石臼のはればれ打たる穀雨かな 瀧澤伊代次
植田にほしい待ち望んでいた雨が降ってきた
小ぶりだったがだんだん勢いを増していよいよ本降りの兆しが見える
外にある石臼をたたく雨がはねかえっている
そのしぶきが眩しく感じる
この景をはればれと詠っている (小林たけし)
穀雨】 こくう
二十四節気の一。清明の後15日。陽暦4月20日頃。春雨が降って百穀を潤し芽を出させるという意。
例句 作者
伊勢の海の魚介ゆたかにして穀雨 長谷川かな女 花 季
傘立てて穀雨の雫地に膨れ 峰尾北兎
夜を境に風邪熱落したり穀雨 長谷川かな女 花寂び
掘返す塊光る穀雨かな 西山泊雲 泊雲句集
本当の雨脚となる穀雨かな 平井さち子
本読むは微酔のごとく穀雨かな 鳥居おさむ
水郷に櫓の鳴き昏るる穀雨かな 市川花庭
琴屋来て琴鳴らし見る穀雨かな 長谷川かな女
睡るとは不覚穀雨の散髪屋 高澤良一 寒暑
穀雨かな記紀にしるせし野を歩く 伊藤敬子
穀雨なる決断の指開きつつ 松田ひろむ
苗床にうす日さしつゝ穀雨かな 西山泊雲 泊雲句集
落款の少しかすれて穀雨かな 都筑智子
鎌倉や穀雨を待たぬ窓の闇 石川桂郎 高蘆
風眠り穀雨の音か夕早し 小倉緑村