認知症と友だちになったという作家の森村誠一氏が「同世代の皆
さまへ」というエッセイのなかで齢を重ねると老いには少しの勇
気が必要だということがわかったと述懐している。
老いると思いがけない病気にもなるし、私生活のことで悩んだり
もする、そんな予想外の出来事の危機に立ち向かう勇気が必要だ
という、そしてもうひとつ夢を抱く勇気、人生とは夢をもつこと、
幾つになっても夢はもてるし、小さな夢でも生きがいにつながる、
認知症になったからこその新しい発見かもしれない。
生きがいが孫の成長だったり、庭木に咲いた花や散歩の途中で、
出会った変化だったり、カラオケや飲み会だったり、音楽や写真
だったり、人それぞれ違うかもしれないが、小さな生きがいが老
いの希望につながる、それこそ氏が実感してる老いてこその青春
のような気がする。