以下は前章の続きである。
*朝日新聞やNHKなどは既にして中国の冊封体制に入っていると言っても全く過言ではない。昨夜のwatch9での米中貿易摩擦を巡る有馬と桑子のコメント、あるいは経済界の一部の人間達のコメントもしかり。
今、中共政権の欲する物
昨年7月12日付『産経新聞』はI面トップ記事で、東シナ海ガス田開発を巡って「海上施設 習主席に抗議」と報じた。
その記事中に、ガス採掘用の「プラットフォームが軍事拠点化される恐れも否定できず」とあった。
南シナ海の岩礁埋め立てや滑走路の建設は軍事拠点化の現れだ。
中共はまさに今、海上に「万里の長城」を建設しようとしている。
冊封体制下の李氏朝鮮は清からの領土の割譲要求を警戒した。
冊封体制に組み入れられた周辺少数民族の王朝は、貢納すればそれ以上の下付があった、とされているが、本当だろうか?
李氏朝鮮では、わざわざ金を輸入して清に「貢納」していた。
国内の平安北道にある金山を隠したのである。
今も北朝鮮の金正恩政権が中国の習近平政権とぎくしゃくしているのは、中国側から地下資源を簒奪されることを警戒しているからだ。
中国にとって、マグネシウムやタンタルなど、自国に不足しているレアメタルを豊富に埋蔵する北朝鮮を影響下に置きたいのだ。
金正日死後の権力闘争の背景にはそうした事情がある。
では、中共政権は沖縄県に何を求めているのだろう。
注目すべきなのは中共政権支配海域ではメタンハイドレートの存在が確認されていないことだ。
水深600~800メートルよりも深い海域に埋蔵しているメタンハイドレートは、尖閣さらには沖縄を版図に入れれば開発が可能になる、中国にとってはノドから手が出るほど欲しいエネルギー資源である。
李克強首相との会談の前に開催された「中日企業協力の展望」と題されたシンポジウムにおいて、沖縄県アジア経済戦略構想策定委員会の富川盛武会長は「沖縄は日本の辺境ではなく、アジアの中心である。人口減少に転じた日本経済は、国内市場に依存していては縮小していく。それゆえに成長が著しいアジアに市場を求めて展開せざるを得ない状況にある」と発言している。
この策定委員会なるものは、翁長雄志知事が掲げる「沖縄県の自立」へ向けての構想を作っている組織だ。
富川会長はさらに、「明の時代より琉球は中国と友好関係を構築し、福建省などから官僚や技術者が琉球を訪れ、琉球王朝を支えたと言われている。沖縄は“万国の津梁”として、アジアの橋頭堡として位置づけられ、日中の友好と発展に大きく貢献できる」と発言した。
しかし、問題は中共政権とどういう友好を図るのか、だ。
沖縄島嶼群へ軍事的圧力を掛けてくる中共の人民解放軍、日中中間線上に軍事基地の建設を図る中共政権と、どのように友好関係を築こうというのか。
まさか「歴史を鑑にして」、硫黄を求めた明の冊封体制へ戻ろうというのだろうか?
敗戦による大日本帝国崩壊後には沖縄島嶼群を軍事占領した米軍が、中国に睨みをきかせている。
『週刊朝日』誌には、翁長雄志知事の「いまや米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因」という言葉が紹介されていたが、本当にそうなのだろうか。
自由や民主主義を価値観の基礎に置く米軍が沖縄にいることが、中共政権の進出を抑えているのが実情ではないのか。
『週刊朝日』は「翁長が目指す経済自立」と、普天間飛行場の辺野古移設をめぐり安倍政権と対立する翁長雄志知事を持ち上げているが、同誌は冊封体制が大陸・中原に覇を唱えた政権が周辺地域に、自らの支配地域に産出しない産物を求める政策だと認識しているのであろうか。
中共政権にとって都合の良いことに、米軍が過度に中東問題に力を注ぎ、その威勢が衰えてきた。
さらに福州市の名誉市民・翁長雄志知事が誕生し、千載一遇のチャンス到来だと受け止めたのだ。
翁長雄志知事は2年前「思いがけず、李克強総理とお会いできたことを嬉しく思う」と述べたが、それは思いも掛けずではなく、工作し、包摂する為に会ったのだ。
中共にとって沖縄は日本の辺境ではなく、大陸の縁辺であり、メタンハイドレート開発の拠点を築く予定地なのである。
その李克強首相へ翁長雄志知事は「福建省に自由貿易区ができると聞いている。沖縄にも様々な特区がある。ぜひ、交流を促進していきたい。福建省との定期便が就航することを願っている」と陳情した。
これに李克強首相は「両国の地方政府の交流を支持している。福建省の自由貿易試験区は沖縄を含め日本にも開放している」と応じた。
ここで李克強首相は沖縄県の名前をまず挙げて、次に「日本にも」と付け加えた。
果たして翁長知事は、沖縄県が目指す経済自立が日本の安全保障を害するに至る可能性を感じているのだろうか。
ことは相当に深刻といえそうだ。
参考文献▽新里恵二『沖縄県の歴史』(山川出版社、1972年刊)▽日本国際貿易促進会『報告書』(第41回訪中代表団、2015年4月派遣/第42回訪中代表団、2016年4月派遣)▽『週刊朝日』(2015年8月14日号)