なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ステロイドが効く病気

2023年04月18日 | Weblog

 先週の金曜日に内科の別の先生から相談された。患者さんは下肢の蜂窩織炎として入院した64歳女性で、発熱と炎症反応の上昇が続いていた。入院したのは3月23日で約3週間になる。

 下肢蜂窩織炎といっても、入院した時はもう少し発赤・腫脹があったのかもしれないが、その時点では両側下腿遠位から足背にかけての紫斑の集簇だった。喘鳴もあるが、喘息としての治療はしていなかった。

 

 経過としては、昨年8月に左蜂窩織炎として入院したところから始まる。3月まで在籍した内科の若い先生が担当していた。抗菌薬投与で蜂窩織炎は軽快したと判断されていたようだ。

 右肺下葉背側に浸潤影様・腫瘍様の陰影があり、当院から地域の基幹病院呼吸器内科に紹介して転院となった。診療情報提供書の返事はどうも来ていないようで、詳細はわからない。患者さんの話では軽快してそのまま経過観察になった?という。

 その時の下肢の所見を訊くと、両側の病変だが左側が目立ったということらしい。その時から紫斑の散在はあったともいう。そしてそのころから喘鳴が続いていた。

 若い先生は血管炎も疑ったらしく、MPO-ANCAとPR3-ANCAを提出していたが、両者とも陰性だった。

 

 今回蜂窩織炎として抗菌薬を投与していたが(今回ははっきりした紫斑だが)、軽快していない。皮膚科医に相談したところ、膠原病ではないかといっていたそうだ。最初に聞いた時は、IgA血管炎かと思ったが、IgA値は正常域だった。

 喘息を伴う血管炎となると、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)だが、どうだろうか。

 喘息はあるが、好酸球増加症が昨年の入院時も今回もなかった。肺浸潤影があり、血管炎に起因すると考えられなくもない。(今回浸潤影は昨年より縮小していた)

 入院時に喘鳴がひどかったので、喘息としてステロイド(デキサメサゾン4mg)が1回だけ投与されて、その時だけ解熱して炎症反応が軽快していた。ステロイドが効く病態ということはわかる。

 

 リウマチ膠原病外来(月に2回)に来ている大学病院の先生と相談してもらうことにした。電話で連絡すると、検査の指示が出て、バイトで来た時に診てもらうことになった。

 

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