文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

誰が本当の犯罪人か。

2010年11月05日 18時09分16秒 | 日記

今朝の朝日新聞朝刊、日本の空を考えると題した「耕論」には、辻元清美氏の意見もあったのですが…彼女の意見は、仁川は凄い、仁川…と言っているだけで…アップした2氏の意見の様な、具体的で真摯な意見、着想はなにもない。

 

日本が、国会の予算委員会で、検察が作り上げた虚構の中での、テレビショーに明け暮れている間に、対外交易に活路を見出すしかない韓国は、港でも空港でも着々と着想、実行していた事にこそ、気付くべきだろう。

 

思えば、彼女が、予算委員会に於いて、鈴木宗男氏に対して、颯爽と「貴方は、疑惑の百貨店だ」等と、論難しているのを、テレビで観ていた私たちは、何の確かな根拠や、確証もないのに、仕立て上げられた悪役ショーに、すっかりハマってしまっていた彼を…確かに悪い奴だとして、うなずいていた訳です。

 

彼女が、あれほど、正義漢ぶって、責め立てた情報源こそ、検察のリークだったことが明らかに成った今、彼女の存在意義って何なんだろうかと僕は思う。


今、私たちが感じている苦さを、一切感じていない政治家とマスコミの厚顔ぶりには、本当に感心するが。

 

同じようなことは、れんほう氏に対しても言えるのだ…今週号のニューズ・ウィーク誌は、中国スパコン 世界一の脅威と題した、知久俊之(当誌記者。を掲載している…その中で、スパコン開発は軍事やエネルギーだけでなく、金融の様な経済分野にも大きく影響を及ぼす…今回の首位交代は「米経済の根幹をゆるがしかねない」とアメリカの専門家は懸念している…前回と同様、米政府が多額の開発費を掛けて世界一奪還に乗り出すとの憶測が早くも流れている。と

 

愚かな内向きの虚構ゲームを、政治と心得て来た人たちから、危機をチャンスに変える発想など出て来る訳はないと、芥川は、痛感する。

 

何と言う、忌々しい20年だった事か…罵倒語が口を突いてくるではないか。

 

何よりも、彼にとっては、目と鼻の先の島…その返還に向けて、可能な限りの方程式…最も早く確実な方法はどれか等…実は一生を掛けて取り組んでいた仕事を…心ある弁護士は無罪だと論じる様な案件で…全国民注視の中で全否定された挙げ句、犯罪人とされた人間の心情を思えば、涙が出るではないか。


口が曲がる人が後を絶たない。

2010年11月05日 14時30分09秒 | 日記

昨日、今日は、株をやっている人達(買いをメインにしている)は…長い冬がやっと終わった…ような気持がしていることでしょう。

 

そんな気持ちをアップするような、同じく、今週号のニューズ・ウィークで、

「日中両国は大人の関係を構築すべきだ」…ハーバード大学のエズラ・ボーゲル教授の記事から…―日本は世界でどのような地位を目指すべきか、の問いに対して…ただ世界での評判は決して悪くない…

…日本の創造力を世界の最先端技術と、積極的に連携させなければならない。

 

尚、今週号の表紙は…中国は先進国か…経済大国になっても「大人の国」になりたくない…ピーターパン国家のひずみ…という見出し。

 

今日の株式市場は、アメリカが、唯一のリーダーであることを、告げている訳です…日本の様なデフレの罠には嵌らない…資源株相場だろうがなんだろうが、先ず、株価の上昇…少々のインフレの方が、デフレよりはずっと良い。

 

アメリカは、清貧の思想なんてことは口が曲がっても言わない…というよりも、開かれた知性という明確な哲学を持ち…自分が主人公であり、王様であるアメリカ人が…口が曲がる事は、有り得ないのですが。

 

真実を追求する、開かれた知性の…無い社会=なにものかに属した感情で動いている社会では、偽善の人や、欺瞞の人、口が曲がる人が後を絶たない。


©芥川賢治 

 


中国人にとってこそ、ネットは神の声…。

2010年11月05日 13時35分15秒 | 日記

久し振りに、いつもの店でランチを摂った…毎日新聞の一面見出しは「仁義なき通貨安競争」というものだった。社説は、朝日、日経と同様の、小沢一郎氏への論難であった。

 

芥川が、これら大新聞の論説委員たちに、全く組みしないのは、週刊朝日の他の26万人の読者と同様に、小沢一郎事件の始まりからの経緯をずっと知っているからだ。

 

芥川が、彼らに言いたいことは、貴方がたが本物のジャーナリストであるならば、この事件の発端から検証を為す事…背後の神は誰だったのかを明らかにすることだと思うからだ…背後の神を明らかに出来ないマスコミなら、戦前と何も変わっていない事を表明しているに過ぎない。

 

僕が、彼らに響かせたい音楽が二つある…一つは、ボブ・ディランの♪Everybody must get stoned♪、もう一つは、確か、ザ・シンズの♪Everybody Knows♪。

これは、 Everybody…♪Everybody…♪Everybody…と21世紀の響きの中で延々と続き、Everybody Knows…と言う曲。

 

さて、帰り道、ふと思った…今、真正な覇権国家であるアメリカと、かつての日本の様に、アメリカが大きくした中国…この関係が、日米の関係では無いから、世界は、大きくギクシャクするのだろうな…かつての日本の興隆に対して、プラザ合意で、一気の円高に持ち込み、帳尻を合わせたような事が、中国相手では出来ない上に、経済的な存在感は、どんどん大きくなっている。

 

欧州は、国境を接している訳でもなく…基軸通貨国として、世界の覇権国家として、存在している訳ではないから、当面は何も関係なく、経済交流だけに専念出来る…経済は生き物であるという難儀さ…その様な事を、思いながら歩いていた。

 

今週号のニューズ・ウィークに、あった、わたしたちは知らない真実…半日デモ再発のメカニズム(長岡義博・本誌記者)の記事中で…中国の大衆運動に詳しい中国人ジャーナリストの安替は言う…反日教育を受けて育った…南京生まれの彼自身、「ネットで様々な情報を得るまで、世の中のすべての悪いことは日本が起こしていると思っていた」という。…中国人にとってこそ、ネットは神の声だと、僕は思う。

 


マスコミがつくってきたバブル。

2010年11月05日 10時50分08秒 | 日記

今日の社説を書いた朝日と日経の論説委員は、前述の、活字が読める全日本国民必読の書である、三井環氏の…「権力」に操られる検察…第4章 小沢一郎事件…を読んだ上で書いたのか、と問いたい…読んだ上で書いたのなら、「日本の失われた20年」の責任を即刻取れ。言論人の肩書をはずせ。

 

閑話休題

 

芥川が、思い余って、折込の形で最初に意見広告を打ったのは1994年(該当の章を御参照)でしたが、そこに、マスコミに対して、バブルをつくったのも、又、君達だ…と書いたのですが、上記の三井環氏の著書中「裏付け取材をせずに記事を書くマスコミの記者たち」という章の中に、奇しくも、検察幹部からみたマスコミがつくるバブルのことが書いてあります。

 

…マスコミに「風を吹かせる」ことは、私にとって実に容易なことだった。A社に特ダネを少しだけ流してやれば、今度はB社があわてて追いかけてくれる。B社に特ダネを渡せば、今度はC社も乗ってくる。

 

とにかくネタがほしい番記者たちは、検事の言うことを全部信用してくれる。ウラづけ取材などすることもないし、「関係者によれば」というエクスキューズ(お断り)を入れさへすれば、しばしば検事が口にした以上の記事をかくことさへあった。

 

リークした通りに書いてくれるというよりも、検事の意図以上に書いてくれる。それがマスコミの記者だった。もちろん、裁判でポイントとなる核心情報は、簡単にリークなどしない。枝葉の部分だけをちょっとづつ小出しにして、マスコミに風を吹かせる。バブルを起こす。

 

報道に接する国民は、記事に書いてあることが真実だと錯覚する。バブルを全体が事実なのだと勘違いしてしまう。すると世論が変わり、検事はよりいっそう捜査を進めやすくなるのだ。

 

「小沢幹事長は正々堂々と表にでてこい!」秘書らが逮捕されたのちも、そんな声が続いた。これもまた、検察が一生懸命リークに励んだおかげだ。

 

もしマスコミの記者が検察の意図に反するような記事を書けば、検察庁へは出入り禁止を食らってしまう。それが怖いため、番記者は検察よりの記事しか書くことができないのだ。検事にとって、マスコミの記者ほど使いやすい相手はいなかった…


中国は欧州との貿易拡大を、更に、進めている。

2010年11月05日 08時56分17秒 | 日記

中国主席が訪欧
仏、原発など売り込みへ

ポルトガル国債購入か
 
 【パリ=古谷茂久】中国の胡錦濤国家主席は4~7日、フランスとポルトガルを公式訪問し、サルコジ大統領やポルトガルのソクラテス首相らと会談する。大統領とはソウルでの20力国・地域(G20)首脳会議(サミット)に向け為替問題などで意見調整をするほか、両国の経済協力文書に署名する。財政危機に陥っているポルトガルでは、同国の国債購入を表明する可能性がある。
 
中国は10月、温家宝首相がギリシヤを訪問した際にギリシヤ国債を買い増して同国を財政面で支援する方針を打ち出した。同様に財政赤字に悩むポルトガルに対しても支援する姿勢を示し、ユーロ圈各国に恩恵を与えることで人権問題などの中国批判をかわす狙いがあるとみられる。
 
胡主席は4日午後、パリに到着した。同日夜にパリで、5日夜には仏南部ニースで夕食をとりながら大統領と会談する。仏側はトップ外交で仏原子カアレバの新型原子炉などを売り込む考え。航空・省エネ分野などでの協力文書に調印する。胡主席は仏のハイブリッド自動車や電子機器の工場なども視察する予定だ。
 
仏は来年のG20の議長をつとめる予定で、国際通貨制度の改革を主要議題のひとつとしている。会談ではカギとなる中国の協力を要請するとみられる。一方、仏政府高官は今回の胡主席の訪問にあたり「人権問題は取り上げられないだろう」などと発言した。

エアバス36機の購入契約に合意
中国南方航空
  
【北京=共同】中国航空大手の中国南方航空は4日、欧州の航空機メーカー、エアバスとの間で 「A330」6機と.「A320」シリーズ30機を購入する契約に合意したと発表した。購入総額は37億8千万ドル(約3050億円)。新華社電が伝えた。
 
胡錦濤国家主席のフランス訪問に合わせた発表とみられ、中国の他の航空大手も三にエアバス購入で合意し、近く明らかにされる可能性がある。

人民元改革、緩やかに推進

中国主席
 
中国共産党機関紙の人民日報などは4日、胡錦濤国家主席がフランス、ポルトガル訪問に先だって両国メディアの取材に応じたと報じた。人民元改革について「緩やかな足どりで人民元の相場形成メカニズムの改革を推進する」と述べ、米欧が求める大幅な切り上げには応じられないとの立場を改めて鮮明にした。

大幅切り上げ応じず
 
胡主席は「貿易不均衡を正すには、関係各国・地域が経済の発展方式を転換し、様々な形の保護主義に反対しなければならない」と指摘。「中国は一貫して責任ある為替政策を取ってきた」と訴え、人民元相場と貿易不均衡の拡大は無関係との考えを強調した。
 
今後の人民元改革の進め方に関しては一元相場の弾力性を高め、合理的で均衡のとれた水準で基本的な安定を保つようにする」と従来の方針を繰り返した。そのうえで「中国経済の安定的で比較的速い発展は、世界経済の回復と長期的な発展にとって重要な意義かおる一との認識も示した。
    (北京=高橋哲史)。

 
今朝の、朝日と日経の社説が、自省のかけらもなく、相変わらずの…この間までに比べたら、随分マシではあるが…権力が作り上げた虚構=世界情勢に背を向けた己の権益、己の高給、己の保身のみを考えて来た、エゴイストたちの、罪深い、内向き、虚構を、やっている間に、中国は、どんどん地歩を固めているのである…特に欧州に…中国⇔欧州の、貿易額の推移を一遍、調べてみなはれ。


宍戸さんたちのAirQ(エアキュー)構想。

2010年11月05日 08時17分30秒 | 日記

九州⇔中韓台 無料で飛ばせ

宍戸 昌憲さん
九州交通ネットワーク
高度化協議会事務局
 
58年生まれ。 82年、三菱商事入社。本社の民間航空関連俳業部門の部長。協議会の一員としてAirQ構想の取りまとめに参加。

最初に言っておきますが、これはまだ構想段階、いや妄想にすぎないかもしれません。しかし九州が直面する 「人口減」「地域経済の活性化」「地方空港の活用」という根本的な問題を一気に解決するための大胆な提言だと思って聞いでください。

九州にある八つの空港と中国、韓国、台湾の主要都市間に90人乗り小型ジェット10機を飛ばしまくり、無料で送迎する。その代わり九州だけの地城通貨(バウチャー)10万円分を買ってもらい、九州滞在中に買い物に観光にと使い切っていただく。1日35往復、年86万人を運ぶ構想です。福岡に来て鹿児島から帰る、佐賀に入ってて大分からといった多彩なルートで、九州全土に年7500億円の経済効果を及ぼそうともくろんでいます。
 
仮称ですが、「AirQ」(エアキュー)構想。アジアから人とお金を呼び込み、先に挙げた三つの課題を解決する。地元の有力企業に大学、自治体が参加する「九州交通ネットワーク高度化協議会」が練った構想です。
 
九州各県は、豊かな自然や温泉、買い物、おいしい食べ物、うまい酒と多くの観光資源を持っています。しかも地理的にアジアと近い。なのに昨年、九州を訪れた外国人観光客は45万人で、日本全体の7%にすぎません。交通ネットワークが貧弱で、観光資源や地理的優位性を生かし切れていない。そこで直接、来てもらう作戦を考えたのです。
 
さて、10月21日、東京・羽田空港で新国際線ターミナルの供用が始まりました。アジアの国際拠点としてハブ空港化か期待されているそうです。羽田で迎えた外国人観光客が全国へ、となれば大いに結構です。でも本当にそうなるのでしょうか。首都圏には、買い物も観光も魅力的な場所がたくさんある。多くの観光客が、首都圏にとどまるでしょう。
 
羽田のハブ化は、国際戦略として、ぜひ推進していただきたい。だが地方空港、地方経済の活性化という国内的な問題とどう絡めるのでしょうか。そのへんの議論がなされていない。そうした発想自体がないことが問題なのです。
 
今年1月、福岡市でシンポジウムを開き、AirQ構想を発表した時、参加者が声を上げました。「九州の交通ネットワークは、東京といかに速く結ぶかを考えてきた。今後は上海へのアクセスを考えねばならない時代だ」と。
 
AirQ構想は「日本の空をどうする」という問題で考えていません。羽田のハブ化を意識しすぎると、またぞろ、もっと速く東京と結ぼうという話になる。東京への利便性を高めて地域の発展を、という考え方だけでは、問題を解決できないと思います。
 
実現への大きな障害は、費用です。200億円程度のコストを見込んでいますが、地方には負担が重い。国の支援が不可欠です。主に外国人を運ぶ飛行機を税金で飛ばすことに異論はあるでしょうが、公共事業で航空ネットワークをつくる、道路建設と同様に予算を地域の空に投入すると考えてください。
 
空路という新しい公共財で地域を活性化する。地方のグローバル化を航空ネットワークで実現する。素晴らしい妄想、いや構想だと思いませんか。(聞き手 秋山惣一郎)


ルフトハンザ航空日本支社長、オットー・ベンツさんの夢。

2010年11月05日 07時44分40秒 | 日記

同じく、今朝の朝日新聞から。

羽田・成田30分で結ぶ鉄道を

オットー・ベンツさん
ルフトハンザドイツ航空日本支社長
 
日本に着任して7年になります。日本政府が羽田、成田両空港の外国航空会社への開放を進めていることを、私たちは大いに歓迎しています。

空港にとって重要なのは、より多くの空港と「つながっていること」です。ドイツにはフランクフルトとミュンヘンの2ヵ所に、ヨーロッパでも有数の規模のハブ空港(航空網の結節点となる空港)があります。欧州各社便で見ると、アジア・太平洋地域から飛んできてハブ空港経由で向かう欧州内の目的地の数で、フランクフルト空港が1位、ミュンヘン空港が2位です。

両市とも都市自体はロンドンやパリより小さいですが、欧州の外から来た乗客を欧州全域につなぐ、大きな役目を担っています。
 
ドイツはヨーロッパの中央に位置しており、ここに二つのハブ空港があるのは理想的です。なかでもミュンヘンは、18年前に開港した若い空港です。利用客の利便性を第一に考えてつくられた空港で、ビールもおいしいと評判です。乗り継ぎ時間は国際線から国際線、国際線から国内線ともに約35分です。

スピード感のある、効率的な空港です。ローマやバルセロナなど域内の主要な目的地に1日に5、6便飛んでいます。通常は朝昼晩の3便でハブ空港と言われますから、この空港の水準の高さを分かってもらえると思います。
 
現在、日本の地方都市からヨーロッパに向かう場合、韓国の仁川空港を使う方が便利かもしれません。もし私か札幌に住んでいてフランクフルトに行こうと思ったら、新千歳空港から羽田、成田と移動するのではなく、仁川に飛んで欧州便に乗るでしょう。これは利用者がつくる「空港マーケット」の結果です。
 
アジアは大競争のさなかです。日本は競争力を高めるためにも、羽田は国際線を、成田は国内線を、それぞれ増やすべきです。

真のハブ空港になるには、世界各地の、たくさんの接続便を持つ空港とつながる必要があります。羽田と成田がひとつのシステムとして働き、こうした役目を果たすことを願っています。
 
ただ、よく言われることですが、私たち航空会社にとって、日本の空港は着陸料などコストが高いのが悩みです。「世界で一番高い空港」とさえ言われています。日本の今後のためにも、変えてもらえないでしょうか。
 
ヨーロッパでは国を越えた航空会社の統合が進みました。いわゆるメガキャリア (巨大航空会社)化です。アジアはヨーロッパに比べて市場や法律、制度が一つになっているわけではないので、同一には論じられません。ですが、激しい競争によって今後、それぞれの国内で統合が進むかもしれません。
 
ルフトハンザドイツ航空が初めて羽田空港に定期便を就航してから来年で50年になります。国内線が多数つながる羽田には、いつか戻りたいと願っています。
 
私の夢は、羽田と成田が高速鉄道で直接つながることです。所要時間ですか? 30分です。

地方の利用客は羽田に来て、30分で移動して、成田から海外に出る。海外の利用客はその逆のルートで日本各地に飛ぶ。それがあたかも一つのシステムとして働く。それが私の夢です。
(聞き手 刀祢館正明)


川崎英明氏に依る、戦前~戦後、検察組成の問題点。

2010年11月05日 07時19分30秒 | 日記

今朝の朝日新聞から。

検察官の役割
警察の監視と公判専従に

関西学院大法科大学院教授(刑事訴訟法)
かわさき ひであき川崎 英明
 
無罪が確定した村木厚子さんの事件に関する大阪地検特捜部の捜査に対して厳しい批判が向けられているが、その後、事態は主任検事や特捜部長らが証拠隠滅や犯人隠避の罪で起訴される事態にまで発展した。こうした検察の病理現象は、中途半端に終わった戦後の検察制度改革の当然の帰結なのではないかと思う。
 
戦前の旧刑事訴訟法の下で、検察官は捜査の主宰者として警察官を指揮・命令して捜査に当たらせる一方で、司法部の人事支配を通じて裁判官をも事実上支配していた。まさに「検察官司法」だった。
 
戦後の司法制度改革の中で、連合国軍総司令部(GHQ)は検察官支配の結果、数々の思想弾圧事件などの人権抑圧的な司法が続いた戦前の歴史を重視して、「検察の民主化」を進めようとした。強大な検察権限を分散し、検察に対する民主的統制をめざした。検察官は捜査に関与せず、法律家として警察の捜査をチェックして、法廷活動に専従する構想を示した。検事公選制や起訴を決める大陪審制の創設も求めた。
 
これに対して、当時の司法省は警察を組織的に検察に直属させる提案をするなど、検察権限を大幅にそぐような改革には激しく抵抗した。両者の妥協の結果、第一次捜査権は警察に付与しながらも、検察官に固有の捜査権と警察への一定の指揮権を認める現行刑訴法ができた。民主的統制の方は、検察審査会と検察官適格審査会を設置するにとどまった。
 
現行刑訴法では、検察官作成の供述調書は特別な証拠資格さえ認められた。不徹底な「検察の民主化」の下での運用の結果、現在のような密室での被疑者や参考人の取り調べと検察官が作成する供述調書に依存する刑事裁判の構造ができた。
 
一連の郵便不正事件の捜査では、脅迫や利益誘導などによる供述の強要が問題になったが、こうした特捜部の取り調べ手法に戦後検察の構造的な病弊が見てとれる。
 
だが、裁判員裁判や検察審査会の議決による強制起訴などを導入した一連の司法制度改革では、検察改革の視点は希薄だった。今回の大阪地検特捜部の問題を、検察のあり方を国民的に議論する好機ととらえ、戦後司法制度改革の原点に立ち戻って、「検察の民主化」のための改革のあり方を根本的に議論し直してみてはどうか。
 
例えば、検察官を「市民の訴追代理人」と位置づけ、法律家の視点から警察捜査の結果をチェックして起訴の可否を決め、公判に専従する機関とすることはどうだろうか。その先には、警察を公正な捜査機関へと改革する課題がある。また、
市民による検察のチェック強化のために、検察審査会の機能を、現在のような不起訴処分の当否の判断だけでなく、不当起訴に対するチェックに広げることも考えてよい。

黒字化は芥川。