ブルゴーニュの名門ルイ.ジャド社。
大手でネゴシャンも兼ねる生産者はマニアからは敬遠されることが多いのですが、ルイ.ジャドは別格です。
そのジャド社をここまで育て上げたのがカリスマと言われるジャック.ラルディエール氏です。
白髪でダンディ。笑顔が素敵で楽しい男ですが、一旦話し出すと止まりません。
哲学者、と言っていいですね。
彼のワインはある意味「ヤンチャ」です。
発酵温度を一切コントロールしない造りは、若いうちはアプローチを突き放す強さがあります。
通常は若いうちは還元気味で熟成と共に酸化を帯びてきますが、ここは若いうちが酸化気味で年と共にエレガントさを増してきます。
まさに晩熟で力を発揮するワインです。
昨日、ジャックと共にランチ(FBにもアップしています)を頂きましたが白赤1種ずつのみ。
シュヴァリエモンラッシェ83年とジュヴレーシャンベルタン.クロサンジャック85年。
シュヴァリエの83は決して良い年とは言われていませんでしたが、エレガントでしかも力もあります。彼は自分の育てたワインを的確に見抜いて日本に持ってきたのです。
更にはエレガントな中にある強さは半端なく、全ての料理を包み込みます。肉料理もです。
ジュヴレーは最良年の85ですからいう事なし。若々しい色合いで、しかもスムーズ。香りは果実味を帯びていますが熟成の複雑さがあふれんばかりです。
この何年かの内に飲んだブルゴーニュの中でも屈指の出来栄え。
白赤ともに「この上ない」贅沢でした。
何れもそむりえ亭で普段勧めることはないクラス(ヴィンテージ)ですが、改めてジャック.ラルディエール恐るべし、と思い知らされました。
近くバックヴィンテージを探してみたいと思います。
しかしそのジャックも今年いっぱいでリタイアすることになっています。
巨人、カリスマ、と言われた醸造家が前線から退くのはもったいない話ですが、これからはゆっくりと老後(と言うには早すぎますが)を過ごして頂きたいと思います。
またジャドのワインのマリアージュの特殊性も発見しました。
来月のグラスワインに入れてみたい(上記の2アイテムじゃありません)と思います。