九月の連休に帰省して、実家においてある「鷲は舞い降りた」をまた読んだ。
通読ではなく、好きなシーンを拾い読みした。
ラードルがシュタイナーの部下たちにつっかかられて反撃し、気合を入れるシーンが好きで読んでいたのだが最高に楽しい。
歴戦の殊勲勇士たちが、訳アリで全滅必至のひどい戦場に送り込まれて消耗しているところに、上層部からある「特命」をうけたラードルが送り込まれてくる。
シュタイナーの部下たちは、敬愛する上官であり、軍からにらまれているシュタイナーに害を加えるためにラードルはきたのだ、と思い込んでつっかかるわけだが、事務担当の官僚と思い込んでいた部下たちに、ラードルがコートを脱いで東部戦線での勲章を見せて圧倒し、気合を入れるところがすばらしい。
本当に好きな小説だ。
シュタイナーの部下も高学歴の子もいれば、肉体労働者だった柄の悪い子もいる。
ラードルが、シュタイナーが協力しないなら父親がどうなるか分からない、と言ってしまって激怒したシュタイナーがラードルをあわや絞め殺してしまいそうになって、リーアム・デブリンが懸命に制止するわけだが、そのあとのラードルの、俺も家族を守るために必死に職責を果たしているのだ、というくだりの言葉がまたしびれる。
あと、シュタイナーがラードルに謝罪した後、一同が宿舎で見つけた酒とタバコをやりながらマドンナである基地司令官の妻に歌をねだり、そのマドンナが歌いだすと皆がそれに唱和し、期せずして合唱が始まる。
一人だけアイルランド人のリーアムはその輪に加われず、「彼らはどうかしてる」といって一人宿舎からでていくのだが、このシーンも良かった。
どこを開いても良い小説である。
あと、皆で合唱できる歌がある、というのは良いと思う。
昔、大学のクラブで校歌と応援歌を覚えさせられたが、会社でもああいうことやってみたらいいのではないかと思う。