すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

ダイエットの効果

2005年06月16日 | ちょっとしたこと
私は、地道にダイエット中です。

「低炭水化物」、「酢」、「ストレッチ」の複合で
がんばってます

これらを始めたおかげで、
体が少し、柔らかくなってきました。
まだ足がつりそうですが、
股関節が(ほぼ)180度開くようになりました~!

体重は、
ダイエット開始から、今現在、6kg減です

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小説「ある男の物語」1、老人の死③

2005年06月15日 | 小説「ある男の物語」
 水谷がこの論争の矢面に立ったのは、その(彼の妻の)死の直後だった。彼の判断を、「非人道的」とし、これを、「殺人」であると、全てのメディアがうたい、そのメディアを通して彼のことを知った全ての人間が、彼に背を向けたのだ。
 彼は、満身創痍の中、城山からの取材を受けた。城山は、
「あなたの考え方が間違っていないということを、訴えるのです。私だけは、あなたの味方です!」
と、興奮気味に語ったが、水谷は、あまり興味を示さなかった。まだ20代後半の若さだった城山は、そんな弱々しい水谷の人となりを、特集記事として世に送り出した。そして、彼が、妻の安楽死を選ばざるを得なかった原因を、紙面の向こう側にいる人々に訴えた。他に身寄りの無い水谷夫妻に、憐れみの言葉を浴びせる人間は数多くいたが、彼らの悲壮感を揺り動かせる人間はいなかったのだ。
 城山は、記事に、あらゆることに金がかかり過ぎることと、老いた女の介護をする人間が年老いた夫、たった1人だけだったことを、主に大きく取り上げ、町内の人々から、病院、果ては日本国政府に至るまで、2人に手を差し伸べてこなかったものを、逆に叩き始めた。そして、この記事をして、この老人が自らの悲壮感を破り、胸を張って生きていくことができるようにすること、それが、自分が記者として、いや、人間として、この記事を書く、唯一の、そして最大の、目的だと思ったのだ。

 本当に、そう思っていただけだったのに、と城山は思った。そう信じて何度となく書いてきた記事で、自分は、雑誌記者などという野暮ったい肩書きを捨て、ジャーナリストと呼ばれるようになり、その、自分の名前の前に付くカタカナを否定する間も無いまま、テレビに出るようにもなった。そして水谷老人は、城山の記事によって、全国から応援と資金援助の手紙を、何十、何百と受け取って、次第に世間に受け入れられていった(しかも好意的に、だ)。

 そうだ。こうなることを信じてここまで来たのだ。
これが信じた道だった。・・・これで良かったのだ。
そう、・・・信じていた。1人の老人の死を聞くまでは。

 自分は、この論争と心中するつもりでいた。しかし、老人は、1人で先に死んでしまった。この論争と自分の2つを道連れにすることなしに。・・・ということは、彼の死は、城山を始めとして、彼の味方となった多くの人たちだけでなく、水谷本人にとっても、予期することのできなかった突然の死だということだ。問題は、これが、事故か、事件に巻き込まれた死だったのか。それによって、自分が水谷の死を、記事としてどう扱うかも変わってくる。が、どちらにしても、その大きな見出しの下に載るであろう、それと同等、あるいはそれ以上の大きさの城山の名前が、記事の内容よりも先に、読み手の興味を引くのに間違いは無い。


(つづく)
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こんな時は・・・

2005年06月14日 | 
2日続けて仕事の話(しかもグチ)になっちゃったので、
ねねのこんな姿で癒されて
ちょっと気を静めて、と

で、また明日から、
がんばって仕事します

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異体同心

2005年06月13日 | ちょっとしたこと
これは、私のスピーチネタではないんですが。

先日、丸5年近く、うちの牧場で働いた同僚の1人が、退職した。

そして、次の日の朝礼で、
その彼と、ほぼ同じくらいの年数、一緒に働いてきた同僚の1人が
朝礼で、短いスピーチを行った。

「昨日付で、○○さんが、この牧場を辞めました。
・・・・・・誰も、居なくても良い人はいないと思うので、
ここにいるみんなで、がんばっていきましょう。」

こんな感じの内容だった。
短めの、決して元気一杯のスピーチではなかったが、
私は非常に胸を打たれ、
朝礼後、涙が出てきてしまった

私たちは、一部の心無い上司の気まぐれに、
一喜一憂するために働いてるわけじゃない。
私たちは、一部のやる気のない社員の
尻拭いをするために働いてるわけじゃない。

私たちは、強い馬をつくるために、働いてるんだ。

その目標のために、それぞれの立場で、
それぞれの仕事を、真剣にこなしていく。

それが「異体同心」。
私の好きな言葉の1つです


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今時の人にとっての仕事って(怒)

2005年06月12日 | ちょっとしたこと
先日、夜、他の牧場で働いている友人と会っていたら、
今年入社したばかりの、うちの牧場の同僚と会った。

あ~どうも~、こんばんは~、から、
3人で、ちょっと、お互いの牧場の話になった。
で、同僚が、友人に、
「いいですよね~、中央(競馬)で勝てる馬を育てられて。」
と言った。

カッチーン!!
どういう意味?

確かに、友人に気を使って出た言葉かもしれない。
確かに、うちの牧場は、獲得賞金も、牧場の規模も、レベルも、
友人の牧場より下かもしれない。
確かに、うちの牧場は、給料も安いし、従業員の入れ替わりが多いかもしれない。

でもさ、その言葉はどうなの?!
中央で勝てる馬がいる牧場がうらやましいなら、
自分が、そういう馬を出せるように、がんばるべきじゃない?
あの言葉の後に、「僕も、今居る牧場で、がんばりますよ。」
って言葉がなかったことで、余計に、
何気ない言葉が、ずっと引っかかったまま、家に帰ってきた。

ただ単に、同僚の考えが甘いのか。
本当に、うちの牧場にとっての大事な時期に来ているこの時に、
会社の体制改革と同様、従業員1人1人も、意識改革が必要だ、と
痛感している私が、厳しすぎるのかなぁ

でもね、一言だけ言わせて。

今までの苦労も知らないくせに、何をわかったような口きいてんの?
自分が任されてる仕事もまだ満足にできてないのに、
「中央で勝てる馬」を育てる苦労もせずに、
最初から「中央で勝てる馬がいる」牧場がそんなにいいなら、
さっさと辞めて、そっちに行けば?!

ご清聴ありがとうございました~
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うちのネコトイレ事情

2005年06月11日 | 
うちには、猫が5匹います。

で、家の中に、猫用トイレが2つあります。
ほんとは、飼っている猫の数より1つ多い数のトイレが理想なんだそうです。
でも、いろいろな住宅事情と、
うちの猫たちは半外猫だ、っていうことなどもあり、
2つしか置けずにいます。

で、その使用状況は、というと、
ねねは、体調が悪い時等以外は、基本的に、外でするので、
トイレは使いません。
はろは、主に、トイレを使用します(主に、トイレ①の方)。
すず、りん、ちぃも、主に、トイレ派(主に、トイレ②の方)です。

が、しかし、最近、トイレ事情が変化しつつあるようなんです。
実は、最近、トイレ清掃をしてて、気がついたんですが、
トイレ①はおしっこのみ、トイレ②はうんちのみがしてあるんですよ

実際に、見てると、
隣合わせにしてある2つのトイレを、
ちゃんと渡り歩いて、おしっことうんちをしてるんですよ

諸々の人間の都合で置いている2つしかないトイレを、
彼らなりに、使い勝手の良いように工夫しているんでしょうか


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熊、目撃!

2005年06月10日 | ちょっとしたこと
先日、うちの牧場の近くで、熊が目撃された。

うちの同僚が、車で走ってたら、
同じ道路を、熊が走っていた、と言う

以前働いていた牧場で、昔、放牧地に放していた馬が
1頭、行方不明になって、探したら、
死んで、土に埋められて発見された。
なんと、それが、熊の仕業だったらしい。

熊は、獲物を仕留めると、
土に埋めて、肉を寝かせて、
何日か後に、熟成したところを掘り返しに来て、
肉を食べるという習性があるらしいんです。
そんな話を、ふと、思い出しました

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北海道ほぼ1周の旅

2005年06月09日 | ちょっとしたこと
この秋、友人との旅を予定しています。

ほぼ、北海道を、ぐるっと1周する予定です。
その旅で、いろいろ楽しみがある中で、
久しぶりに「ばん馬」を見に行けるのが楽しみ

道産馬等のおっきな馬が、騎手と重しを引く北海道独特の競馬です。
私は、10年近く前に、1度、見て、
(サラブレッドの牧場を辞めて)ばん馬の世界に行きたい!
と真剣に思ったほど、魅かれました

あ~、ほんと、楽しみ

旅の計画は友人にまかせっきりなんですけどね
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朝礼スピーチネタ:計算のできる犬~後日談

2005年06月08日 | ちょっとしたこと
先日、「計算のできる犬」をネタにスピーチした後、
動物番組を見た同僚が、
「あれもヤラセなんでしょうかねぇ。」
と言ってきた。
どうも、「計算のできる犬」の話、本気で信じていたらしい。

純粋だなぁ

で、その同僚が見た番組で、
チンパンジーが、犬を散歩させたり、潮干狩りしに行ったりさせていて、
その頭の良さに、とっても感動したらしい。
まぁ、犬と違って、猿だから、それなりに頭は良いんだろうけど。
散歩や、潮干狩りの一部始終をカメラで追ってるんだから、
画面の枠の外には、確実に何人もの人間が、
チンパンジーに何らかの指示を出してるわけだ。
例えば、
「海に行って、水際まで行ったが、
足が濡れるのが嫌で、引き返して、長靴を買いに行った。」
というシーンがあったらしいが、
「前進」の命令の後、ある位置でUターン、
もしくは、
「前進」の命令の後、名前を呼んで、戻って来させる、
って感じだったのだろう。

どっちにしても、
チンパンジーに(足が濡れるのが嫌だから)長靴を買いに行こうと思う意志が、
どこまであったかは疑問だと思うけど。

彼にそう言ったら、
やっぱりそうなのか・・・、と言いたげに、
ちょっと寂しそうに、肩を落として、帰って行きました

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小説「ある男の物語」1、老人の死②

2005年06月07日 | 小説「ある男の物語」
 安楽死論争の中核の1つであった水谷秀男の死は、間違いなく、明朝のトップニュースだ。このことが、その後、どれほどの影響を世間に与えるかは、計り知れなかった。
 水谷の死は、始め、城山の頭の中を一杯にしたが、その原因を警察で聴かなければ、どんな思考も回転を始めないとわかると、次に城山の頭を満たしたのは、老人の死の影響力、そして、論争の一端を、水谷と共に走り続けてきた自分への風当たりの強さだった。雑誌記者の城山と、妻を亡くしたばかりの水谷が知り合ってから10年。・・・この10年というもの、城山は、水谷のスポークスマンとして働き、自ら記者としての地位を築いてきた。が、それも、水谷老人が死んだ今となっては、安楽死反対派からのバッシングのネタにしかならない。
 城山と水谷老人は、ある目的のために共に走り続けて来た戦友と言ってよかった。だからこそ、親と子ほど年が離れ、先に死ぬのが自然である年に達した水谷が死んだと聞いた時、「なぜ」という疑問符の後に、「1人で、先に死んでしまったのか」という言葉が浮かんできたのだ。
 
 水谷はよく言っていた。
「私は妻のような延命だけは御免です。」と。
病院のベッドの上で、うつろに天井の隅を見つめたまま人口呼吸をしていたのは、よく笑い、よく泣き、よく怒る、私の妻・和子ではなかった、と彼は、その妻(おんな)の人口呼吸器の動きが医師の手によって停止されたその日のことを、時々、思い返していた。
 
 そして、言うのだ。
「あの瞬間、私は、心から、安堵できたのです。」と。


(つづく)
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朝礼スピーチネタ:計算のできる犬

2005年06月06日 | ちょっとしたこと
紙に計算式を書き、「1足す1は?」
というと、「ワン!ワン!」と犬が答える、という光景、
テレビで見て、「あの犬、頭良いなぁ!」なんて、
思ってる人、いませんか?

あの時、犬は、計算をしているわけではなく、
人の言葉を理解しているわけでもないんです。
正解を知っている、周りの人間、特に信頼している飼い主が、
「ワン!ワン!」と正しい回数、鳴いたときに、
(よし、よくやった。)とかいう、表情や、
ぴくっと動く指1本の動きを読むんですよね。

動物は、霊長類などは除いて、
人間の言葉を理解しているのではなく、
その言葉を発している人間の、表情や、声のトーンで、
その人間(飼い主)の感情を読むんです。

基本的には、低い声は「怒ってる(機嫌が悪い)」、
高い声は「褒めている(機嫌が良い)」と理解するそうです。
だから、人間がいろいろ誤解していることがあります。
例えば、
犬や猫が、イタズラをして、「コラー!」と大声で怒って、叩く。
これって、犬や猫の側は、全然怒られたと思ってなくて、
「わ~い!褒めてくれてる!遊んでくれてる!」
と思ってるから、全然効き目はありません。
この場合の正しい叱り方は、
低い声でゆっくりと一言、「ダメ」。あとは無視。

あとは、男の人の低い声で褒められても、ちょっと懐きづらかったり。
これは、怒られる、恐い、と感じているせいかもしれません。

こういうことを、私たち人間が、
正しく理解していないと、
動物の側が、「粗相したのに、なんで叱られないんだろう」とか
「良いことしたのになんで褒めてくれないの?」とか
混乱してしまって、言うことをきかなくなるし、
人間側も、「(頭が悪いから)ちっとも人間の言うことを理解しない」
としつけやコミュニケーションを諦めてしまうことになります。

指示を出すこちら側が、
正しく指示を出して、正しくしつけをすること、
正しくコミュニケーションをとること、
それが、相手にする動物にとっても、私たちにとっても、
快感であり、幸福なんだと思います
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つつじ満開

2005年06月05日 | ちょっとしたこと
つつじが満開になりました。

今日のレースで、うちの馬、的場騎手騎乗で、1・5倍の1番人気。
・・・なのに。みごとに出遅れ、着外でした

こんな暗~い気持ちのまま、
仕事が終わって、帰ろうとしたとき、
目の前のつつじ。

一瞬、ちょっと前の暗い気持ちを忘れました
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朝礼スピーチネタ:馬の知恵

2005年06月04日 | ちょっとしたこと
馬は、自分の背中が痒くても、口や脚が届きません。

では、痒いところを掻くために、
馬は、どうするのでしょう?

まず、近くにいる仲間の馬に近寄り、
その馬の背中を、口で掻いてやるんです。
そうすると、その相手の馬は、
代わりに、背中が痒い馬の、痒いところを掻いてくれる、
というわけです。

自分が何をしてほしいのか、を
他人に押し付けるのではなく、
相手が何をしてほしいのか、
相手を動かすために、何をするべきか、を考えることが大事だと
教えられました。
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朝礼スピーチネタ:マッサージ

2005年06月03日 | ちょっとしたこと
うちの猫たちは、よく、
「毛艶が良いですよね。高い餌食べさせてるんでしょ~。」
と言われます。

まぁ、お世辞半分だとは思いますが、
確かに毛艶は良いです。
でも、普通のドライフードしか与えてないし、
シャンプーとか、一切したことないです。
5匹とも、一度もシャンプーしてないですが、
外にも出てるのに、汚れもすぐ取れるし、臭くもないです。

なぜでしょう?

私が心がけているのは、「マッサージ」です。
家に居るときは、とにかく、1匹ずつ、体を撫でます。
私が留守の間、外に行って、ケガをしてたり、
病気で痛いところがあると、触られるのを嫌がるので、
すぐわかります。

特に、背骨に沿った部分、尻尾の付け根、耳の付け根、など、
ツボがあるらしくて、
気持ちも良く、血行も良くなって、毛艶が良くなるんです。

猫は、「お腹を触ると嫌がる」って仔が多いんですが、
うちの仔たちは、犬みたいに、ゴロン、とお腹を出して、
お腹を撫でさせます。

馬も同じなんです。
背中や、顔、尻尾の付け根を触ると気持ち良いので、
マッサージがうまいと、その人とのコミュニケーションもとれて、
おとなしく、人の言うことを良く聞くようになります。
普段、いくら人の方が強いと言ったって、
馬が本気で力を出したら、敵いません。
だって、1馬力ですよ

だから、怒って言うことを聞かせるんじゃなく、
「この人を信頼して、言うことを聞いたら、気持ち良いことをしてくれる。」
っていうことをわからせることが大事なんですよね
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小説「ある男の物語」1、老人の死①

2005年06月02日 | 小説「ある男の物語」
 電話を受けた後輩の川田が、城山に向かって、叫んだ。
「先輩!水谷さんが!亡くなったそうです!」
「なにぃっ!水谷のじいさんが、死んだ?」
フロア内の、何台もの電話のベル、怒号とともに飛び交う情報の嵐が、一瞬、消えた。
 城山は、手で丸めた雑誌のページに載っている老人の写真に、目を落とした。

 「水谷秀男が、死んだ、だと?」

 電話を切った川田が、こちらに近づいて来ると、一瞬の沈黙が崩れ、そこは再び、騒音に囲まれた。
「崖っぷちから海へ落ちたそうです。遺書が無いので、事故と事件の両方で、警察が動いているそうです。」
「今の電話、どこからだったんだ?」
「“会”からです。身内がいないので、警察から“会”に連絡があったそうです。」
「よし、川田、警察に行くぞ。すぐ車を出してくれ。」

 城山は、車が警察に向かう途中で、水谷老人がどこで転落したのか聞いていなかったことを、川田に尋ねたが、自分も肝心なことを聞くのを忘れてました、と、彼は言った。城山は、ちっ、と短く舌打ちをしただけで、警察に着くまで、一度も口を開かなかった。


(つづく)
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