ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

こんなAOCも・・・・

2017年04月09日 02時14分30秒 | ワインの事
EU圏内のワイン生産地は勿論、ニューワールドと呼ばれる産地などでも原産地呼称というものがあります。

国によって若干の差はあるものの見本とされるのはフランスのAOC(アペラシオン.ドリジーヌ.コントロレ)です。


簡単にいうと「この産地なら最低これくらいのルールは守ってくれよ」というものです。

EU圏などの場合ですと「この産地名を書くのなら、品種はアレとコレはOK,収穫量は〇トン以下、糖度は△度以上、熟成は・・・・」などと定められています。

その中でも面白いのがロワール川中流域のヴーヴレー地区。

シュナンブランという葡萄で美味しいワインを生み出します。


面白いのは「ヴーヴレー」という一つの名前、シュナンブラン一種のみで様々なタイプを生み出すことです。


多いのはSec(セック)=辛口の白

次に見かけるのはMoelloux(モワルー)=貴腐菌の着いた甘口

そしてMousseux(ムスー)=発泡酒

たまたま、今月のそむりえ亭には三種とも揃っているのですが、いずれも「酸のバックボーンがシュッとしている」ワインで、知る限りでは他の産地に比べて寿命が長い。

ちょっと面白いのはムスー。

今回使っているのは「トリプルゼロ」という名前を冠しています。

通常の発泡酒は葡萄の持つ糖度だけではアルコール度数を充分に獲得できないため、二度目の発酵をさせるために糖分添加(ティラージュ)をします。
そして更に二度目の発酵をさせた後、濁った酵母の残骸を取り除き(デゴルジュマン)、目減り分を補填(ドザージュ)をして味わいと分量を調整。
年によっては最初のワインの段階の糖度も足りない、と言うときに補糖(シャプタリザシオン)をしてアルコールを上げることもありますから、3か所での糖分の出番がある訳です。


この生産者はそれを一切しない=トリプルゼロ=方法を取っている=葡萄が持っている糖分が充分にある、ということなんですね。

しかも瓶の中で48ケ月の熟成ですから酸の爽やかさだけではない旨みと香りも備わっています。


かと思えばモワルーはヴィンテージが1990年。

27年熟成。

しかし、滅茶苦茶若いんですね。



「ヴーヴレー三段活用」で料理を楽しんで頂いても面白いと思います。

そして、同業の方にも確認していただきたいラインアップです。


今月中は3種そろい踏みの予定ですよ‼‼

お試しください‼


                 樋口誠