白ワインは赤ワイン以上にいい熟成をする、と書いたことがあります。
ドイツやアルザスのリースリング、ロワールのシュナンブラン。
20年30年程度なら「AKBか?」と言いたくなる若々しさを保っていて、しかも柔らかさや「甘くない甘味」を身につけたりするのです。
2つ理由があると思っています。
一つはしっかりした酸味が酸化から守ること。
二つ目は、赤の色素やタンニンの様な「崩れる要素がない」こと。
ではないかな?と・・・・・・
ではブルゴーニュボルドーなどの白はどうか?
やっぱりいい熟成をします。
が、私の知る限り1990年前後の数年は「怪しいワイン」が多々ありました。
ヴィンテージ評価では素晴らしいし、世に出て数年までは感動のパフォーマンスを示していたのに、その後急変=褐変したり、老化したりするのです。
ちょうど、この頃に流行っていたのはスキンコンタクト、フランス語ではマセラシオン.ペリキュレールと言われる果汁を果皮に接触させる方法です。
香りや味わいが増した感じになるのです。
この方法は果皮に含まれるフラボノイドが香りを引き換えに酸化を促進させると後に言われるようになります。
私はいつも言うように科学者ではありませんが、それを聞いたときに「なるほど!!!」と頷いたものです。
最近もお客様から「90年のグランクリュの白がおかしい」という話や「いい歳のはずなのに褐変しているのはオークションで偽物を掴まされたのかな?」ということを聞かされていますが、実はそういう事なのです。
勿論、全ての生産者がやっていたわけでもありませんし、度合にもよるのだろうと思います。
で、その辺のヴィンテージのボルドー、ブルゴーニュ、カリフォルニアの白は買うのに躊躇していました。
今月のグラスワインで90年のピュリニーモンラッシェの1級フォラティエールを開けていますが、どうやらこの生産者=ファビアン.コシュは大丈夫の様でしたので思い切って買ったものです。
グラス2,950円は安くはありませんが、24年の時を考えると、ま、許して頂けるお値段かなと思います。
決してスーパー生産者ではありませんが、まだ若い色合いで複雑さを身に着けています。
白の古酒をあまり召し上がっていないお客様には是非ともお試し頂きたいワインです。