那須太社 錦輔 の日記

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アーサー・ヘイリー 「ストロング・メディスン」

2023-05-04 13:24:14 | 読書感想文

 久坂部羊の「MR」が面白くて、書評など読み漁っていときこの本の事も知り、同じ医療関係の傑作小説だと評されていたので借りてきたのだが、かなり面白かった。

けど、去年の秋に読んだ内容がほとんど思い出せない。

確か新進気鋭の医師と製薬会社の女性セールスが結婚して、奥さんが頑張って出世して会社組織を改善していくんだが、学会からその製薬会社に招請されて入社した男が小悪党で、奇形児が生まれる危険性の高い新薬を世界的に売り出そうとして会社を危機に陥らせる、みたいな話だった。

分厚い本だったがほとんど中だるみが無くて、まさに巻を置くをあたわず、これぞ世界のエンターテイメント、と感じた。

作者のアーサー・ヘイリーはこの本を書く前にすでに何冊もベストセラーを出しており、いったん創作活動から身を引いて悠々自適の生活だったのだが、病を発して治療を受けたことからまた意欲をかきたてられてこの本を書いたらしい。

この作者の他の小説もまた時間のあるとき読んでみたい。

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日本滅亡論(藤井聡)、「お金」と「人事」で世界が見える「平和な国」日本の裏側(堤未果)

2023-04-09 23:31:00 | 読書感想文

youtubeを見ているとやたらこの2冊を発行している経営科学出版の宣伝が出て来るので買ってみた。

日本滅亡論を読んで、平和な国日本の裏側を読み始めた。

あと、ダイレクト出版という所の宣伝も出て来るので、西鋭夫氏の新説・明治維新も買ってみたが、こちらは期待外れ。

お金の流れを追え、といって明治維新の定説に異論を唱えているが、自分でお金の流れを追ってない。

新事実は全くなくて、聞いたことのある推論ばかりだった。

 

経営科学出版の本に関しては、中々面白い。

自分はいい歳をして経済のこととか全く分かってないのだが、どうも経済学というのは単なる学問ではなく宗教的な思想であるらしく、おおまかに3つの流れがあるという。

1つ目は新古典主義といって経済学の父、といわれた18世紀イギリスのアダム・スミスの思想を援用した思想で、要は経済と言うのは政府が介入すべきではない、ほっておけば自然とバランスが取れて行ってうまく収まる、という考え方。

今の国際金融資本はこれを巧妙に利用して、自らに国家機関が規制をかけられないように立ち回っている。

シカゴ学派と言われるミルトン・フリードマンが立ち上げた思想らしく、社会主義者であったチリのアジェンデ政権がクーデターで倒されたタイミングでピノチェト新大統領に招かれて弟子を送り込み、規制緩和、民営化を進めてチリ経済を外国資本に売り渡したと言われている。

経緯としては右派なのだが、思想としては極左である。

2つ目はマルクス・レーニン主義。20世紀において各社会主義国・共産主義国で他の思想を許容しない独善性から何度も大虐殺を引き起こしいったん廃れた思想だが、新古典主義に席巻された現在の世界において弱者救済という題目で再び勢力を回復しつつある。

3つ目がケインズ主義。19世紀のイギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズの思想を受け継ぐ考え方で、一国の経済と言うのは適宜国家機関がコントロールして行く必要がある、という考え方。

自分は原典を読んだわけでもないし、勉強したわけでもないが、愛国者として尊敬している藤井聡さんや堤未果さんが推しておられるケインズ主義を支持したい。

現代ではポール・クルーグマン、ジョセフ・スティグリッツがケインズ派らしく、藤井聡さんは推しておられるのだが、現在進行形の人でもあるし自分が勉強不足でもあるので評価は保留したい。

飛んだ食わせ物である可能性もある。

藤井聡さん、堤未果さんの著書を読んで、政治のことは難しくて分からないから、信頼できる政治家に任せておこう、と思っていたことを自分でも調べて考えてみようかな、という気持ちになった。

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詩や句から今も昔も変わらない人の心がうかがえる

2023-03-26 09:02:09 | 読書感想文

最近、本を読み通すのが難しくなって、目が悪くなってきたのも原因だと思うが、残念なことだ。

去年老眼鏡も作り、それを使えば確かに裸眼より読み易いがけっこう面倒くさい。

 

それでなんとなく俳句をネットで検索して楽しんでいる。

 

尾崎放裁の「咳をしても一人」

与謝蕪村の「春の海、ひねもすのたりのたりかな」

気楽に楽しめていい。

日本人の漢詩もいい。

伊達政宗の

「馬上少年過ぐ

世平らかにして白髪多し

残躯天の許すところ

楽しまずんばこれ如何せん」

なんてたまらない。

元になった「酔余口号」という漢詩は

馬上少年過 世平白髪多

残躯天所赦 不楽是如何

一国を率いて戦って天下を取る事は出来なかった大武将が、若き日の戦いの日々を「馬上少年過」のたった5文字で表している。

 

小林一茶は江戸時代の人だが、現代人と同じような感覚、言葉遣いで親しみやすい。

1763年に信濃北部の農家に生まれて、子供のころ江戸に奉公に出されたという。

1615年が大坂夏の陣で豊臣家が滅ぼされ徳川家の体制が確立した年だが、その148年あとの生まれだ。

最後の将軍徳川慶喜が大政奉還したのが1867年、明治維新が1868年だからその105年前の生まれでもあり、江戸時代の真ん中あたり、ちょっと後半よりに生まれた人である。

お城には2本差しの武士がいた時代だ。電気やガス、水道はないし、冷蔵庫も洗濯機もガスコンロもない。自動車も電車も電話もない。ネットももちろんないしテレビも新聞もない。

 

けど、その句はとても親しみやすい。

「雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る」

「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」

「やれ打つな 蝿が手をすり 足をする」

ちいさな生き物の可愛らしさを詠んだ詩が良い。

あと良いのがこれ。

「雪とけて 村いっぱいの 子どもかな」

北国に春が来て深々とした冬景色から一転、家から出てきた子供たちが外で元気いっぱい遊びまわっている風景が目に浮かぶ。

この唄など現代の風景と変わらない。

江戸時代が平和であったという事もあるだろうが、人って今も昔もそんなに変わらないんだろうだな、と思う。

 

子供を題材にした歌だと後白河上皇の

「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん 遊ぶ子どもの声聞けば 我が身さへこそ動(ゆる)がるれ」

という歌?もあった。

後白河上皇は1127年生まれ。

武士が台頭してきて貴族を凌駕しつつ相争い始めた動乱の時代の人で、若いころには保元平治の乱、壮年から晩年には源平合戦にかかわっている。

遊びを・・・の唄は言葉遣いは難しいが、歌っている中身は、子供たちの遊ぶ声を聞いてると嬉しくなる、といった意味でこれも現代でも変わらない気持ちを歌っていて、権力闘争の真っただ中にいた人でもそういう感覚があったんだ、今も昔もそういう所って同じなんだな、人間と言うのは根本の部分は変わらないんだなと思う。

※深読みすると、遊女の事を歌っている、という説もネットで読んだが自分は素直に子供のこと歌っているとうけとめたい。

昔の詩を読んでいると、科学技術が進歩して、色々な思想が世に問われてきたが、結局人間は何も変わらないのじゃないかとおもう。

 

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かえっていく場所 椎名誠

2023-03-15 21:45:56 | 読書感想文

野田知佑さんが歳を取って様子がおかしい、みたいな事がネットの書評に書いてあったので読み始めたが、それほど大したことは書いてなかった。

他の話もあまり興味を覚えず、途中で読むのをやめてしまった。

かつて「哀愁の街に霧が降るのだ」に熱中したものだが、椎名さんも年相応に体の不調もあるようで筆があまり走っていないし、自分もがんばって本を読みとおす根気がなくなった。

いちばん古い話が2001年の雑誌の1月号に掲載されているからもう20年以上前のエッセイになる。

だから息子の岳君はまだアメリカの学生で、娘さんもまだ結婚してないようで、椎名家に孫はまだいない。

他の本の書評に書いてあったが、20年以上経過した今は岳君はサンフランシスコで写真家、娘さんはニューヨークで弁護士として働いているらしい。

なんだかうらやましい。

自分もアメリカで暮らしてみたいな、なんてふと思った。

でも、ニューヨーク、ロスアンジェルス、サンフランシスコ、そういった大都市なら行こうと思えばいく事は出来ると思うが、実際行く事はないだろうな。

 

なんか、椎名さんを見習ってもう少し外に出て人と交わってインプットするようにしないと、だんだん摩耗していつも不機嫌な気難しい老人になってしまいそうだな。

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ナイトホークス マイクル・コナリ―

2023-03-12 21:16:11 | 読書感想文

正月に大阪の古本屋で、新幹線の中の暇つぶしにシリーズ8作目のシティ・オブ・ボーンズを買って、微妙な感じだったのでマイクル・コナリ―が面白いのかどうか確認のためシリーズ1作目を読んでみた。

なんか、冗長で中々物語の中に入っていけなかった。

警察内部の描写とか細かくて、たしかコナリ―が警察付き記者だかなんだかで、内部の事良く知ってるのだろうけど、もっと省略しても良いのじゃないかと思った。

上下巻だが上巻を読み終わるまでかなり時間がかかった。

ロスアンジェルスの地名が沢山出てくるのでGoogleマップでその都度検索したが、それが面白くもあり、また逆に物語に入り込めなかった理由かも。

 

主人公の造形は良い。

ありがちだが、頭が切れて組織になじまないけど仕事はできるカッコいい男。

頭の良さの見せ方が上手。

脇役も良い。

内部監査のルイス、クラーク、彼らの上役のアーヴィング

FBIのエレノア・ウィッシュ、ローク

不良少年シャーキー

生き生きしてる。

 

でもやっぱり微妙。

もう一作読んでみよう。

 

刑事ものだと、マイクル・Z・リューインの「刑事の誇り」が好きだったが、断捨離したとき売ってしまった。

あと、フロスト警部モノも好きだった。

雑事に追いまくられ、同時進行で複数案件対応していく主人公にリアリティを感じるのかな。

ハリー・ボッシュは1件の事件に専念しているところが自分的に物足りないのかもしれない。

 

あとボッシュが盗聴器を仕掛ける場面だが、別に電話機の中にしかけなくても、テーブルの下とかに貼り付けとけば良いのでは?と思ったがピポパというプッシュトーンを聞くために電話機にしかけたのだね。

翻訳も今一なのかも。ホイールキャップとホイールカバーが同じ文章の中に出てきて、どういう事と思った。

128ページ「ホイールカバーがついていない白のフォード・リミテッド。車体の色とあわせた白いタイヤに安物のホイールキャップをかぶせているだけだ」これは原文がおかしいのかな。

タイトルも表紙にThe Black Echo(原題)と書いたうえで、ナイトホークスとしているが、あえてThe Black Echoではなくナイトホークスにする意味が分からなかった。

エドワード・ホッパー(edward hopper)という人がNightHawksという絵を描いていて、ストーリーの中に出てくる。

ネットで検索したら出てきたが、意味ありげな絵だった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9_(%E7%BE%8E%E8%A1%93)

けっこう有名な画家みたいで、ネットで色々論評している方々のサイトがいくつもあった。

 

追記3/13 忘れてたけど、第2作の「ブラック・アイス」も読んでいた。

やっぱり微妙だが、第3作の「ブラック・ハート」も読んでみよう。。

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