図書館で借りてきて読んだ。
著者の児島一志氏は毀誉褒貶の激しい人のようで、アマゾンのレビューでは長文の悪口を書き込んでいる人が何人もいた。
しかし、内容的には面白かった。
情熱家が長いものに巻かれることなく、書きたいことを書いている印象だ。
月間空手道の編集長だったそうで、ちょうど格闘技が盛り上がって、自分も読んでいた時期の話も出てきて興味深い。
芦原英幸というひとの凄さが分かった。
サバキ、といのはなんとなく目にしたことはあったが、警察の逮捕術という技術体系を取り入れた、高度なテクニックだったらしい。惜しむらくはその真髄が後世に伝わらず消えてしまう事だ。
あと、極真会館系の空手道場の勢力争いの事も初めて知ったことが色々書いてあった。
極真会館を破門された芦原英幸氏が芦原会館を設立した直後、石井和義氏がクーデターを起こして正道館を立ち上げ弟子や門下生を芦原会館から引き抜いていったという。
石井氏は自分では支部長であったと言っているが、素性のしれない人物で彼の背後で膨大な資金が動き、また空手関係者以外の各方面からさまざまな人や組織が絡んでいたのだという。
その詳細は明らかにされていないが、設立後1年にして正道会館は全日本選手権を開催し、吉本興業の芸人を参加させたりと、普通じゃできない事をあっさりやっているのだという。
誰も語ることなく消えていく話なのだろうが、何がおき誰が何をしたのか、野次馬的には知りたいところである。
それはさておき、本書は息子さんとの共著と言う形になっていてちょっと読みにくいが、父親である児島一志氏の芦原氏への敬愛の念が素直に吐露され、嫌味のない芦原賛歌になっていると思う。
また、格技界の裏のどろどろした話もタップリ入っていて読み応えも十分あった。
同じ著者の大山倍達正伝というのも古本屋で見つけて買ってきたので、読んでみたい。