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BBCによるとイギリスの薬局では、アセトアミノフェンを主成分とする総合感冒薬が(買いだめ客の殺到で)棚からキレイに消えてるという。自分の常用する鎮痛かぜ薬もアセトアミノフェン系なんで、にわかに心配になって(買い置きで1箱)買いに行った。
幸い日本、つかウチの近所じゃまったく品薄の状況にはなく、それ系の錠剤も顆粒薬も、定番銘柄の全品がふんだんに揃ってた。買占め騒動の原因は、今まで鎮痛薬の人気TOP成分だったイブプロフェンがコロナ感染者には✖NGだ、という(健康被害❔)情報が拡まったためで、これまた不織布マスクの効用同様、まだ何週間かは憶測と医学上の議論を呼びそうである。
さて先週とは違い、今やウイルス禍パニックは欧州から北米にも🔥飛び火した。
カナダで中高生らが競う国民的スポーツと言えば、アイスホッケー。日本のセンバツ中止同様、カナダでも(感染者の爆発的な増加を抑えるために)青少年リーグの中途閉幕が告げられた。その声明文のなかで、リーグ協会長は こう結んでいる。
Please stay safe. …と。【引用 オレンジ枠内】
きょうはこの、「Please stay safe.」なる3語について考察してみたい。
まんま直訳すれば「どうか、安全でいて」となるが、日本語の「どうかご無事で」よりは若干意味が広い。「どうかご無事で」なんて言うと出征兵とか、決死の覚悟で出向くような人への「生還を念願する想い」が滲みでる。一方、英語における「Please stay safe.(ご安全に)」は、ひとまず(命の危険からは)避難できてる人に対しても使われる。上掲の声明文の例だと、さしあたってはウィルスに感染していない市民全般に対して、「もし不注意に感染しやすい環境に近づけば(感染症に)罹患して最悪、命に危険が及びかねません。そうならないよう、行動には十分注意してください」という気持ちを込めて使っているのだ。 ま、原語どおりに圧縮して言えば「くれぐれもご用心を」、ってくらいの訳文になるか。
英語の報道をググっても、この時期「Please stay safe.」と呼びかけてる政治家や芸能セレブが大勢いることが分かる。これがウイルス禍を見舞う表現としては、もっともポピュラーな言い回しなのだろう。
わたしのような英語どアマチュアな💧日本人だと、(もし人生でアメリカに出かけ)同じような場面に出くわしたら、つい…
> I wish you good health. とか Wishing you good health.
とか言ってしまいそうである。きっと相手から、ヘンな顔をされると思う。
I wish - だの Wishing - だのは自分が直接相手に願ってるんじゃなく、いったん神さまを経由して遠回しに 「君が健康に過ごせるといいね」と希(こいねが)ってる場合に使う。そんな言われかたしてヘンな奴に思われないのは、クリスマスをはじめ祝祭、卒業式とか送別会くらいなもんだ。フツーに使ったら皮肉に受け取られ「じゃあ何か? オレはこのままだと病に倒れるとでも言いたいのか!?」と半ギレされかねん。
あくまで「自分が心から」相手に願うのなら、I hope -。
お体に気をつけてお過ごしください
> I hope you are keeping yourself in good health.
お体に気をつけて
> I hope you are in good health.
体に気をつけな
> I hope you are healthy.
1行目のやつは長ったらしいけど、ネイティブなら(お決まりの慣用句ゆえ)淀みなくスラスラ口から出てくるフレーズらしい。まさに、日本での「お体に気をつけてお過ごしください」的な感じ。ただ、いずれも「持病があったり老齢だったり、健康でも身体への脅威を伴う環境にある人」へ養生や注意を促すのに使い、今回のように突発的で凶暴な伝染病に対しては用いられない。
おそらく英語話者の心情的には、「コロナウイルス等は、自分たちが規則正しく健康的な生活を心掛けても、襲われるときは一方的に襲われてしまう」と。要は「自分の内から生じるモノでない、外から押し寄せる災害」なのであって、今は illnessかhealthかの瀬戸際じゃなく、dangerかsafeかの瀬戸際にいる❕ …と認識されるんだろ。ゆえに、「お大事に」とは呼びかけない。あくまで「ご用心を」、なのである。
あと、われわれ初心者の陥りやすい英会話術に、stay -(keep oneself in -)と keep - の区別が付いてない💧 って話もよく出る。
ここで登場した「good health」とか「safe」は漠然とした状態を表してる。
だから、stay safe (keep oneself in safe) と言ってるうちは「安全に心がける、警戒している」という意味に留まってるが、keep safety と言うと「安全に操業する、保安に就く」の意味合いとなり、ここで言う"safe"が個人レベルの無事とかでは済まない。社会全体の安全=治安とか、職場の安全体制といった【もっとデカい状態】を任務として維持するような表現に変わるので、きちんとした切り分けが必要だ。同様に"直にkeepする"と意味(の範囲)がデカくなるケースとしては…
┌ keep you in peace いつも ゆったりと
└ keep the peace 平和を維持せよ
┌ Please stay healthy 元気でね
└ Please keep good health 保健衛生に支援を
などが挙げられる。
最後に、思いっきり脱線した余談。「意味がデカくなる」とは真逆の話だが、湖北省のウイルス騒ぎ以来、かの新型コロナウイルスを「まるで一企業の商品ブランドのごとく矮小化」したロゴマークづくり、というのもチョイ流行してたり
する。たぶん、「ここ当分は感染が拡がり続けるだろうから、ニュースサイトの"ウイルス関連コーナー"にピクトグラムとして🎵いかがですか」ってなノリなんであろう。パンデミック前から「まんまとパンデミックが起きりゃニーズが出るぞ」と商売っ気満々
なワケで、世のクリエイター陣の軽薄さも極まれり
っつところか。
↓ 中には堂々、市販されてるロゴ案も💧
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/19/1f2090fb0fd84744d81ae70ecb75efac.jpg)
=了=
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