中公新書の「チェ・ゲバラ」をボチボチと読んでいる。
普通に書かれた新書で、専門家がその専門とする分野の事をまとめてくれている感じだ。
中公新書はおそらく編集者が敏腕なのではないかと思うが、すごく面白い著作に出会う事がある。
渡辺昇一先生の「ドイツ参謀本部」とか(他はパッと思い浮かばないが)。
そういうとても面白い本ではないが、入門編としては読み易い。
キューバ革命は現代のファンタジーみたいな出来事だったようだ。
1956年11月25日にグランマ号でメキシコのトゥスパン港をでたときのカストロ、ゲバラらの一同は82人。カストロは弁護士、ゲバラは医師、専門の兵士はいなかったようだ。
それがキューバへ上陸し山中でゲリラ戦を続けるうちに、農民を兵士として仲間に加え都市部の反政府勢力と手をつなぎ、国民の支持を得て、元々反感をもたれいていたバティスタ大統領を徐々に追い詰めていき、1959年ついに大統領はドミニカへ飛行機で逃亡し、軍部も動揺して革命軍に指揮権を預けることになる。
地理的に米国の目と鼻の先である。
当時の侠気の強い人なら、良くやった!と快哉を叫んだのではないだろうか?
まだ読んでる途中だが、その後は革命をつぶそうとする米国に対抗するため、ソ連が率いる共産主義勢力に迎合・合流する事となり、若き英雄たちの苦難が始まるようだが…
ちなみにバティスタ元大統領は写真を見ると純欧米系の顔ではない。華人、先住民、ムラートの混血であったという。
米国資本やマフィアに持ち上げられて大統領にはなっていたが、地縁・血縁・同志愛・宗教等に基づく権力の基盤は弱かったのではないか。
あまりにもあっけなく脆弱な敗北ぶりからそんなふうに思った。
実態としては米国の植民地として支配されてきたわけで、おそらくキューバはそれほど人口も多くなく堅固な国家として成り立っていなかったのかもしれない。
もしそうだとしたら、保守という概念も勢力もなく、案外カストロ達のような「正義感」に基づく闘争は容易だったのかな。
外務省のWebサイトでは、キューバの先住民族は1492年のコロンブスによる「発見」から始まるスペインによる400年の支配で「全滅」した。とある。酷いものだ。
これに代わって鉱山採掘や砂糖農園の労働力としてアフリカから奴隷が連れてこられた、との事。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol45/
我が国にはありがたいことに長い歴史がある。
これを守らなければならない。