東西圧縮回流記

仙台青春風の旅 ブーメランのように 

岩手・宮城内陸地震 栗駒山 泉ヶ岳

2008-06-14 | Weblog
栗駒山の駒の湯温泉が被害を受けたと報道があった。

思い起こせば何十年か前の学生時代、大学2年のころだったか、初めての単独行が栗駒山だった。鉄道の終点が細倉で、バスに乗換えて温湯温泉に向かった。バスの車掌さんが料金の精算のとき「こまいのありませんか?」とやさしく聞いた。関西弁に近い発音をするのだな、とボクの失恋単独行は出だしで少し癒された。裕次郎と浅丘ルリ子「夕陽の丘」のデュエットを歌うと、あの車掌さんと温湯温泉に向かう車窓の風景を思い出す。温湯温泉からは沢沿いに登山道を湯ノ倉温泉を経由し、湯浜温泉に向かって歩いた。栗駒の山岳道路は工事中で完成していなかった。湯浜温泉は深い渓谷の上流にあり電気も通じていなかった。登りに向かう湯浜温泉で一休みした。客がほとんどいない宿には、意外に都会的な雰囲気のあるカップルが宿泊していた。宿の縁側で、浴衣姿の若くさわやかな方に「おひとりですか? どちらから来られたの」と聞かれた。「仙台です」とぎこちなく答えた。「どちらに行かれるの」「栗駒山です。どちらから来られましたか?」「東京から来たのよ。あなたはお元気ですね」と柔らかな返事、いいひとだなと感じた。ただほっとした安堵の雰囲気の中に、少しけだるさが伺われた。連れの男性客とは言葉をかわさなかった、というより少し距離を置かれあまり会話を望まない風だったので、ボクは早々に退散した。そして宿を離れ、あえぎながら栗駒山の山頂に立ち、酸が強いが疲労が吹き飛ぶような須川温泉に浸かったのち、一関を経由し仙台へ戻った。

今日の地震発生時は泉ヶ岳に向かう根白石の近くで車の運転中だった。揺れは全く感じなかった。ちょうどNHKラジオから緊急地震速報があった。また訓練放送かと思った。しばらく報道を聞いていると本物の地震だと気づいた。報道の初期だったので被害は大きくなさそうだった。登山口の駐車場に着き、モモコと泉ヶ岳の頂上へ行き、数時間遊んで帰った。途中で何度か自宅に携帯で電話したが回線が混んでいて全く通じなかった。ただ偶然に関西からの地震見舞いが携帯に飛び入った。ボクは「元気だよ。ありがとう。」と山中で答えた。
身辺も少し落ち着いたので、しばらくは東北の山で逍遥も良しと歩きながら想った。

今回の地震で亡くなった方々のご冥福を祈ります。
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