ちょっとしたワイン通が「いい熟成をしているねえ」などと宣います。
確かにグランヴァンと言われる高級なものは多少熟成期間を取った方が「金額に見合った」ポテンシャルが引き出されるのも事実です。
さて熟成といっても多様です。
少なく見ても下記の3つがあります。
樽やタンクでの熟成
出荷までの瓶熟成
出荷されてからの瓶熟成
しかし、必ずしも熟成が必要かと言えば、そうでないことも多いのです。
例えば魚介の「ワタ」を食する場合は若いタンニンが仕事をします。
今の季節、蛍烏賊などのワタには熟して柔らかな味わいに到達したものより「ちょっとワインだけじゃ暴れるな」というものの方が合わさった時に甘くなったり。
サンマもそうですし、生牡蠣を口内でつぶした時も実はそうなんです。
或いはシャンパン等を評するときに「瓶内熟成がなんと4年」とか「5年」とか言われますが、果たしてそれが良いのかは疑問です。
ド スーザというシャンパンハウスの「3A」というシャンパン。
ブラインドでお出しすると「これは瓶内熟成が長そう」と多くの人が答えるはずですが、実際は喧嘩を売るかのように「最低熟成期間の15か月やで」と裏ラベルに書かれています。
考えてみれば超高級なブルゴーニュの白(もちろん赤もですが)は酵母接触期間もそんなに長くなくて、そして感動的に美味しいわけです。
また最近増えた国産の「濁り」のあるワインなどは半年で素晴らしい成長を見せますし、また、それ以前に飲んでも別の意味で美味しいのですね。
それより「これは高価だから待ってみよう」として「待ちすぎる人」の失敗談もよく聞きます。
あまりワインの熟成を神格化しない方がいいですね。
もし手元に「いつ開けようか?」というワインをお持ちの方は是非相談してみてください。
さて今日10日はお休み、明日11日はお席に余裕あり、明後日12日はワインメーカーズディナーにて貸切です。
どうぞ宜しくお願いいたします。
樋口誠
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