さて元来は気候のリスクをしのぐ為の複数葡萄の栽培やブレンド、ということを書きましたが、現在はそれとは別に味わいを創造という意味でのブレンドもします。
古い言葉で言えば「心技体」を持ち味の違う葡萄で完成させる、或いは5味(甘み、酸味、渋み、辛味、旨み)の内、辛味を除く部分をブレンドによってバランスをとる、ということでしょうか。
これらは決して簡単なことではありません。例えば、渋い葡萄を少し入れて多少のタンニンを強化しよう、と思っていても渋さが勝ってしまったり、多めに入れればしっかりしたタンニンの構成が出来ると思っていても、その年が充分に渋みの乗らない葡萄に仕上がって構成がゆるくなったり・・・・と難しいのです。或いは色素が濃いと香りの要素を担う葡萄の個性が出なかったり・・・・
ですから、葡萄の構成比率を知った所で味を知ることは出来ません。その土地、その年、その造り手の個性、収穫時期。あらゆる要素が絡まってブレンドの答えが違うのです。
我々はそれらの要素を更に理解してワインを扱わねばなりません。軽くなった年のワインを薄く感じない様に、重い年のワインを滑らかに、閉じた香りのワインを開かせて・・・です。
樋口が上手く実現できているかどうかは、なかなか自信がありませんが、造り手の苦労は並大抵ではありません。それらを無駄にしないように頑張りますね。