ワインの構成要素。
難しい話をすると数えきれない要素が有るのだろうと思います。
が、私も含めあまり細かな要素は知っている人は少ないと思います。
で、有名な目立つ要素だけを挙げてみますと
酸、ミネラル、アルコール、甘口の場合は糖分、赤の場合はタンニンという事になりますね。
これらの要素が時間や環境によって変っていくことを熟成と呼んでいるわけです。
しかし、多くの要素は姿を変形させたり若干の増減はあるものの「酸が無くなってしまう」「アルコールが急激に増える」「減る」という事は殆どありませんね。
が、一つの要素は着実に減っていき、いずれは殆ど無くなってしまいます。
タンニンとそれを含む色素です。
場合によっては100年くらいかかる場合もありますが、多くの赤ワインは数十年以内にタンニンは殆ど感じられなくなりますし、赤い色素も失われます。
酸やアルコール、ミネラルが人間の身体の構成要素とするならばタンニンは衣服的な物かも知れません。
よくタンニンの強いボルドーのワインの解説に「ミディアムボディ」「ミディアムフル」などと書かれていたりして「えっ」と思われる方がいらっしゃいますし、ブルゴーニュのタンニンが左程多くないワインが「フルボディ」、タンニンの無い白の名品が「フルボディ」となっていて「そうだったんだあ・・・・」と思われる方もいますね。
ブルゴーニュは赤も白もタンニン以外のものはボルドーより強い事が多い。つまり酸とアルコールがシッカリしているのですね。
逆にボルドーは熟成してタンニンが和らいできた後に残る酸は控え目でアルコールが低い事が多い。つまり優しいのです。
何度か書いていますが「ボルドーは女王、ブルゴーニュは王様」と昔から言われる由縁はそこにあるのでしょう。
若いうちはタンニンというゴージャスな毛皮を纏い、成熟した女性が衣服を脱ぎ捨てた後の妖艶な姿は正にボルドーグランヴァンの熟成に似ています。長命というのも女性的ですね。
ブルゴーニュはボルドーの赤ほど長命ではありません。その一点だけでも短命な男に似ていますが、ある程度熟成しても「ヤンチャと思えるほど強い香り」「口の横に筋肉質に残る酸」はタンニンが無くても主張しています。男なんですね。
この辺の形容に関しては多種多用に見方が有ると思います。
が、ワインの構成要素の内、タンニンは「無くなっていく運命」を背負っている、というのは憶えていて損のない事かな、と思います。