消化器科のもう一人の入院患者は急性胆嚢炎の90歳男性だった。8月下旬に発熱・上腹部痛・嘔吐で近医を受診して、地域の基幹病院消化器内科に紹介された。
急性胆嚢炎と診断されたが、年齢的に手術はリスクが高いとされて、抗菌薬投与で治療した。発熱の持続、炎症反応の著明な増加があり、PTGBD経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD:percutaneous transhepatic gallbladder drainage)が行われた。
PTGBD後は解熱して、炎症反応も軽快していた。1か月経過したが、胆嚢周囲膿瘍があるため、PTGBDチューブは抜去しないで経過をみることになったそうだ。画像で肝細胞癌も発見されたが、それは経過観察のみとなった。
9月下旬に紹介で当院に紹介転院となった。胆汁の排出は20~60ml/日程度だった。有意な発熱はなく、肝機能障害・炎症反応ともに軽度なので当院に来てからは抗菌薬は使用していない。
感染に備えて?胆汁の培養が提出されていて、大腸菌・クレブシエラ・エンテロバクターが検出されていた。いかにもという菌種だった。
本人も家族も自宅退院を希望しているが、一人暮らしであり、施設入所も勧めていた。また食事摂取が進まず、アミノ酸製剤の輸液と栄養剤(内服)を出して経過をみていた。
送られてきた画像は発症時の造影CTとPTGBD後のMRIの2つだけだった。これだけでは現状がよくわからないが、当院では入院検査としての胸部単純X線のみで精査はしていないかった。
PTGBDチューブは画像所見に改善があれば抜去可能ですと診療情報提供書にあるので、そのうち撮影するのだろう。挿入後の期間からは、チューブを自己抜去されても胆汁漏出はないので大丈夫だろう。(抗菌薬は必要になるか)