月18日に咳と食欲不振で受診して、右胸水と胸膜下に散在する腫瘤があった。

 今年の1月10日の胸部X線では胸水貯留はない。そこでは腫瘤影はなさそうとなっていたが、胸膜下の病変で判読が難しそうだ。(左が3月18日、右が1月10日)

 肺全体に気腫性変化がある。右胸膜下に半円形の腫瘤が散在している。胸水の内にも同様の腫瘤が埋もれている。

 原初性肺癌ではなく、転移性肺癌か悪性胸膜中皮腫だろう、ということだった。胸腹部CTで明らかな原発巣は指摘できないし、形態は中皮腫と思われる。

 胸水細胞診では証明しにくいが、1回は出してみるべきか。地域の基幹病院ならば胸膜生検もできると思う。

 

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