すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

認知症の方の口腔清潔

2008-09-14 20:38:28 | ひとりごと
 先日書いた歯科医師の話である。この先生は老人ホームの入所者の皆さんの口腔清潔もしてくださっている。寝たきりの人は勿論口腔清潔を実施するのは難しいのだが、それより問題なのが認知症の方である。
 認知症の方は、義歯であっても取り外そうとすると噛まれることもある。安心してもらえるように声をかけたり説明したりするのだが、なかなか難しい。それでも義歯ならまだいいのだが、自分の歯の場合磨くのは至難の業だ。
 Aさんはほとんどご自分の歯で、しかもひどい歯周病である。軽くブラシを当てても出血するくらいだったので、当然痛みもあったろう、とにかく歯磨きが難しかった。出来れば食後に毎回できれば言うこと無いのだが、それは不可能に近い。ならば夕飯後(寝る前)がベストだろうと思われるが、これがまた夕方になると不機嫌モードになることが多いのである。
 だから、機嫌のいい時間を見計らっては歯磨きに誘い、ご自分で磨いて貰っていた。可能であれば少し手伝って丁寧に磨こうと試みた。しかし、成果はあまり見えなかった。勿論何もしないよりはましだったはずではある。歯科に通うことも考えたが、寝台に座って口を開けていられるかさえ疑問で、当時はこれが精一杯だった。
 そのAさんが先生の訪問治療を受けている。うちの父の診療の後
 「今日Aさんの4回目の治療なんだ。3回目に蹴飛ばされたけど・・・。」
とおっしゃっていた。正直すでに何回か出来ていることに驚いた。そして今日Aさんを見かけたので
 「ちょっと歯を見せていただいてもいいですか?」
と声をかけた。ちょうど機嫌も良く口を開けて見せてくれた。
 「おお~。」
 傍にいた介護士と感嘆の声をあげる。成果は明らかだった。
 「さすがプロやな~。」
ほんとに見違えるように綺麗になっている。
 改めてありがたいなと思う気持ちと、自分たちが出来なかった反省と半分半分の気分であった。


にほんブログ村 介護ブログ 介護職へここをクリックしてお立ち寄りください。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする