今は亡き母の付き添いで訪れていた大学病院、いつ行っても混雑
していた、世の中にはこんなに病人がいることに驚く、そして診
察までの時間、会計の時間、調剤薬局での待ち時間、いずれも長
い、予約時間どうりに診察が始まらない 、いつものことだから我
慢するしかなかった。
待合室の長椅子はほぼ満席、94歳の母にとっては長い待ち時間
は体力的にきつい、子供もいれば老人もいる、居眠りをしてる人
家族できて看護師さんから入院病棟に案内されてる人、イライラ
して貧乏ゆすりをしてる人、遠方から来て電車の時間を気にして
る人、診察室から笑顔で出てくる人、そんな中、近くで70代と
思われる女性が隣の人と話してるのが聞こえてきた。
数か月前にこの病院に入院したときのことのようだ、「入院した
のに子供が見舞いに一度も来ないんだよ、寂しかったね、それで
もね気持ちが落ち込んでる時、毎日看護師さんが今日は顔色がい
いですね、寒くなったねと言った何気ない一言が薬よりも何より
も効いてうれしかったね…」という内容であった。
何の病気でどれだけ入院したのかはわからないが、病気でつらく
寂しい思いの時、ずっと見守ってくれる看護師さんの一言に救わ
れたのかもしれない。
母も私も心が温まるような気がした、病院の待合室は人間観察が
できる場所でもある、そして色んな光景に遭遇することがあるも
のだ。