さ~て🎵お待たせ。今回は、直前の投稿『エセ"山水|SANSUI "ブランドで荒稼ぎしたインドの悪質家電大手ビデオコンの瓦解を振り返る❕』の、後編となる投稿だ。
本題に入る前に、まずは「基礎的 理解」の確認を。北インド~中央インドの「砂漠気候」とは如何なる気象環境なのか今一度、おさらいの意味で再認識を願おう。
ナニかと話題のムンバイなど、新興諸産業の栄える大都市が居並ぶインドは北部地域 ──。
より赤道に近い南インド沿岸に比べて「涼しい土地なのか」と思きや、意外に意外に「さに非ず」。乾いた大陸風の熱波に晒(さら)され、北や内陸部ほど熱い。猛烈に❕熱い。ちょうど今時分までの"冬場"を除き、フツーに朝から深夜まで30度~40度。
夏場の雨季には(当然ながら)空が曇り続けるゆえ、クソ蒸し暑く寝苦しい反面、地獄同然の超酷暑は回避❔される。一方、晴天が(相当日数は)続く春と秋は「ひたすら灼熱に炙られ、大地が高温化」する。最高気温45度超えも(!?)温暖化キビしき昨今じゃオドロくに値しなくなった。
じゃ、ニッポンの「酷暑が聞いて嗤えるくらい」の、このインドの春と秋口の「日射&熱風」地獄を(けっして経済的に豊かと言えない)地元インド庶民は「如何なる冷房手段で乗り切っているのか❔❔」。
その「インドならではの"ご当地"冷房マシン」こそが、前回投稿のラストで画像クイズにした、黄色い矢印の先の"見慣れぬ装置"である。
その通称名を「ダクト・クーラー」。インドじゃ単に「ダクト」とも。ダクトと言ったら世界一般には「換気口」を意味するが、インド地域に限っては そーじゃない。いや「換気」には違いないのだが、乾いた熱気を吸い、涼風に換えて吐き出してくれるマシンのことを指す。インド以外の英語圏では「デザートクーラー(Desert Cooler)」の呼称で通っている。
ブラジルじゃ少々小難しく「クリマチザドーレバポラチーヴォ(Climatizador evaporativo)」。英語に直すと「Evaporative Air Cooler(気化冷却扇)」で、英語圏でも(それが)正式名称だ。
と、ここまで説明すれば勘のいい方は もう見当が付いてると思う。「ダクト・クーラー」の正体は、ズバリ「大型サイズの冷風扇」だ。日本における「冷風扇」はウォータータンク容量が10L未満と小ぶりで、あくまで扇風機の延長的なスポットクーラーとして知られるが、インドや中東、南米のそれは数十リットル~7,8十リットルの(洗濯機並みの)水を蓄えて「ひと部屋クーラー」として使う。そのため、上掲の写真のごときサイズになってしまうのだ。
ご多分に漏れず、今じゃダクトクーラーも中国製の、筐体がプラ成型ボディの廉価タイプが幅広く出回るが、クイズに出した形状のタイプは古くからあるクラシック・タイプで(鉄の骨格を持ち頑丈なため)今も個人店主や作業場主などから「業務用」として厚い支持を得ている。
ちなみに、このタイプのブランド《ラム・クーラーズ》社の本社店舗前は(かき入れどきの)乾季シーズンともなればご覧の通り。もったいぶった(段ポール製の)外箱なんて付いてない。みんな、製品を裸で買って軽トラに積んでくのだ。実にエコで単純豪快だこと。
ダクトクーラーが一般のエアコンクーラーに比べ優るのは、構造が簡単なため安価で、それゆえ故障も少なく、たとえ故障したとしても修理が容易、また、設置時の取付作業も要らないといった点が挙げられる。一方で不利なのは、乾季のインドじゃ貴重な「水を喰う」ことと、逆に雨季の"高湿度な"暑さ対策には「効かない」の二つに尽きるか。あくまで空気の乾いた、春と秋の超酷暑を克服するための「国民的」家電こそが、このダクトクーラーだと言えよう。
最期に付け足し。日本じゃマイナーなダクトクーラーだが、売ってないワケじゃない。さほど多湿じゃない地域やビニールハウス向けなら、ある程度の「暑気冷まし」効果は見込めるかも❔しれない。
=了=
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