3月3日に消化器病センターのある専門病院から50歳代後半の男性が紹介されてきた。もともと当院の消化器科で先方の病院に紹介した患者さんだった。
2024年6月に右側腹部痛で当院の内科外来を受診した。上行結腸憩室炎だった。入院は希望せず、外来で連日抗菌薬の点滴静注が行われて軽快治癒した。
CTで肝脾腫が指摘されていたことと、肝機能障害があり(AST 50・ALT 66・ALP 86・GTP 99・LDH 158)、消化器科に紹介となった。
アルコール摂取やB型・C型肝炎はなく、抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体は陰性だった。初診時に血清フェリチンも測定していて、4462と著明な高値だった(再検で9522まで上昇)。
それらのことからヘモクロマトーシスを疑っていた。地域の基幹病院消化器内科は肝臓専門医の退職後の新任がまだなく、肝疾患の精査は受けていない。肝臓内科のある専門病院へ紹介していた。(大学病院でもよかったと思う)
肝生検でヘモクロマトーシス・肝硬変と診断されて、月1回の瀉血が始まった。しかし血清鉄・血清フェリチンの改善が十分ではなく、瀉血回数を2週間に1回に増やすことにしたそうだ。
そうなると先方の病院への通院が大変ということで(病院での手間もあるか)、当院に瀉血の依頼が来た。紹介した消化器科医は2月に急逝されたので、当方に診察依頼がきたという経緯だった。
中央処置室で瀉血(1回500mL)に対応できるか確認した。瀉血の経験のある看護師はいなかったが、臨床工学士(ME)で経験のある方がいて、対応してくれることになった。瀉血1回500mLは15~20分で行われて、バイタルの変化は特になかった。
ヘモクロマトーシスは有名な疾患だが、それを診たり瀉血をすることになるとは、思ってもみないことだった。
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