【注意!】 おおまかな雰囲気だけネタバレあり
脚本が凡庸で、残念なファーストコンタクト物。ぶっちゃけ、1997年『コンタクト』と2016年『メッセージ』を足して2で割ったような話。主人公も両作と同じ、主に、ひとりの女性科学者の眼を通して描かれる。これに若干、『インターステラー』っぽいビジュアルも混ざるかな。
と書いたら結末も、たぶん(両作を見た人なら)だいたいは察しがついてしまうだろうw 突如、地球に接触を試みてきた超!知的先進種族は、けっして敵ではなく(人類にとっての)得難い福音だったという^^; 今や「もっともありがちなファーストコンタクト物語」が、またしても冗長に語られてゆくのである。
演出は『シン・ゴジラ』調 ──。
事件を起こしてる対象と直接向き合うのではなく、対象は「対策本部」内の≪職場ドラマ≫の背景として描かれてゆく。ゆえに、二名のサイボーグ飛行士(兵士代表と学者代表)が深宇宙の"敵の母星"へと派遣されても、その先で起きたことを映画では「直接には」何も映し出さない。片道切符だったハズの飛行士のひとり、女性科学者だけが奇妙にも"5日後に戻されて"来る。彼女に収録された記憶映像と証言を(主人公らが調べ上げ)見聞きする形でのみ、「間接的、類推的に」描かれるのだ。謎解き形式、とも言えようか。
他に、『シン・ゴジラ』にも無かった趣向としては、(マスコミ取材陣の)登場人物に対する個別インタビュー(の回答)映像を随所随所、頻繁に差しはさむこと。忘れもしない、2013年のインディーズSF『エウロパ』で多用されてた手法だ。その分、ストーリーの枝葉の説明に念が入り過ぎて冗長に感じ、観つづけるのが途中、しんどくなる人※もいるだろう。
※ もちろん、わたし自身も💧だ。
そも、取材映像をつなぎ合わせるというドキュメンタリー的な演出は、「物語をよりリアルに見せたい」ときに使うものだ。だが、本作にはもともとリアリティがない。舞台となる地球にはNASAではなく、代わりに、スペースエージェンシーという宇宙開発機関が存在する。この時点で、「私たちの地球ではない、どこか別の地球」という暗黙の大前提を成立させてしまってる。"ここ"の「国際宇宙ステーション」にはソユーズらしき往還用ポッドも連結してて、ある程度までは「私たちの地球」に似てなくもない。とは言え決定的に異なるのは、科学発展スピードにおける生化学分野の進歩度。この地球ではナンと、(初の臨床段階では あるが)人体を模した有機サイボーグに生身の人間の脳と記憶を(つまり自我を)移植できてしまうのだ。この時点で、もはや本作リアルもへったくれも無い。
洋ディザスターSFで『シン・ゴジラ』調の演出は新鮮で、基調テイストはさほど悪くなかったけど、リアルでも清新でもないB級な脚本には(その甲斐も)空しいものがあった。最終的には、未知なる先進種族が(あまりにも人類に都合よく)神っていすぎるのも、興覚めのダメ押しになった。
あと細かい不平を言えば…おそらく、架空の機関たるスペースエージェンシーの内部セットに相当、カネを費やしてしまったのだろう。しょぼいCG合成で補っただけの屋外ロケが「いかにも」貧相!だった。特に、謎の飛来物体を厳戒する軍隊の描写が終始、2台の民間仕様の黒ジープと兵士役の俳優7~8名から成る1小隊だけ、ってのは余りにひどくないかい?? 高校生の自主制作映画じゃないんだからっw