なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血液培養で真菌

2024年03月20日 | 呼吸器疾患

 3月10日に記載した左肺炎の88歳男性のその後。

 一時は左肺の広範囲に陰影が広がり、発熱も続いていた。その後は解熱して炎症反応の軽減していた。そろそろ抗菌薬(ゾシン)を中止しようとした日の午後に、突然悪寒戦慄が出て体温は41.7℃に上昇した。

 ちょうど午後の分のゾシンを入れ終わった時だったので、薬剤熱も考えた。看護師さんの話ではその日の朝に喀痰が増えていたという。嚥下調整食も開始していたので、誤嚥して肺炎が再発再燃した可能性はあった。

 それにしても体温が高すぎる。肺炎再燃に薬剤熱が加わったのかもしれない。その日は点滴(補液)を増やすだけにして、抗菌薬を休止した。

 翌日の午前中は発熱がなかったが、血液培養2セットを提出した。採血では軽快していた炎症反応が再度上昇していた。ゾシンは使えないので、仕方なくカルバペネム(メロペネム)を開始した。

 朝のうちに喀痰培養は採取されていたが、多くは唾液でその中に吸引による血液が薄く混じり、喀痰らしいものが少量あった(検査室から不良検体としては返却されなかった)。尿混濁はなく(尿培養は提出)、入れていた抗菌薬からみても尿路感染症が別に起きるとは考えにくい。

 胸腹部CTで確認したが、左肺炎は一番進行した時と比較して、肺炎の悪化とは断定できなかった。その後も発熱が38℃から39℃が続していた。

 3月16日(土)に当直で病院に来たときに、病室に見に行くと、患者さんは大相撲中継を見ていた。(余裕?)左上腕から入っていた点滴刺入部が硬めに浮腫を呈していた。圧痛はなかったが、末梢静脈カテーテル関連感染症も否定できないので、抜去して、刺し直してもらった。

 血圧と酸素飽和度低下はなかったので(悪寒発熱時から酸素吸入は開始していた)、週明けの血液培養の結果を待つことにした。抗菌薬としてはMRSA(MRCNSも含む)を考慮して、バンコマイシンを追加しようかとも思っていた。

 3月18日(月)に検査室から、血液培養2セットで酵母様真菌が出ていると報告が来た。カンジダかアスペルギルスかその他かはわからない。

 抗菌薬は中止して、抗真菌薬(ミカファンギン)を開始した。(院内にある点滴静注の抗真菌薬はこれだけ)肺炎としての真菌感染なのか、それ以外なのか。

 

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中葉・舌区の病変

2024年03月17日 | 呼吸器疾患

 3月9日(土)に市内の医院から50歳女性が紹介されてきた。咳が続くという症状で受診して、胸部X線で陰影を認めたということだった。土曜日は休診日なので、日当直で来ている内科の若い先生が対応した。

 昨年12月末に38.5℃の発熱があり、紹介した医院をしていた。コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。詳しい内容は不明だが、断続的に治療していたようだ。

 ずっと咳は続いていたが、その日は左胸部の痛みも感じて受診していた。心電図は異常がないが、胸部X線で両側中下肺野の内側に陰影があった。体温は37.1℃で、酸素飽和度は98%(室内気)。

 血液検査では白血球 8100・CRP 0.2だった。他の生化学検査は異常がない。胸部CTで右中葉と左舌区に浸潤影を認めた。

 「原因は、悪性腫瘍、細菌性肺炎、肺NTM症、肺結核などが鑑別にあがる」と記載していた。(付け加えるとすると器質化肺炎か。悪性腫瘍ではないだろう。抗菌薬(オーグメンチン+アモキシシリン=オグサワ)を処方して、呼吸器外来を受診としていた。

 3月14日(木)に呼吸器外来(大学病院からの応援医師)を受診した。特に検査は追加されなかった。「第一印象は肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)」としていた。その場合病変が限局して、年齢も比較的若いので手術も考慮とある。その点を家族と相談してもらって再受診となった。

 肺NTM症とするには菌を検出しなければならない。通常は地域の基幹病院呼吸器内科に紹介して気管支鏡検査となるが、他の専門病院を考えているのかもしれない。部位は肺NTM症として合うが、どうだろうか。

 

 土曜日に診てくれた先生は、東京の超有名病院の内科専攻医と伺っている。月1回土曜日に日当直に来ているが、当日朝は間に合わないので前日夜は当地のホテルに宿泊しているらしい。カルテは詳しく書いていて、診断推論と対応がわかりやすく記載されている。

 医師向けのバイト情報を見て当院に来ることになったそうだ。その日は金曜日の当直帯で入院した患者さんを診に病院に来て、初めてお見掛けした。たぶん来年度も来てもらえる?。

 

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気管支肺炎

2024年03月13日 | 呼吸器疾患

 3月11日(月)の新患に66歳男性が上気道症状(咽頭痛・咳)で受診した。当方が高血圧症で診ていて、3月4日に受診していた(特に変わりなし)。

 再来で出ていたので、ふだん診ている患者さんは回されるのだが(現に別のふだん診ている患者さんはその日回されている)、新患扱いになっていた。

 3月5日(火)から上気道症状(咽頭痛・咳)があり、市内の内科クリニックを受診していた。多分かぜ症状の時は以前からそうしているのだろう。症状が続いて、その週に再受診していた。コロナとインフルエンザの検査は陰性だった。

 同じ処方が追加されたが、症状が続いての当院受診だった。発熱外来扱いでコロナとインフルエンザの検査が行われてから(陰性)の受診になった。

 血液検査では白血球6000・CRP3.6と、ウイルス感染としてもいいような値だった。胸部CTが行われて、右上葉(S3)に粒状影が散在していた。左上葉(S1+2)にも若干同様の陰影があるようだ。(別の救急患者さんのCTを行っている時に、この患者さんのCTに気づいた)

 気管支肺炎として抗菌薬が処方されて、5日分の処方で再診予約となっていた。きれいな?気管支肺炎像は珍しいかもしれない。ウイルス性か、細菌性かといわれると何ともいえないが、日数的には細菌性併発?。

 

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肺炎の経過

2024年03月10日 | 呼吸器疾患

 3月1日(金)に内科クリニックから肺炎の88歳男性が救急搬入された。コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性で、通常の検査を行った。

 胸部X線・CTでは、左下葉に浸潤影が散在していた。救急室で喀痰培養を提出しようとしたが、うまく出ない。吸引して培養に適さないほぼ唾液しか引けなかった。肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原は陰性だった。レジオネラを示唆する症状・検査値はない。

 白血球16500・CRP20.2と炎症反応はかなり上昇していた。入院治療としたが、酸素飽和度の軽度に低下して、酸素吸入は1~3L/分で調整調整されていた。抗菌薬はスルバシリン(ABPC/SBT)で開始した。

 3月3日(日)に病棟から連絡があり、発熱(38℃台後半)が続いて、酸素化も良くないという(酸素吸入は3L/分継続で保ててはいた)。病棟がコロナで過敏になっていた時で、コロナの検査をもう1回してもいいですかといわれた。(陰性だった)

 まだ抗菌薬投与開始3日目なので、判断する段階ではないが、何かしないと病棟の看護師さんが不安な様子だった。抗菌薬をゾシン(PIPC/TAZ)に切り替えてもらった。

 3月5日の検査では、白血球9800・CRP21.4と改善とも悪化とも言い難い値だった。胸部X線(ポータブルでは左下肺野に陰影が広がっていた(無気肺もあるか)。

 発熱が37℃台になっていた。そのまま治療を継続すると、3月6日からほぼ平熱になってきた。嚥下訓練を昼だけ嚥下調整食3で開始した。

 3月8日の検査では、白血球7000・CRP6.7とはっきりと改善していた。食事摂取も嚥下調整食3を昼のみ→嚥下調整食事3を3食→嚥下調整食4と上げられた。

 肺炎球菌肺炎だと抗菌薬が効いても、臨床的な改善まで時間がかかることがあるが、今回は検査で証明できない。治れば何でもいいことにはなるが、理屈がほしい気はする。

 

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間質性肺炎、縦隔気腫

2024年03月03日 | 呼吸器疾患

 2月5日に記載した間質性肺炎の83歳女性のその後。

 入院後にプレドニンの増量と抗菌薬投与を行うと、炎症反応はすみやかに改善した。白血球20500→9600→12300、CRP16.4→0.9→0.3(2月1日→2月7日→2月14日、白血球数はステロイドの影響が出る)。

 どちらかというと細菌性肺炎併発の影響が大きいと考えられた。少し経過をみてからと思っていたが、プレドニン増量の影響か元気になって、入院1週間後から退院を希望された。

 どこまでいい状態が続くかわからないので、家族に小康状態で退院の希望が強いのでいったん退院にしたいと伝えた。2週間後に呼吸器外来の予約を入れたが、悪化時はすぐに再入院で診ることにした。

 数日前から調子が悪く、労作時の(自宅内で少し動くくらい)息切れと食欲不振で、2月29日の予約日に受診した。酸素飽和度92%(室内気)で、白血球21900・CRP7.5と炎症反応が上昇していた。

 胸部X線で明らかに陰影が増加していたが、縦隔気腫と皮下気腫も認めた。左肺の陰影の、それも浸潤影が目立つので、細菌性肺炎の併発の影響が大きいかもしれない。

 即再入院として、酸素吸入と抗菌薬投与を開始した。今回は厳しいかもしれない。

 

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非結核性抗酸菌症

2024年02月28日 | 呼吸器疾患

 1月27日、2月11日に記載した非結核性抗酸菌症と判断される86歳女性の経過。

 

 1月25日(木)に市内のクリニックからの紹介で86歳女性が受診した。食欲不振があり全体に衰弱しているという内容だった。患者さんは小柄でやせていた。

 問題は発熱があり、肺病変があった。胸部X線・CTで両側肺野にまず気管支拡張像があり、限局性の浸潤影・斑状・粒状影が多発している。

 当院には2014年に左橈骨尺骨開放骨折で整形外科に入院していた。その時に入院時検査として胸部単純X線が撮影されている。両側肺に陰影があった(整形外科医は気にしていなかった)。

 呼吸器外来に来てもらっている先生に相談して、基礎に非結核性抗酸菌症(NTM)が疑われる、ということだった。ただ、画像からは通常の細菌性肺炎の併発があるかどうか判別できない。

 まずは細菌性肺炎の治療で経過をみることになった。スルバシリン(ABPC/SBT)の投与を開始した。解熱して炎症反応も軽減した。経過からみて通常の細菌性肺炎があったことは間違いない。(喀痰検査ができなかった)

 白血球は24100→10600→8900、CRPは11.3→1.7→0.6と軽快した(1月25日、1月29日、2月1日)。2月7日(2週間後)に胸部CTを再検査した。初診時(1月25日)と比較して、陰影は軽減していた。

 食事摂取は思った通り、ちゃんと目の前に食事があれば食べられる。四肢の筋肉とくに下肢の筋肉は極端にやせ細っているが、リハビリも開始してトイレまで歩いて行ける。

 Tスポットを提出すると陰性だった。NTMの血液検査もあったと思い出して、キャピリアⓇMAC抗体 ELISAを提出した。

 

(その後) 

 キャビリアⓇMAC抗体ELISAは陽性だった。肺MAC症としては傍証にしかならないが、なにしろ喀痰が出ない。3%高張食塩水の吸入で頑張れば出るのだろうか。

 入院後のスルバシリン(ABPC/SBT)投与による解熱・炎症反応軽快は一般細菌による細菌性肺炎併発を示している。そしてその後は症状はほとんどなく、特に患者さんは困っていない。

 非喫煙・やせ型・中高年女性に多いとされる結節・気管支拡張型だと、経過観察も許されるようだ。入院時から相談している呼吸器外来の先生(大学病院感染症内科所属)に訊くと、「治療による副作用を考慮すると、僕ならそのまま経過を見ます」、といわれた。

 非結核性抗酸菌症の診断は下記の通りで、今回は胸部画像所見がNTMらしいのとキャピリアⓇMAC陽性だけなので確定していない。

表1 肺非結核性抗酸菌症の診断基準(日本結核病学会・日本呼吸器学会基準)
A. 臨床的基準(以下の2項目を満たす)
1. 胸部画像所見(HRCTを含む)で,結節性陰影,小結節性陰影や分枝状陰影の散布,均等性陰影,
空洞性陰影,気管支または細気管支拡張所見のいずれか(複数可)を示す。
但し,先行肺疾患による陰影が既にある場合は,この限りではない。
2. 他の疾患を除外できる。
B. 細菌学的基準(菌種の区別なく,以下のいずれか1項目を満たす)
1. 2 回以上の異なった喀痰検体での培養陽性
2. 1 回以上の気管支洗浄液での培養陽性
3. 経気管支肺生検または肺生検組織の場合は,抗酸菌症に合致する組織学的所見と同時に組織,ま
たは気管支洗浄液,または喀痰での1回以上の培養陽性。
4. 稀な菌種や環境から高頻度に分離される菌種の場合は,検体種類を問わず2回以上の培養陽性と
菌種同定検査を原則とし,専門家の見解を必要とする。
以上のA,Bを満たす。

 治療はCAM+EB+RFPで約2年間になり、完遂後の再発・再燃もある。副作用が比較的少ないCAM+フルオロキノロンもあるらしいが、治療としては好ましくないようだ(CAM耐性になりやすい)。

 

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急な?低酸素血症

2024年02月20日 | 呼吸器疾患

 2月17日(土)は当直だった。午後8時過ぎに65歳男性が受診したいという電話が入った。事務当直はめまいといっていたが、当直看護師が出るとそうではなかった。

 2年前から時々排便後に鮮血の出血がある。その日も午後3時ごろに排便後に出血があった。便自体は普通便だった。午後4時半から動くと息が苦しくなった。横臥してじっとしていると軽快するが、また動くと同様に息切れがする。

 立ち上がるとめまい(pre-syncope?)がすると言っていて、それが最初に聞いためまいという症状だった。症状は慢性だが、消化管出血による貧血の症状ともとれる。出血による重度の貧血で、それによって息切れをめまいが生じている可能性が考えられた。

 

 来院してすぐに排便があり、また出血していた。貧血と血圧低下を想定したが、眼瞼結膜に貧血はなく、血圧は130くらいだった。

 3年前まで当院の循環器科に発作性心房細動と高血圧症で通院してた。循環器科の閉科で市内の医院に紹介となっていた。お薬手帳は持参していないが、DOAC(当院通院時はイグザレルト15mg)が処方されているはずだった。

 救急室に入れて、点滴と採血を行った。胸部聴診では頻脈だが、心拍は整だった。心電図モニターでは洞調律で、心電図をとっても異常なしだった。

 腹部は平坦・軟で圧痛はない。直腸指診では、肛門周囲に血液付着がしていたが、直腸内に腫瘤はなかった。痔出血でいいようだ。血算はHb13.0で低下してなかった。(出血直後ではある)。

 

 酸素飽和度が80%台(81~86~88%)で手が冷たいためもあるかと思ったが、血液ガスで確認すると、PaO2が50.9・PaCO2が40.0・pH7.343と本当に低酸素血症だった。(酸素3L/分で96~97%になった)

 浮腫はなく、心不全ではない。発熱はなく、肺炎らしくもないが、診察だけではわからない。白血球9700・CRP0.1で感染症などの初期像なのかもしれない。

 胸腹部CTを行うと、両側肺にごく軽度の胸水があり、左肺背側に軽度の浸潤影があったが、これでそんなに酸素飽和度が低下するのだろうかと思った。

 

 酸素飽和度の低下が目立つが、それ以外はそれほどではない。搬送するのも少し躊躇われたが、その日は病棟はできるだけ入院はさけてほしいという状況だった。地域の基幹病院に連絡してみると、すぐ受けてもらえた。

 搬送の準備をしていて、そういえば両側肺に気腫性変化があると気づいた。確認すると喫煙者だった。もともと慢性閉塞性肺疾患(COPD)で酸素飽和度が健常者より低めのところに、感染症の併発などがあり、それが軽度でも酸素の低下につながったということか。(呼吸音は正常で喘鳴はない)

 息切れの発症が、急というか突発のようなのがわからない。搬送後に大したことはないとして戻されるのを当直看護師さん(急性期病棟の看護師長)が心配していたが、それはなかった。(外科常勤医がいなくて当院では座薬を入れるくらいなので、痔出血の処置は困るか)

 肺血栓塞栓症の鑑別で造影CTを追加した方がよかったかもしれないが、DOAC内服もあるので、それはないかと思ってしなかった。酸素吸入に抗菌薬投与(+気管支拡張薬)で良くなるのかもしれない。

 その後に急性腎盂腎炎の98歳女性が受診して、どうしても入院させるしかない患者さん用の1ベットを使用することになった。その点では搬送できて助かった。

 

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レジオネラ肺炎

2024年02月16日 | 呼吸器疾患

 2月15日(木)に感染管理ナースから、レジオネラ肺炎がありました、と報告がきた。2月14日(火)に入院した70歳男性だった。

 2月13日から40℃の高熱があり、悪寒もあった。咽頭痛、咳・痰があった。発熱外来でコロナとインフルエンザの迅速検査が陰性と判明して、内科外来に回された。

 高血圧症・糖尿病・高脂血症などで当院の内科外来に通院していて、担当医がちょうど外来に出ていた。血液検査で炎症反応の上昇(白血球11600・CRP)があり、画像検査で右肺炎を認めた。

 入院してセフトリアキソンが開始されたが、高熱が続いた。15日は呼吸器外来(大学病院から応援医師)があり、そこで相談していた。入院時にしていなかった肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原検査を行うと、レジオネラが陽性だった。

 入院時の検査を見ると、筋原性酵素がCK 254で、肝機能がAST 65・ALT 60と上昇して、血清ナトリウムが133と低下している。腎機能はふだんも血清クレアチニンが1.15程度だが、1.51と上昇している。

 消化器症状は下痢などはなく、食事摂取もできなくはない。入院翌日に頭部CTを撮影したので、軽度の意識障害があると判断したのかもしれない。(高熱があるので、それだけの影響かもしれないが)

 一応レジオネラ肺炎を疑うヒントはあった、ということになる。画像に奇異な印象があると思っていたといっていたので、通常のβラクタムで数日診て効果がなければ、非定型肺炎の治療にはなったのだろう。

 抗菌薬をレボフロキサシン(点滴静注)とアジスロマイシン(経口)に切り替えて、レジオネラ肺炎の治療が開始された。患者さんは温泉には行っておらず、循環式のお風呂でもないそうだ。

 

 病棟で担当の先生に、レジオネラ肺炎はどのくらいありますか、と訊かれた。年に1例くらいでしょうか、とお伝えした。

 別の内科の先生は急性肺炎の患者さんは全部肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原を出していて、それでレジオネラがひっかかったりしている。それをお伝えすると、私もそうしようかな、といっていた。

 

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痰が詰まった

2024年02月12日 | 呼吸器疾患

 2月9日(金)に腎臓内科の先生にパーキンソン病の治療について相談された。相談というよりも自分の判断を確認するために訊いてみたということのようだ。

 

 患者さんはパーキンソン病で当院の脳神経内科外来(大学病院からの応援医師担当)に通院していた。処方はパーキンソン病の処方がほぼフルで入っている。認知症もあり、認知症薬と抗精神薬も出ていた。

 1月14日(日)に肺炎で救急要請して、地域の基幹病院に搬入されていた。酸素10L/分でも酸素飽和度が90%未満で、たぶん最初に当院に依頼が来たはずだが、対応困難ということで断ったのかもしれない。

 両側肺、特に右肺の浸潤影が広範に広がっていた(誤嚥性肺炎)。気管挿管・人工呼吸ではなく、NPPVで対応していた。2週間の抗菌薬投与でしだいに軽快して、ネーザルハイフローを経由して、酸素量が漸減されて、酸素吸入から離脱できたとある。

 経口摂取は困難で、経鼻胃管による経管栄養が行われていた。その状態で当院に2月7日転院してきた。リハビリ・療養転院は内科系医師が順番に受けている。

 聴覚言語療法士による嚥下評価から始まったが、喀痰が多く、頻回の吸引を要していた。2月9日に担当医が診察した後に、痰が詰まったらしく、呼吸停止状態になった。

 すぐに気管挿管・人工呼吸が開始された。自発呼吸はあるが、抜管するとまた痰が詰まる可能性があり、連休明けの気管切開を考慮しているという。

 

 訊かれたのは、パーキンソン病の治療(点滴静注への変更)だったが、実際は先方の病院での対応が記載されていた。レボドパ製剤の点滴静注(ドパストン注)と ドパミンアゴニストの貼付剤が使用されていた、とある。

 点滴は末梢からだが、CVカテーテルを挿入して高カロリー輸液に切り替えていくという。経鼻胃管はそのままにして、薬剤投与だけ行うようだ。すでに関節拘縮があり、はたしてこの病状で大量のパーキンソン薬の投与はどれほど効果があるのだろう、と思ったらしい。

  

 急性期病棟はかなりの入院数のところに、COVID-19の患者さんと人工呼吸の患者さんをみるので、週末は大変だった。(地域の基幹病院は、当院なりの集中治療しているような患者さんばかりでなので、職員数は多いとしてもさらに大変なのだろう)

 

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問題は肺

2024年02月08日 | 呼吸器疾患

 2月5日(月)に内科再来を診ていると、健診センターから患者さんが紹介されてきた。食事摂取量低下・体重減少と軽度の貧血があった。

 昨年までの会社の健診には上部消化管内視鏡検査・便潜血検査もあり、問題はなかった。今年は項目が変わり、内視鏡検査・便潜血検査は入っていなかった。

 昨年も腹部エコーは項目に入っていないので、肝胆膵腎の関してはわからないが、肝機能検査は正常域だった。

 症状は昨年10月の終わりごろから、食事摂取量低下があり、周囲から痩せてきたと言われた。食べていると上腹部がいっぱいになるような感じがするという。嘔気・腹痛はない。

 胸部X線を見ると肺気腫があり、喫煙者だった。若い時から1日20本で、最近数年は10本になっている。

 

 健診を担当した先生は、腹部の悪性腫瘍が疑われるとして、外来に回している。上部消化管内視鏡検査・腹部エコーを見て、異常がなければ大腸内視鏡検査になるが、腎機能は問題ないので、最初に造影CTを行うことにした。

 2月7日に行ったが、腹部疾患は指摘できず、病変は左肺にあった。胸部X線を見返すと、昨年と比較して左肺の心陰影の背側に陰影があった。少量の胸水も指摘できる。

 CTでは左肺下葉に陰影があり、下側へ伸展して胸水がある。肺癌が疑われるが、感染性・炎症性疾患の可能性はどうか。

 食事量低下と同時期に咳が続いていたそうで、その後咳があまり出なくなったので、症状としては言わなかったらしい。胸部X線で肺気腫を認めたので、最初に咳・痰と労作時息切れを訊いた時はないといっていた。改めて訊いたが、経過中に発熱はないそうだ。

 呼吸器外来に紹介して診てもらうことにした。

 

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