個人的評価:■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)
批評家うけのよさとは裏腹にどうも好きになれなかった阪本順治監督作品。
-------
個人的阪本作品評価
いつもの6段階で
■□□□□□ トカレフ
■■■□□□ 顔
■■■□□□ 新・仁義なき戦い
■■□□□□ KT
■■■□□□ 亡国のイージス(→くそみたいなシナリオを演出でなんとか観れるレベルに引き上げた手腕は評価している)
他にも観たかもしれんけど印象に無い
-------
しかし今回はじめて彼の作品ですっごく楽しめた。
その理由は阪本演出にあの「日本のトム・クルーズ」藤原竜也がピタリはまったからである。
阪本作品に感じる不自然さ。
台詞がわざとらしく感じる、演技が下手に見える・・・のは俺だけかも知れんが、どの俳優も一個前の台詞が喋り終わるのを待っている。台詞のかぶりがない。その辺がなんともダサくてテンポも悪い。
拍車をかけるように、カットもあまり割らず、引き気味のショットが多く、照明にも構図にもカメラワークにもこだわりを感じない凡庸なつまらないショットばかりが並び、人間の生の感情が伝わってこない。
今回もその辺は変わらない。
しかし、主要キャラがドサ周り芝居一座ということで、台詞のわざとらしさはむしろ味があると感じられる。
何より藤原竜也の存在がデカい。
無駄に全力、All Time熱演の竜也である。編集とかカメラワークとか構図とか照明とか、そんなデコレーションなど必要ない。そんなもの生の竜也にとってかえって邪魔になろう。竜也が全身から噴出す演技をノーカットで見せ付けてくれればそれだけでゲラゲラ笑えるのだ。演出が凡庸だったりシナリオがめちゃくちゃなほど竜也の熱きオーラは光り輝く。
●異常者が女を拉致るごとくに地下道につれこみ股間握らせる竜也
●女が撃たれた後、ぴくぴくわなわなとした表情へゆっくりズームするカメラ
●ヤクザの事務所に丸腰でおしかけ、ヤクザ全員ボコボコにする竜也
●国会に乗り込む竜也
竜也ファンなら大満足の100%竜也が楽しめる作品だ。
芝居の濃さも、アホさも熱さも並みの日本映画男優の50%ましくらいで演じてくれる竜也は、でかいスクリーンが似合う
そしてなんといっても素晴らしいのは竜也のアクションだ
アクションシーンもカット数は最小限。しかしその吹き替えなしの物凄くスピーディな格闘を見せられれば竜也すげーと笑いながらも感動すら覚える。個人的なこと言わせてもらえばカット割りすぎのどこぞのグリーングラスのアクション演出よりはるかに面白い。
ぶん殴りぶん殴られぶん投げられる様がノーカットで延々続くのに恍惚すら覚える。竜也はパワーはないがその機敏さを活かしスピーディに動き回り水面切りのような足技でパワーで勝る敵の足をすくって倒す攻撃法を多用。根性だけで敵に殴り勝つインディやマクレーンや、力だけでねじ伏せるスタローンより戦い方が理にかなっている。
格闘戦では二度にわたり竜也と戦う女の敵がいる。この女もキレのある動きが素晴らしいのだが、竜也も女だからと手加減せずボコボコ殴り、腕をへし折り、最後は首の骨をひねってとどめを刺す。竜也もあの女もかっこよかった。
銃撃戦において、「男たちの挽歌2」のパロディと思しき場面がある。
こちらを参照→[挽歌2 映評]
敵の中ボスと銃をかまえて対峙し、お互い一度銃をすててから拾って撃ちあう。
ここも阪本流に引き気味ショットでカットもそんなに割らずに描く。ジョン・ウーのどアップと細かく刻んだ編集によるエモーションばりばりなシーンには全くおよばないが、パロっただけのシーンだからフフっと鼻で笑って許してやる。ただしここで竜也と戦う敵が、それまでは丸腰の女の子を背後からライフルで撃つなどの卑怯漢として描いていたのに、急に達也との対決で漢に化けるのが納得いかない。
パロディ元の挽歌2の黒メガネの殺し屋は、レスリーの背後に立ってもレスリーが振り向き銃を構えるまでは、自分の銃を下に下ろしていたり(それでも早撃ちでレスリーに勝つ)、大ボスから「お前の分だ」と札束の山を渡されても一瞥だけくれて、強い漢との死合いに行くことを選んだりと敵ながら漢気MAXな人物として描かれていたから、最後のユンファとの美しい戦いに納得ができるのである。
それでもなんでも、竜也の濃い芝居とキレのいいアクションに支えられた本作を、阪本順治最高傑作と呼ぶのになんのためらいもない。
ただし、元傭兵の敵の隊長との対決がなかったので5点を用意していたが1点減点させていただく。
他に良かったのは、物語のちょうど真ん中辺に用意された芝居一座と竜也たちの宴会シーン。
酔った勢いで舞台で得意の演目をはじめる老優三人。観客は竜也ら若者5人だけ。やんややんやと囃し立てとても楽しそうな七人。ロングで写しているカメラがゆっくりとステージに近づき、谷啓の見事なサックス演奏なども写し、そしてカメラはステージ上から客席を写すと、いつの間に集まっていたのか数十人の観客が楽しそうに笑いながら手拍子している・・・のをワンカットで写す。これだけでも楽しくもどこか寂しさを感じさせる印象深いシーンだが、ここを境に物語は激しくも悲しい後半のアクションパートへと移行していく。
前半の締めくくりとしての仲間同士の楽しき日々を象徴するシーンを用意して、物語に感情の大きな起伏をつける。
やはり伊達に評価されてはいないんだなあ・・・と、なんか映画の呼吸を知り抜いている感じがすごいと思った。
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[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)
批評家うけのよさとは裏腹にどうも好きになれなかった阪本順治監督作品。
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個人的阪本作品評価
いつもの6段階で
■□□□□□ トカレフ
■■■□□□ 顔
■■■□□□ 新・仁義なき戦い
■■□□□□ KT
■■■□□□ 亡国のイージス(→くそみたいなシナリオを演出でなんとか観れるレベルに引き上げた手腕は評価している)
他にも観たかもしれんけど印象に無い
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しかし今回はじめて彼の作品ですっごく楽しめた。
その理由は阪本演出にあの「日本のトム・クルーズ」藤原竜也がピタリはまったからである。
阪本作品に感じる不自然さ。
台詞がわざとらしく感じる、演技が下手に見える・・・のは俺だけかも知れんが、どの俳優も一個前の台詞が喋り終わるのを待っている。台詞のかぶりがない。その辺がなんともダサくてテンポも悪い。
拍車をかけるように、カットもあまり割らず、引き気味のショットが多く、照明にも構図にもカメラワークにもこだわりを感じない凡庸なつまらないショットばかりが並び、人間の生の感情が伝わってこない。
今回もその辺は変わらない。
しかし、主要キャラがドサ周り芝居一座ということで、台詞のわざとらしさはむしろ味があると感じられる。
何より藤原竜也の存在がデカい。
無駄に全力、All Time熱演の竜也である。編集とかカメラワークとか構図とか照明とか、そんなデコレーションなど必要ない。そんなもの生の竜也にとってかえって邪魔になろう。竜也が全身から噴出す演技をノーカットで見せ付けてくれればそれだけでゲラゲラ笑えるのだ。演出が凡庸だったりシナリオがめちゃくちゃなほど竜也の熱きオーラは光り輝く。
●異常者が女を拉致るごとくに地下道につれこみ股間握らせる竜也
●女が撃たれた後、ぴくぴくわなわなとした表情へゆっくりズームするカメラ
●ヤクザの事務所に丸腰でおしかけ、ヤクザ全員ボコボコにする竜也
●国会に乗り込む竜也
竜也ファンなら大満足の100%竜也が楽しめる作品だ。
芝居の濃さも、アホさも熱さも並みの日本映画男優の50%ましくらいで演じてくれる竜也は、でかいスクリーンが似合う
そしてなんといっても素晴らしいのは竜也のアクションだ
アクションシーンもカット数は最小限。しかしその吹き替えなしの物凄くスピーディな格闘を見せられれば竜也すげーと笑いながらも感動すら覚える。個人的なこと言わせてもらえばカット割りすぎのどこぞのグリーングラスのアクション演出よりはるかに面白い。
ぶん殴りぶん殴られぶん投げられる様がノーカットで延々続くのに恍惚すら覚える。竜也はパワーはないがその機敏さを活かしスピーディに動き回り水面切りのような足技でパワーで勝る敵の足をすくって倒す攻撃法を多用。根性だけで敵に殴り勝つインディやマクレーンや、力だけでねじ伏せるスタローンより戦い方が理にかなっている。
格闘戦では二度にわたり竜也と戦う女の敵がいる。この女もキレのある動きが素晴らしいのだが、竜也も女だからと手加減せずボコボコ殴り、腕をへし折り、最後は首の骨をひねってとどめを刺す。竜也もあの女もかっこよかった。
銃撃戦において、「男たちの挽歌2」のパロディと思しき場面がある。
こちらを参照→[挽歌2 映評]
敵の中ボスと銃をかまえて対峙し、お互い一度銃をすててから拾って撃ちあう。
ここも阪本流に引き気味ショットでカットもそんなに割らずに描く。ジョン・ウーのどアップと細かく刻んだ編集によるエモーションばりばりなシーンには全くおよばないが、パロっただけのシーンだからフフっと鼻で笑って許してやる。ただしここで竜也と戦う敵が、それまでは丸腰の女の子を背後からライフルで撃つなどの卑怯漢として描いていたのに、急に達也との対決で漢に化けるのが納得いかない。
パロディ元の挽歌2の黒メガネの殺し屋は、レスリーの背後に立ってもレスリーが振り向き銃を構えるまでは、自分の銃を下に下ろしていたり(それでも早撃ちでレスリーに勝つ)、大ボスから「お前の分だ」と札束の山を渡されても一瞥だけくれて、強い漢との死合いに行くことを選んだりと敵ながら漢気MAXな人物として描かれていたから、最後のユンファとの美しい戦いに納得ができるのである。
それでもなんでも、竜也の濃い芝居とキレのいいアクションに支えられた本作を、阪本順治最高傑作と呼ぶのになんのためらいもない。
ただし、元傭兵の敵の隊長との対決がなかったので5点を用意していたが1点減点させていただく。
他に良かったのは、物語のちょうど真ん中辺に用意された芝居一座と竜也たちの宴会シーン。
酔った勢いで舞台で得意の演目をはじめる老優三人。観客は竜也ら若者5人だけ。やんややんやと囃し立てとても楽しそうな七人。ロングで写しているカメラがゆっくりとステージに近づき、谷啓の見事なサックス演奏なども写し、そしてカメラはステージ上から客席を写すと、いつの間に集まっていたのか数十人の観客が楽しそうに笑いながら手拍子している・・・のをワンカットで写す。これだけでも楽しくもどこか寂しさを感じさせる印象深いシーンだが、ここを境に物語は激しくも悲しい後半のアクションパートへと移行していく。
前半の締めくくりとしての仲間同士の楽しき日々を象徴するシーンを用意して、物語に感情の大きな起伏をつける。
やはり伊達に評価されてはいないんだなあ・・・と、なんか映画の呼吸を知り抜いている感じがすごいと思った。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
トラックバックありがとうございます。(*^-^*
細身の藤原竜也のキレのある俊敏なアクションは画になりますね。(*^-^*
中盤の芝居一座と藤原竜也たちの宴会場面は
微笑ましいのと同時に哀愁を感じさせる印象深い場面でしたね。
あたしは結構好きなんですよ、阪本作品。
「クラブ進駐軍」とか、「ぼくんち」(これは微妙・・・)、「魂萌え」も彼だっけ?
で、これは全体に漂う微妙感がたまりませんでした。
変に現実離れしてて。
なんでかなあ、と考えると、竜也ですよ。彼が出たとたん、そこはマジカル・ワールド。
その辺は松優と似た空気を感じます。
でかいスクリーンでこそ!!でかいスクリーンじゃないと、あの顔のでかさは映えない。
やっぱ、映画スターですね。
私からのTBが不調なので、コメントにて失礼いたします。
>素晴らしいのは竜也のアクションだ
ホント凄かったですよね!
今まで彼のアクションを観たことがなく、
想像したこともなかったので意外だったのですが、
凄く迫力とスピード感があり、
楽しむことができました。
ほんと、よく動けるやつだなあ・・・と思いまして、年の割にがんばる元ヒーローもいいですが、竜也は若さゆえのスピードで独自性を確立していて良かったです
>sakuraiさま
そうです。竜也です。われら一般人とは別の生き物です。スクリーンせせましと暴れまくる彼が素晴らしいです。優作にもアホさでなら勝っています
>michiさま
とにかく速い速い竜也です。濃い芝居と、速いアクションを堪能できましたね